採用代行 / 書類選考
書類選考の進め方|自社でやる場合の手順
書類選考を自社で進めようとして、「届いた順に責任者が見る」から始めると、責任者の手が空くまで応募が溜まり、見る人の気分で通す人が変わり、連絡が遅れて候補者が他社に決まります。書類選考で最初にやるべきは、見る人を決めることではなく、「誰を通すか」の基準を、経歴で確かめられる形に分けておくことです。基準が分かれていれば、仕分けは責任者でなくてもでき、責任者は迷う人だけを見れば済み、連絡は翌日までに出せます。結論を先に書くと、進め方は、要件から基準を「通す・断る・面接で確かめる」の三つに分ける→迷う人を決める人と期限を決める→受付の連絡と仕分けの型を作る→通す人・断る人への連絡の期限と文面を決める→記録の表を作る→週に一度、通過率と面接でのずれを見る→月に一度、基準を見直す、の七つの手順で、順番を守ると、責任者が見る件数は減り、連絡は速くなり、通した人が面接でずれることが減ります。代行に出す場合の切り分けは書類選考は代行に出せるかに、通過率が低いときの見方は書類通過率が低いときに見る数字に書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 要件から基準を「通す・断る・面接で確かめる」の三つに分ける | 人事と現場の責任者 | 最初に一度 |
| 二 | 迷う人を決める人と期限を決める | 経営者か責任者 | 最初に一度 |
| 三 | 受付の連絡と仕分けの型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 四 | 通す人・断る人への連絡の期限と文面を決める | 人事 | 最初に一度 |
| 五 | 記録の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 通過率と面接でのずれを見る | 人事と責任者 | 週に一度 |
| 七 | 基準を見直す | 責任者 | 月に一度 |
手順の要点は、一から五が「最初に一度」で、六と七が「回す」ことです。多くの会社は一から五を飛ばして、届いた書類をその都度見ています。最初に一度、基準と型と表を作っておくと、あとは回すだけになります。
手順一:要件から基準を三つに分ける
採用要件のうち、経歴で確かめられるものを取り出し、「これがあれば通す」「これが無ければ断る」「これは面接で確かめる」の三つに分けます。要件がまだ無い場合は、先に採用要件の定義の進め方で決めます。
| 要件の項目 | 経歴で確かめられるか | 区分の例 |
|---|---|---|
| 既存顧客の対応の経験 | 職務経歴の担当業務で読める | あれば通す |
| 勤務地に通えること | 現住所と希望勤務地で読める | 無ければ断る |
| 提案の中身を自分で組み立てた経験 | 書いてあっても程度は読めない | 面接で確かめる |
| 大手の一部門での経験 | 会社名と部署で読める | 迷う。責任者に渡す |
分けるときの約束は、「面接で確かめる」に入れた項目で書類を落とさないことです。書類で読めないものを書類で判断すると、見る人によって結果が変わります。もう一つは、年齢、性別、国籍、家族の状況など、法令で基準にできない項目を入れないことです。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、責任者が「良さそうな人を通す」以上に言葉にできないときです。この場合は、いまいる人で続いている人と、面接で落とした人の経歴を並べて、「何が違ったか」を責任者に聞きます。言葉になっていない基準の作り方は評価基準が言語化できていないときに書いています。
手順二:迷う人を決める人と期限を決める
基準を三つに分けても、「基準には合わないが、この経験が活きそう」「基準には合うが、この点が気になる」という人が出ます。この人を誰が、いつまでに決めるかを、先に決めておきます。「迷う人は現場の責任者が翌日までに決める」「責任者が出張中は人事の責任者が決める」のように、人と期限と代わりの人まで決めます。
