採用代行 / 母集団形成
母集団形成の進め方|自社でやる場合の手順
母集団形成を自社で進めようとして、「応募が少ないから媒体を足す」から始めると、応募の数は増えますが、要件に合わない応募が増えて、書類で落とす手間だけが増えます。媒体を三つ、四つと足しても、面接に進む数は変わらず、費用だけが増えていく。母集団形成で最初にやるべきは経路を足すことではなく、「要件に合う人が、いまどこにいて、何を見て動くか」で層を決めることです。層が決まれば、経路は一つか二つで足り、文面は層に向けて書け、記録で「決まる経路」が見えます。結論を先に書くと、進め方は、層を決める→層ごとに経路を一つ選ぶ→経路ごとに文面を書き分ける→応募と返信を当日中に対応する型を作る→経路ごとの記録の表を作る→週に一度、書類で残る率と面接に進む数を見る→月に一度、決まる経路に寄せる→足りなければ次の経路を足す、の八つの手順で、順番を守ると、応募の数は減っても、面接に進む数と決まる数が増えます。代行に出す場合の切り分けは母集団形成は代行に出せるかに、応募が来ない原因の分解は応募が来ないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 層を決める | 人事と現場 | 最初に一度 |
| 二 | 層ごとに経路を一つ選ぶ | 人事が案、経営者が決める | 最初に一度 |
| 三 | 経路ごとに文面を書き分ける | 人事 | 経路を足すたび |
| 四 | 応募と返信を当日中に対応する型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 五 | 経路ごとの記録の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 書類で残る率と面接に進む数を見る | 人事 | 週に一度 |
| 七 | 決まる経路に寄せる | 経営者 | 月に一度 |
| 八 | 足りなければ次の経路を足す | 経営者 | 手順七の後 |
手順の要点は、経路を足す(手順八)が最後にあることです。一から七を回して、それでも足りないときに、次の経路を足します。最初に足すと、記録が無いまま経路が増え、どれが効いているか分からなくなります。
手順一:層を決める
要件に合う人が、いまどこにいて、何を見て動くかを、現場に聞いて決めます。
| 問い | 答えの例 | 層 |
|---|---|---|
| いまいる人で、続いている人はどうやって入ったか | 媒体で自分から応募した | 自分から転職媒体を見ている層 |
| 同業で、うちに来てほしい人はどこにいるか | 大手の分業に物足りなさを感じている人。転職は急いでいない | スカウトでしか動かない層 |
| 社員の前職の同僚に、要件に合う人はいるか | 数名いる | 社員の知り合いにいる層 |
| 未経験から育てられるか | 受け入れの流れがあれば | 隣の職種からの転向を考えている層 |
層は一つに絞ります。二つの層を狙うなら、経路も文面も二つに分けます。「誰でも」は層ではありません。
止まりやすいのは、現場が「いい人なら誰でも」と答えるときです。この場合は、「いまいる人で続いている人の経歴」を聞きます。続いている人の経歴と入り方が、層の手がかりになります。
手順二:層ごとに経路を一つ選ぶ
層が決まったら、その層に届く経路を一つ選びます。
| 層 | 向く経路 | 向かない経路 |
|---|---|---|
| 自分から転職媒体を見ている層 | 求人媒体 | スカウト(自分から動いているので不要) |
| スカウトでしか動かない層 | スカウト、人材紹介 | 媒体(見ていない) |
| 社員の知り合いにいる層 | リファラル | 媒体、スカウト |
| 隣の職種からの転向を考えている層 | 媒体(受け入れの流れを書く)、副業からの転換 | 経験者向けのスカウト |
一つに絞る理由は、記録で効いているかを見るためです。最初から三つ使うと、どれが効いたか分かりません。費用は経営者が承認し、媒体や紹介会社の料金は変わるので、その時点の条件を確認します。
止まりやすいのは、「一つでは不安」で最初から複数にするときです。一つで一か月回して、記録を見てから足すほうが、費用が無駄になりません。
手順三:経路ごとに文面を書き分ける
経路ごとに、読む人と長さと重心が違うので、文面を書き分けます。
| 経路 | 読む人 | 長さ | 重心 |
|---|---|---|---|
