採用代行 / 従業員10名以下の会社
従業員10名以下の会社が採用代行で失敗するパターン
従業員が十名以下の会社は、採用が「仕組み」ではなく「出来事」の規模です。これまでの社員は経営者の知人や紹介で入り、公募は初めてか数回目、採用は年に一人あるかないか、一人が入ると会社の一割が変わる、社員は全員がプレイヤーで手続きを手伝う人もいない、経営者が窓口も面接も条件も全部持っている。この状態で採用代行を使うと、三十名の会社にも百名の会社にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、この規模の失敗は「代行が動いても、経営者の側に受け止める時間と基準と条件がない」ことから起きます。代行は候補者を出せますが、経営者が返事をする時間、比べる基準、出せる条件、入った後の受け入れがないと、候補者は経営者のところで止まって去ります。代行に出す前に、「経営者の返事の枠」「比べる基準」「出せる条件」「入った後の一か月」の四つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。少し大きい規模の失敗は従業員三十名規模の会社が採用代行で失敗するパターンに、専任の人事がいない会社の失敗は専任の人事がいない会社が採用代行で失敗するパターンに、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:経営者に返事の時間がなく、代行にも候補者にも返せない
症状。代行が候補者を出しても、経営者が営業や現場で返事ができず、数日から一週間空く。代行は「ご確認をお願いします」を繰り返し、候補者は返事を待つ間に他社に決まる。経営者は「代行に頼んだのに、自分が忙しくて進まない」と感じ、代行は「返事がないと動けない」と感じる。
原因。三十名の会社なら兼務の一人が窓口になれますが、この規模では窓口になれる人が社内にいません。経営者が唯一の窓口で、しかも経営者は営業も現場も持っています。代行の側も、経営者に返事をもらう前提で設計していて、返事がないと止まります。
先に打つ手。代行を入れる前に、経営者が「採用の返事をする枠」を週に一度、時間を決めて固定します。代行には「返事はこの枠でまとめて返す。それ以外は聞かないでほしい」と最初に伝え、枠の間に出た候補者は、代行が基準の中で進めておく形にします。面接の枠も同じ日に固定し、代行がそこに候補者を入れます。窓口の作り方は専任の人事がいない会社の採用体制の作り方に、経営者への説明は経営者に採用代行を説明するに整理しています。
失敗のパターン二:初めての公募で比べる基準がなく、最初の一人に飛びつくか全員違うと言う
症状。これまで知人や紹介で採ってきたので、知らない人の応募書類を見るのが初めてに近い。最初に来た応募者に「この人でいいか」と飛びつくか、逆に全員に「なんか違う」と言う。代行が「どこが違いますか」と聞いても、言葉にできない。代行は集め方を変えようがなく、経営者は「代行はうちに合う人を分かっていない」と感じる。
原因。知人や紹介で採ってきた会社は、「この人を知っている」という安心で採ってきたので、知らない人を比べる基準を持ったことがありません。基準がないと、比べられず、最初の一人に飛びつくか、全員を怖がるかのどちらかになります。
先に打つ手。代行を入れる前に、経営者が「今いる社員のうち、いちばんうまくいっている人は、入って半年で何をしていたか」を思い出して三つ書き、「入ってうまくいかなかった人は、どこが違ったか」を二つ書きます。知らない人を「この五つに当てはまるか」で見る形にすると、飛びつきも怖がりも減ります。代行には、候補者を「五つのうちどれに当てはまるか」で出してもらいます。要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、必須と歓迎の分け方は人事の採用要件の作り方に書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、この規模で結果が分かれるのは、担当者が「経営者の時間を週に一枠しか使わない設計」を作れるかどうかです。パターン一と二は、どちらも経営者の時間と基準が足りないことから起きていて、代行が候補者を増やしても解けません。相談で見ていると、うまくいく担当者は、契約の前に経営者と一度だけ会って、「うまくいっている社員は半年で何をしていたか」「合わなかった人はどこが違ったか」「給与はどこまで出せるか」「返事と面接に使える曜日と時間」を聞き出して紙にし、その後は週に一枠だけ経営者の時間をもらい、それ以外は紙の中で自分で進めます。経営者は営業に出ていても、週に一枠で採用が進みます。