止まりやすいのは、迷う人を決める人が決まっておらず、「今度の会議で」と持ち越すときです。会議が週に一度なら、迷う人は一週間待たされ、その間に他社に決まります。迷う人は全体の一部ですから、責任者の負担は大きくありません。期限を決めることのほうが効きます。
手順三:受付の連絡と仕分けの型を作る
応募が届いたら、当日中に「受け付けました。〇日までにご連絡します」と返します。この連絡は仕分けの前に出すので、基準に関係なく、誰でも出せます。仕分けは、手順一の基準に照らして「通す・断る・迷う」に分け、迷う人には理由を一行添えます。仕分けは責任者でなく人事が行い、当日か翌日に終えます。
| 場面 | 誰が | いつまでに | 何をする |
|---|---|---|---|
| 応募が届いた | 人事 | 当日中 | 受付の連絡を出す |
| 仕分け | 人事 | 翌日まで | 基準に照らして三つに分け、迷う人に理由を添える |
| 迷う人 | 責任者 | 翌日まで | 通す・断るを決める |
止まりやすいのは、「仕分けは責任者でないとできない」と思い込んでいるときです。基準が三つに分かれていれば、仕分けは基準に照らす作業で、経歴を読める人なら人事でもできます。責任者の判断が要るのは迷う人だけです。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「書類選考は見る目のある責任者がやるべきで、人事に任せると質が下がる」というものです。実際には、責任者が見ている会社ほど、書類が二週間止まり、責任者の忙しさで通す人が変わり、通過率が誰にも分からないという状態になっています。質が下がるのは、見る人を変えたときではなく、基準が言葉になっていないときです。基準を三つに分けて人事が仕分け、迷う人だけを責任者が見る形に変えた会社では、責任者が見る件数は数分の一になり、連絡は翌日までになり、通した人が面接でずれることは増えませんでした。責任者の「見る目」は、基準を作るときと、迷う人を決めるときに使うものです。全件を見ることに使うと、その見る目が待ち時間になって候補者を失います。
手順四:通す人・断る人への連絡の期限と文面を決める
通す人には、仕分けの翌日までに面接の候補日を提示します。候補日を出すには面接官の枠が要るので、枠は先に空けておきます。枠の空け方は日程調整が遅くて候補者が流れるときに書いています。断る人にも、仕分けの翌日までに連絡します。文面は一つ決めておき、理由は書かず、丁寧に、期限内に出します。断る連絡が出ていない会社の直し方は不合格連絡が遅い・出していないときに書いています。
止まりやすいのは、通す人への連絡が「面接官の予定が分かってから」になるときです。書類を速く仕分けても、面接の枠が二週間先しか無いと、その間に他社に決まります。枠は仕分けの前に空けておきます。
手順五:記録の表を作る
応募ごとに、経路、応募日、受付の連絡日、仕分けの結果と理由、連絡日、面接の結果を一行で残します。表は一つで、応募の全件を入れます。
| 列 | 何を書く |
|---|---|
| 経路 | どの媒体、紹介、リファラルから来たか |
| 応募日・受付連絡日 | 当日中に受付の連絡が出たか分かる |
| 仕分けの結果 | 通す・断る・迷う |
| 理由 | 基準のどの項目で通したか、断ったか。迷う人は気になった点 |
| 連絡日 | 翌日までに出たか分かる |
| 面接の結果 | 通した人が面接でどうだったか |
表の要点は、「理由」と「面接の結果」を同じ行に置くことです。これで、「この基準で通した人が、面接で毎回この点でずれる」が見えるようになります。
手順六:週に一度、通過率と面接でのずれを見る
週に一度、表を見て、通過率と、通した人の面接の結果を確かめます。「九割落としている」なら、基準が高すぎるか、文面が合わない人を呼んでいます。落とした人の理由を見て、要件に近い人を落としているなら基準を、まったく外れた人ばかりなら求人の文面を疑います。「通した人が面接で毎回同じ点でずれる」なら、基準にその項目が足りません。面接で確かめている項目のうち、書類で読めるものがあれば、基準に足します。
