採用代行 / 富山県
富山県の採用代行|地域の採用事情と依頼先の選び方
「富山県は全国4位の1.46倍です」という説明は正しいのですが、そのまま自社に当てはめられる企業はほとんどありません。富山労働局が公表している令和8年7月の職業別の表では、土木作業従事者が12.52倍、事務用機器操作員が0.23倍で、同じ県・同じ月に54倍の開きがあります。この記事では、自社の募集を職業別の表のどの行に当たるかまで特定し、その行の数字から代行に頼む工程を決める手順を整理します。以下は2026年9月24日時点で富山労働局が公表している令和8年7月分の数値に基づきます。
最初に、募集する職業を表の行まで特定する
県全体の数字から確認します。令和8年7月の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.46倍で全国4位、全国平均は1.18倍です。北陸では福井県が1.55倍で2位、石川県が1.44倍で5位に並びます。ただし県の代表値は、職業ごとの大きな幅を平均したものにすぎません。
富山労働局の「職業別有効求職・求人・求人倍率」(パートを含む常用)では、職業計が有効求職者15,063人、有効求人21,284人、1.41倍です。下の表は、その中から倍率の高い側と低い側を抜き出したものです。自社の募集がどの行に近いかを探しながら見てください。
| 職業 | 有効求職者数 | 有効求人数 | 求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 土木作業従事者 | 54人 | 676人 | 12.52倍 |
| 建設従事者(建設躯体工事を除く) | 35人 | 409人 | 11.69倍 |
| 建築・土木・測量技術者 | 77人 | 899人 | 11.68倍 |
| 建設躯体工事従事者 | 27人 | 283人 | 10.48倍 |
| 電気工事従事者 | 57人 | 376人 | 6.60倍 |
| 医療技術者 | 85人 | 404人 | 4.75倍 |
| 介護サービス職業従事者 | 460人 | 1,851人 | 4.02倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 214人 | 173人 | 0.81倍 |
| 生産関連・生産類似作業従事者 | 280人 | 197人 | 0.70倍 |
| 一般事務従事者 | 2,751人 | 1,162人 | 0.42倍 |
| 居住施設・ビル等管理人 | 53人 | 19人 | 0.36倍 |
| 美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者 | 169人 | 48人 | 0.28倍 |
| その他の運搬・清掃・包装等従事者 | 1,304人 | 351人 | 0.27倍 |
| 事務用機器操作員 | 128人 | 30人 | 0.23倍 |
建設に関わる職業が10倍台、事務に関わる職業が0.2〜0.4倍台に集まっています。区分は平成21年12月改定の「日本標準職業分類」に基づくので、社内の職種名ではなく、この分類の名前で自社の募集を言い直すところから始めます。
行が決まると、頼む工程が逆になる
特定した行の倍率によって、代行に頼む中心は変わります。10倍台の職業では求職者がほとんどいないので、応募を待つ設計が成り立たず、経路の開拓と条件の見直しが中心です。2〜4倍台では競合が多いため、条件を比べられることに備え、決定までの速さを上げます。1倍前後なら工程全体のバランスを見ます。0.5倍以下では求職者のほうが多いので、選別と見極めの基準づくりに手をかけます。
同じ県の中で、応募を増やす依頼と、応募を絞り込む依頼が並ぶということです。「富山県の採用」をひとまとめに委託すると、職業ごとに逆向きの工程を同じ設計で回すことになります。複数の職種を募集する会社は、職業の行ごとに依頼を分けて見積もるほうが、費用の使い道を説明しやすくなります。
表に出てこない3,156人をどう扱うか
同じ表には見落とされやすい行があります。「分類不能の職業」で、有効求職者は3,156人、有効求人は0人です。有効求職者15,063人のうち、およそ21%、5人に1人がここに入っています。求人側は0件なので、この層は特定の職業の求人と結びついていません。
読み方は二つあります。一つは、職業別の倍率が職業を特定した求職者だけで計算されていることです。実際の応募の可能性は、職業別の倍率が示すほど厳しくない場合があります。もう一つは、職業を決めていない求職者に、自社の仕事が候補として見えるかという問題です。職種名に一般的な呼び方を併記する、経験がない人にも仕事の内容が伝わる書き方にする、経験年数や資格の要件を必要な範囲にとどめる、といった工夫がここで効きます。
倍率が10倍を超える職業では、経験者だけを対象にすると母集団は数十人という計算になります。なお資料には、ハローワークに来所せずオンライン上で求職登録した求職者数が含まれている、という注記があります。
エラベルの見解
分類不能の職業に3,156人いるという数字は、最初は統計上の端数のようなものだと読み違えそうになりました。ところが有効求職者全体の21%です。職業別の表をどれだけ細かく読んでも、この5分の1は表に出てきません。採用の相談では「経験者が見つからない」という話になりがちですが、職業を決めていない層が2割いる県で経験者だけを見ているのは、母集団の使い方として偏っています。未経験者の受け入れには教育の設計が要り、ここは代行会社ではなく社内で担う部分です。外に出せるのは求人の書き方と応募者対応までなので、教育の担い手を先に決めてから委託の範囲を切ってください。
IT・福祉・建設は、括り方で結論が変わる