逆に、「候補者が来るたびにご確認をお願いします」と連絡する担当者は、丁寧に見えて、この規模では止まります。契約の前の面談で「社長の時間は週にどれくらい要りますか」と聞いて、「最初に半日と、その後は週に一枠です」と答える担当者と、「その都度ご確認いただきます」と答える担当者では、半年後に一人が入っているかどうかが違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、十名以下の会社で経営者の時間を週に一枠で回してきた担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:一人の重みが大きすぎて決められず、候補者が去る
症状。面接まで進んだ候補者がいて、悪くないと思っているのに、「この一人を外したら会社が傾く」と感じて決められない。「もう少し他の人も見たい」と言って、代行に集め続けさせる。その間に候補者は他社に決まり、次の候補者にも同じことが起きて、半年経っても一人も入っていない。
原因。十名以下の会社では、一人の採用が社員の一割を超え、給与も固定費として重く、外したときの影響が大きいのは事実です。ただ、「外さない人を探す」ことは、比べる基準がないとできず、基準がないまま探し続けると、決められない状態が続きます。代行は集めることはできても、経営者の決断は代わりにできません。
先に打つ手。代行を入れる前に、「決める条件」と「決める期限」を先に決めます。「五つの基準のうち三つ以上に当てはまり、一緒に働く社員が『働けそう』と言えば、進める」のように条件を言葉にし、「面接から一週間以内に決める」のように期限を切ります。外したときのために、「試用の期間に何を見るか」を決めておくと、決断が軽くなります。「外さない一人」ではなく、「基準に当てはまる一人を、期限内に決める」に置き換えます。経営者に状況を出す形は経営者に採用の状況が伝わらないに、成果までの期間は成果が出るまでの期間の見立てに整理しています。
失敗のパターン四:会社の側の条件と情報が決まっていないまま、代行が集めに行く
症状。代行が求人票を書こうとしても、給与の幅、勤務の形、仕事の中身、会社の説明が決まっていない。経営者は「相場でいい」「来た人次第」と言う。代行は書けるところだけで求人票を出し、応募は来るが、条件を聞かれて答えられず、面接で会社の説明ができず、候補者が「よく分からない会社」として去る。
原因。知人や紹介で採ってきた会社は、条件も会社の説明も「話せば分かる」で済んできたので、紙にしたことがありません。公募では、知らない人が求人票と面接だけで会社を判断するので、条件と説明が紙になっていないと、候補者には何も伝わりません。
先に打つ手。代行を入れる前に、経営者が「給与の下限と上限」「勤務の形(場所、時間、休み)」「この人が一日で何をするか」「うちの会社を一言で言うと」を紙にします。相場は代行が調べられますが、「うちがどこまで出せるか」は経営者にしか決められません。代行には、この紙を渡してから求人票を書いてもらいます。会社の説明がない会社は、代行と一緒に「なぜこの仕事があるか」「誰と働くか」を一枚にするところから始めます。求人原稿は求人原稿の作成は代行に出せるかに、条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに書いています。
失敗のパターン五:採った後の受け入れがなく、一人目が辞める
症状。ようやく一人決まり、代行の契約が終わる。入社の日、経営者は営業に出ていて、社員は自分の仕事で手一杯、教える人がいない、机と道具が揃っていない。新しい人は何をすればよいか分からず、数か月で辞める。経営者は「せっかく代行に払って採ったのに」と感じ、また最初からになる。
原因。代行の範囲は入社までで、入社の後は会社の側の仕事です。十名以下の会社では、人を受け入れる段取り(誰が教えるか、最初の一か月で何をするか、道具は何が要るか)を作ったことがなく、「入ったら自然に馴染む」と思っています。知人や紹介で入った人は、知っている人がいたので馴染めましたが、公募で入った人には知っている人がいません。