手順七:月に一度、基準を見直す
手順六で見えたことをもとに、月に一度、基準を見直します。見直すのは責任者で、変えた基準は表の「理由」に反映します。基準を変えたら、変えた日を表に残し、変える前と後で通過率がどう動いたかを翌月に見ます。
止まりやすいのは、基準を頻繁に変えて、どの基準で何が起きたか分からなくなるときです。週に一度は見るだけにして、変えるのは月に一度にします。
外の人に頼む場合の境目
七つの手順のうち、一の基準の決定、二の迷う人の決定、七の見直しの判断は会社が持ちます。三の受付と仕分け、四の連絡、五の記録、六の見方の整理は、外の人に出せます。手順一の基準を作る作業も、案を外の人が出して会社が決める形なら出せます。切り分けの詳しい話は書類選考は代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「基準はあるが、仕分けと連絡が回っていない」ときです。基準が無いまま外に出しても、外の人も仕分けられません。逆に、基準があって人事が仕分けられているなら、外に出す必要はありません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、書類選考で会社ごとに差がつくのは、手順二の「迷う人を決める人と期限」があるかどうかです。基準はどの会社も作ろうとしますが、迷う人の扱いを決めていない会社が多く、そこで止まります。担当者が仕分けを翌日までに終えても、迷う人が責任者の机で一週間止まると、候補者から見れば一週間返事が無いのと同じです。エラベルで書類選考を担当する人には、最初の一週間で基準を三つに分けるのと同時に、「迷う人は誰が、いつまでに、いなければ誰が」を会社と決めてもらっています。ここが決まっている会社は、担当者が替わっても書類選考が止まりません。逆に、ここが決まっていない会社は、どれだけ経歴を読める担当者が入っても、連絡の速さは責任者の予定に左右されます。
まとめ
- 書類選考は「届いた順に責任者が見る」ではなく、基準を先に三つに分けるところから始める
- 手順は基準を三つに分ける→迷う人を決める人と期限→受付と仕分けの型→連絡の期限と文面→記録の表→週に一度見る→月に一度見直すの七つ
- 仕分けは基準に照らす作業なので人事ができる。責任者は基準を作るときと迷う人を決めるときに見る目を使う
- 通す人への連絡は面接官の枠を先に空けてから。断る人にも翌日までに出す
- 記録の表は「理由」と「面接の結果」を同じ行に置き、通した人が面接でずれる項目を基準に戻す
- 外に出せるのは受付・仕分け・連絡・記録・見方の整理。基準の決定・迷う人の判断・見直しの判断は会社が持つ
よくある質問
基準を三つに分けると、良い人を取りこぼしませんか
取りこぼしが起きるのは、書類で読めないものを「断る」に入れたときです。提案力や人柄のように書類で読めない項目は「面接で確かめる」に入れ、書類では落としません。「基準には合わないがこの経験が活きそう」という人は「迷う」に入れて責任者が見るので、基準の外にいる人も責任者の目に届きます。基準を分けることで取りこぼすのではなく、基準が曖昧なまま見る人の気分で落とすことのほうが、取りこぼしになります。
応募が少ないので、全件を面接に呼んでもよいですか
応募が少ないときは、基準の「断る」を最小限にして、迷う人を広めに取る形にします。それでも、勤務地に通えない、必須の資格が無いなど、面接をしても変わらない項目は書類で断ったほうが、候補者の時間も面接官の時間も無駄になりません。全件を呼ぶと面接官の枠が埋まり、本当に会いたい人の日程が遅れます。応募が少ない原因は、書類選考ではなく母集団の側にあるので、そちらを先に見ます。
通過率はどのくらいが適正ですか
一つの数字で決まるものではなく、経路と要件で変わります。見るべきは数字そのものより、落とした人の理由の分布です。要件に近い人を落としているなら基準が高すぎ、要件からまったく外れた人ばかりなら求人の文面が合わない人を呼んでいます。通過率が低いときの見分け方は書類通過率が低いときに見る数字に書いています。