富山労働局の職業別の表には、通常の職業分類とは別に三つの合計が設けられています。IT、福祉、建設の関連職業をまとめた行で、通常の分類にまたがるため各職業の数字と重複します。足し上げると二重に数えることになるので、比べるときだけ使います。
| 区分 | 有効求職者数 | 有効求人数 | 求人倍率 |
|---|---|---|---|
| IT関連職業合計 | 395人 | 571人 | 1.45倍 |
| 福祉関連職業合計 | 991人 | 3,369人 | 3.40倍 |
| (うち介護関係) | 587人 | 2,312人 | 3.94倍 |
| 建設関連職業 | 250人 | 2,643人 | 10.57倍 |
目を引くのはITです。情報処理・通信技術者だけを見ると0.81倍で求職者のほうが多いのに、IT関連全体では1.45倍で、職業計の1.41倍とほぼ同じ水準になります。どの括りで見るかで、「採りやすい」と「普通」が入れ替わります。代行会社と話すときは、どちらの行を前提にしているかを先にそろえてください。
県全体の月次は「どちらが動いたか」で読む
職業別の行を決めたあとも、県全体の月次の動きは毎月確認します。令和8年7月(受理地別・季節調整値)では、有効求人数が21,926人で前月比0.2%増、有効求職者数が15,049人で2.0%増でした。新規求人数は7,803人で0.4%減、新規求職者数は3,305人で2.1%増です。有効求人倍率は1.46倍で0.02ポイント、新規求人倍率は2.36倍で0.06ポイント下がりました。
求人がほぼ横ばいで、求職者が2%前後増えたことで倍率が下がった月です。求人が減って下がる場合は競合の出稿が減っている意味になりますが、今回は動く人が増えて母集団が広がる方向の材料です。ただし前月比の単月の動きなので、傾向かどうかは複数月で確かめます。倍率が動いたときに求人と求職者のどちらが動いたかを確認する習慣をつけると、倍率だけを見る運用から抜けられます。
富山労働局は月次で、都道府県順位を含む「富山労働市場ニュース」、「労働市場月報」、「図表でみる労働市場」、職業別の三つの数字、そして「職種別求人・求職賃金情報」の五つの資料を出しています。職業別の倍率と職種別の賃金が同じ月に出るので、倍率で状況をつかみ、賃金で条件を検証する流れが組めます。
契約前に、職業ごとの母集団を見積もる
代行会社に見積もりを頼む前に、職業の行ごとに次の数字をそろえます。非公開の料金を比べる前に、自社の募集がどれだけの母集団を相手にしているかを出しておくと、提案の妥当性を判断できます。
| 見積もりの材料 | 自社で出すもの | 代行会社に聞くこと |
|---|---|---|
| 母集団の上限 | 該当する行の有効求職者数 | その人数に対して、どの経路で接触するか |
| 経験の条件 | 経験者限定か、未経験者も受け入れるか | 未経験者向けの求人の書き方を含むか |
| 条件の検証 | 自社の提示賃金 | 職種別の賃金情報と照らした見立てを出せるか |
| 報告の中身 | 倍率に加えて求人数と求職者数を追うか | 倍率が動いた理由を分けて報告するか |
委託の費用は、職業の行ごとに作業量を出して比べます。10倍台の職業なら経路の開拓にかかる時間、0.5倍以下の職業なら「応募数 × 一件あたりの選考対応の時間」が中心になるので、同じ月額でも中身がまったく違う見積もりになります。「富山県は全国4位です」で終わる提案や、分類不能の3,156人に触れない提案は、資料を通して読んでいない可能性があります。なお、労働関係の法令や助成金の適用については個別の判断が伴いますので、専門家にご確認ください。
エラベルの見解
北陸3県を並べて見ると、富山県の資料は職業の粒度が細かいと感じます。事務だけでも一般事務・会計事務・生産関連事務・営業販売事務・外勤事務・運輸郵便事務・事務用機器操作に分かれています。ここまで分かれていれば、自社の募集がどこに当たるかを特定でき、県の代表値1.46倍とは違う数字が出てきます。同じ料金の代行でも、この行を自分で探してくる担当者と、県の順位から話を始める担当者では、最初の月の打ち手が変わります。担当者を選ぶ段階で「うちの職種は何倍ですか」と聞いてみるのが、いちばん早い見分け方です。近隣県の状況は福井県の採用代行、石川県の採用代行に、工程を数字で追う考え方は採用の可視化にまとめました。
まとめ
- 富山県は1.46倍で全国4位だが、職業別では土木作業従事者12.52倍から事務用機器操作員0.23倍まで開く
- 自社の募集を日本標準職業分類の行まで特定し、その行の倍率で頼む工程を決める
- 有効求職者のおよそ21%は分類不能の職業で、職業別の表に出てこない。未経験者の受け入れを検討する材料になる
- IT関連は括り方で0.81倍にも1.45倍にもなる。どの行を前提にするかを代行会社とそろえる
- 月次は倍率だけでなく、求人と求職者のどちらが動いたかで読む
よくある質問
Q. 富山県は全国でも採用が難しい県ですか
令和8年7月の有効求人倍率は1.46倍で全国4位なので、県全体では求人のほうが多い状態です。ただし職業によっては0.2〜0.4倍台で求職者のほうが多い行もあります。自社の募集がどの職業に当たるかで答えが変わります。
Q. 職業別の倍率はどこで確認できますか
富山労働局が月次で公表している「職業別有効求職・求人・求人倍率」の表で確認できます。同じ月に「職種別求人・求職賃金情報」も出るため、賃金の条件もあわせて確かめられます。掲載した数値は2026年9月24日時点のもので、毎月更新されます。
Q. 経験者が採れない職種は、代行に何を頼めばよいですか
倍率が10倍を超える職業では、経験者だけでは母集団が数十人にとどまる計算になります。未経験者を受け入れるかを社内で決めたうえで、求人の書き方や経路の開拓を代行に頼むのが一案です。教育の担い手は社内に残す前提で範囲を切ってください。