先に打つ手。内定を出す前に、「最初の一か月で何をするか」「誰が教えるか(経営者でなくてよい)」「最初の一週間の机と道具」「入社の日に経営者がいるか」を一枚にします。代行に「入社までの一覧」を作ってもらうときに、この一枚も一緒に作ります。入社の後の最初の一か月は、週に一度、経営者が短い時間で「困っていることはないか」を聞く枠を持ちます。入社後の受け入れは入社後のオンボーディングは代行に出せるかに、内定の後の工程は内定者フォローは代行に出せるかに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、経営者が「返事と面接の枠を週に一つ」「比べる基準の五つ」「出せる条件」「入った後の一か月の一枚」の四つを決めることです。五つのパターンは、全部この四つのどれかが空いていることから起きています。返事の失敗は枠がなく、基準の失敗と決められない失敗は基準がなく、条件の失敗は条件がなく、辞める失敗は一か月の一枚がないからです。代行は候補者を出せますが、この四つは経営者にしか決められず、空いていると候補者は経営者のところで止まります。
四つを決めるのに要るのは、経営者の時間で一度だけ、半日です。この半日を惜しんで代行に「いい人を一人、探して」と言うと、代行が出した候補者は返事を待って去り、来ても比べられず、条件を聞かれて答えられず、入っても辞めます。半日で四つを決めれば、代行はその中で動け、経営者は週に一枠で済みます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談でこの半日を一緒に取り、四つを紙にするところから入る担当者を選べます。
まとめ
- 従業員十名以下の失敗は、代行が動いても、経営者の側に受け止める時間と基準と条件がないことから起きる
- パターン一は返事の時間。経営者が返事と面接の枠を週に一つ固定し、代行はそれ以外で聞かない
- パターン二と三は比べる基準と決める条件。「うまくいっている社員が半年でしていたこと三つ」「合わなかった人の違い二つ」で比べ、「基準と期限」で決める
- パターン四は会社の側の条件と情報。給与の幅、勤務の形、一日の仕事、会社の一言を紙にしてから求人票を書く
- パターン五は入った後の一か月。誰が教えるか、最初の一か月で何をするか、道具、入社の日に経営者がいるか、を内定の前に一枚にする
- 先に打つ手は、経営者の半日で済む。四つを決めてから代行と契約すれば、経営者の時間は週に一枠になる
よくある質問
十名以下で採用代行を使うのは、大げさではないですか
規模ではなく、「経営者が採用に使える時間が、実際にあるか」で決めます。求人票を書き、応募者に返信し、日程を組み、面接をして、条件を決める、を経営者が営業と現場の合間にやって、返事が遅れて候補者が去っているなら、規模に関わらず出す価値があります。ただし、この規模で出すのは「返事と日程と集める工程」までで、基準と条件と決めることは経営者に残します。一人だけを一度だけ採るなら、紹介会社だけのほうが分かりやすいこともあり、比べてから決めます。専任の人事がいない会社の考え方は専任の人事がいない会社の採用代行に、代行と紹介の違いは採用代行と人材紹介の違いに、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。
給与の相場が分からず、条件を決められません
相場を調べることは代行に頼めますが、「うちがどこまで出せるか」は経営者にしか決められません。相場の前に、「この人が入ると、一年で会社の売上や仕事がどう変わるか」と「固定費として毎月払えるのはいくらまでか」を先に決め、その幅の中で相場と比べます。幅が相場に届かないなら、条件で足りない分を「仕事の中身」「勤務の形」「経営者との距離の近さ」で補えるかを、代行と一緒に考えます。条件を「来た人次第」にしたまま集めると、応募者に聞かれて答えられず、去られます。条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、費用の考え方は採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに書いています。
一人採るために、月額を払い続けるのが不安です
年に一人の採用に月額を払い続ける形は、この規模には合わないことが多く、契約の形を変えます。「候補者がいるときだけ動く」「期間を区切る」「決まったら止める」を前提にした形を、契約の前に聞いてみてください。止めるときに、基準の紙、条件の紙、求人票の原稿、候補者の記録を社内に残す形にしておくと、次に採るときは紙を渡すところから再開できます。副業の人事経験者に、週に数時間で運用だけを頼む形も、この規模では現実的です。やめる判断は採用代行をやめる判断のタイミングに、副業人材に頼む形は副業人材に採用業務を委託するときの実務に、小さい会社に向く条件は中小企業に向く採用代行の条件に整理しています。