| 求人媒体 | 自分から探している人 | 長め。全部書く | なぜ採るか、日々の中身の割合、条件の数字 |
| スカウト | 探していない人 | 短め。スマートフォンで一度スクロール | 相手の一点、いまより良くなる一点 |
| リファラル | 社員 | 一枚。社員が知り合いに渡せる | 一言で「こういう人」、社員が説明できる中身 |
| 人材紹介 | 紹介会社の担当者 | 説明の場で口頭+一枚 | 勧めてほしい人、勧めないでほしい人 |
止まりやすいのは、媒体の原稿をそのままスカウトに使うときです。長すぎて読まれず、一点が無いので一斉送信と読まれます。原稿の作り方は求人原稿の作成の進め方に、スカウト文面はスカウト文面の作成の進め方に書いています。
エラベルの見解
相談で多いのは、「媒体を四つ使っているが、面接に進む人が月に一人か二人」というご相談です。経路を聞くと、四つとも同じ原稿で、層は決めておらず、記録は応募の数だけで、応募の確認は週に一度でした。手順一で層を「既存対応が長く、大手の分業に物足りなさを感じている人」に決め、手順二でその層が見る経路をスカウトと紹介会社の二つに絞り、媒体を四つから一つに減らし、手順四で応募と返信の対応を当日中に変えたところ、費用は減り、面接に進む数は増えました。
見ていて差がつくのは、「経路を足す前に、層を決めているか」です。母集団形成で費用が膨らむ会社は、層を決めずに経路を足しています。エラベルでは、自社で母集団形成を進めたい会社に、まず手順一の層の決定と手順五の記録の表だけを試してもらっています。
手順四:応募と返信を当日中に対応する型を作る
経路を回す前に、応募と返信が来たときの対応の型を作ります。
| 段階 | いつまでに | 何をするか |
|---|---|---|
| 応募・返信の確認 | 当日中 | 毎朝九時に全経路を見る。受付の連絡を送る |
| 書類の判断 | 翌日まで | 要件と照らして、面接に進むか断るか |
| 日程の提示 | 判断の当日 | 候補日を三つ以上 |
| 断りの連絡 | 判断の当日 | 丁寧に短く |
| 面接後の連絡 | 翌日まで | 結果か次の日程 |
止まりやすいのは、「見る人と見る時間」を決めないときです。「毎朝九時に〇〇が見る」を予定表に入れます。十五分で済みます。母集団を作っても、対応が遅れると他社に決まり、母集団を作った意味が無くなります。応募を放置する構造は応募を放置してしまうときに書いています。
手順五:経路ごとの記録の表を作る
経路ごとに、応募(返信・紹介)、書類で残った数、面接、内定、入社を記録する表を作ります。
| 経路 | 費用 | 応募・返信・紹介 | 書類で残った | 面接 | 内定 | 入社 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 媒体A | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| スカウト | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| リファラル | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| 紹介会社 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
入社まで記録するのが要点です。応募だけ記録すると、「応募の多い経路」を「効いている」と誤解します。
手順六:週に一度、書類で残る率と面接に進む数を見る
週に一度、記録の表を見ます。見るのは「応募の数」ではなく、「書類で残る率」と「面接に進む数」です。
応募は多いが書類で九割落としているなら、文面が合わない人を呼んでいます。手順三の文面を直します。応募は少ないが書類で残る率が高いなら、層と文面は合っていて、経路の届く範囲が足りません。手順八で経路を足す候補です。応募が来ないなら、文面の冒頭か条件の数字か、経路が層に合っていません。応募の質が合わない場合の直し方は応募は来るが質が合わないときに書いています。
止まりやすいのは、「応募の数」だけを見て一喜一憂するときです。書類で残る率と面接に進む数を、応募の数と並べて見ます。
手順七:月に一度、決まる経路に寄せる
月に一度、記録の表を見て、経路ごとに「残す・様子を見る・やめる」を決めます。判断の目安は、「入社に至っているか」「面接に進む率が他の経路より低くないか」「費用に対して見合っているか」の三つです。
やめた経路の費用は、決まる経路に寄せます。「応募は多いが決まらない経路」をやめて「数は少ないが決まる経路」に寄せると、費用が減って決まる数が増えることが多い。
止まりやすいのは、「せっかく契約したから」でやめられないときです。契約の期限の一か月前に判断の日を予定表に入れます。
手順八:足りなければ次の経路を足す
手順七まで回して、それでも数が足りないときに、次の経路を足します。足す経路は、手順一で決めた層に届く、まだ使っていない経路です。
足す前に、「いまの経路で書類で残る率が高いか」を確かめます。高いなら、層と文面は合っていて、経路の届く範囲を広げれば効きます。低いなら、経路を足す前に文面を直します。
止まりやすいのは、記録が無いまま「足りないから足す」を繰り返すときです。手順五の記録があれば、足すべき経路と、足しても意味の無い経路が分かります。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順を自社でやるとき、止まりやすいのは手順三と四と六です。経路ごとに文面を書き分ける時間が無い。応募と返信を当日中に対応できない。週に一度記録を見る習慣が続かない。この場合は、手順三から六の「回す」部分を外の人に頼む選択があります。外の人は、経路ごとに文面を書き分け、当日中の対応を型として回し、記録を付けて見直します。
手順一の層の決定は現場の言葉が要り、手順二と七と八の経路と費用の判断は、外に出せません。切り分けの詳細は母集団形成は代行に出せるかに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、母集団形成で最も効くのは、手順一の「層を一つに絞る」と手順五の「入社までの記録」です。前者で経路と文面が決まり、後者で「決まる経路」が見えて費用が寄せられます。経路を足すのは、この二つが回った後で、回る前に足すと、合わない応募と費用が増えるだけです。
エラベルでは、自社で母集団形成を進めたい会社には、手順一の層の決定と手順四の対応の型と手順五の記録の表だけを先に作ってもらい、回すところで止まったときに担当者が入る形をお勧めしています。媒体と紹介会社の料金はその時点で確認し、リファラルの謝礼は専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 母集団形成は経路を足すことから始めない。「要件に合う人がどこにいて何を見て動くか」で層を決めることから始める
- 手順は層を決める→層ごとに経路を一つ→経路ごとに文面を書き分ける→当日中の対応の型→経路ごとの記録の表→週に一度書類で残る率と面接に進む数→月に一度決まる経路に寄せる→足りなければ次の経路の八つ
- 層は一つに絞る。「誰でも」は層ではない
- 経路は最初は一つ。一か月回して記録を見てから足す
- 文面は経路ごとに書き分ける。媒体の原稿をそのままスカウトに使わない
- 見るのは応募の数ではなく、書類で残る率と面接に進む数
- 記録は入社まで。応募だけでは「応募の多い経路」を「効いている」と誤解する
- 止まりやすいのは手順三と四と六。回す部分だけ外の人に頼む選択がある。層の決定と経路と費用の判断は外に出せない
よくある質問
層を一つに絞ると、母集団が小さくなりすぎませんか
層を絞ると応募の数は減りますが、書類で残る率と面接に進む数は増えます。母集団の大きさは応募の数ではなく、「要件に合う人が何人集まったか」で見ます。「誰でも」に向けた募集で百人集めて九十人落とすより、層に向けた募集で二十人集めて十人面接するほうが、母集団としては大きい。それでも足りないなら、手順八で層に届く別の経路を足します。広げ方は母集団が小さすぎるときの広げ方に書いています。
複数の職種を同時に採るときは、どう進めますか
職種ごとに手順一から回します。営業とエンジニアでは、層も経路も文面も違います。記録の表は職種ごとに分け、対応の型(手順四)は共通で構いません。同時に回すと面接の枠が重なるので、面接官の予定を先に確保します。職種が多くて回らないなら、優先する職種から順に回すか、手順三から六を外の人に頼みます。
応募が増えたのに、面接に進む数が増えません
応募が増えて書類で残る率が下がっているなら、文面が合わない人を呼んでいます。経路を足したのではなく、文面の冒頭や条件の書き方が広すぎるか、「未経験歓迎」のように層に合わない言葉が入っています。手順三で文面を層に向けて直します。書類で残る率は高いのに面接に進まないなら、日程の提示が遅いか、面接までの日数が長すぎるので、手順四の対応と面接の枠を見直します。