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育児休業の制度|1歳まで2回・延長の要件と、出生時育児休業の28日

公開 2026-09-23

副業で人事を受けていると、育児休業について「何回まで取れるのか」「いつまで延ばせるのか」を聞かれます。制度が段階的に広がってきたため、社内の規程が古いままになっている会社が少なくありません。結論を先に書くと、育児介護休業法第5条第1項は「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業…をすることができる」と定め、第2項は、一歳到達日までの期間内に「二回の育児休業」をした場合には、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き申出ができないとしています。さらに第9条の2が、これとは別枠の出生時育児休業を定めています。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。産前産後は産前産後休業の制度に、復帰後の働き方は短時間勤務制度にまとめています。

一歳まで、そして延長

原則(第5条第1項)。「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業(第九条の二第一項に規定する出生時育児休業を除く。)をすることができる」。

有期雇用の要件(同項ただし書)。「期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる」。

分割は二回(第5条第2項)。「労働者は、その養育する子が一歳に達する日(以下「一歳到達日」という。)までの期間(当該子を養育していない期間を除く。)内に二回の育児休業…をした場合には、当該子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、前項の規定による申出をすることができない」。

一歳から一歳六か月(第5条第3項)。次のいずれにも該当する場合(省令で定める特別の事情がある場合は第二号に該当する場合)に限り申し出ることができます。

一歳六か月から二歳(第5条第4項)。同じ構造で、「一歳六か月に達する日(一歳六か月到達日)において育児休業をしている場合」などの三要件が置かれています。

延長は自動ではありません。三つの要件をすべて満たす必要があり、しかも第一号は「一歳到達日において育児休業をしている」ことを求めています。会社が「保育園に入れなかったら自動で延びる」と説明していると、要件の確認が抜けます。

開始予定日の原則(第5条第6項)。第3項・第4項の申出については、省令で定める特別の事情がある場合を除き、一歳到達日の翌日(または一歳六か月到達日の翌日)を育児休業開始予定日としなければならない、とされています(配偶者が同項の申出により育児休業をする場合は、その終了予定日の翌日以前の日)。夫婦で交代する形を想定した書き方です。

出生時育児休業と、事業主の義務

出生時育児休業(第9条の2第1項)。「労働者は、その養育する子について、その事業主に申し出ることにより、出生時育児休業(育児休業のうち、…子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで…の期間内に四週間以内の期間を定めてする休業をいう。)をすることができる」。出産予定日より早く/遅く生まれた場合の期間の取り方も、同項の括弧書きに書かれています。

有期雇用の要件(同項ただし書)。「期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子の出生の日(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日)から起算して八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる」。

回数と日数(第9条の2第2項)。次のいずれかに当たる場合は申出ができません。

通常の育児休業とは別枠です。第5条第1項の括弧書きが「第九条の二第一項に規定する出生時育児休業を除く」としているとおり、二つは別の制度として数えます。

事業主は拒めません(第6条第1項)。「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない」。ただし書きで、過半数労働組合等との書面による協定で定めた場合に限り、次の労働者からの申出を拒むことができます。

協定がなければ除外できません。「一年未満の人は取れない」と現場が思い込んでいる会社では、まず協定の有無を確かめます。

開始日の指定(第6条第3項)。育児休業開始予定日とされた日が申出の日の翌日から起算して一月(第3項・第4項の申出については二週間)を経過する日より前であるときは、省令で定めるところにより、その間のいずれかの日を開始予定日として指定できる、とされています。

子の看護等休暇(第16条の2第1項)。「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子(…「小学校第三学年修了前の子」…)を養育する労働者は、…一の年度において五労働日(その養育する小学校第三学年修了前の子が二人以上の場合にあっては、十労働日)を限度として、…休暇(…「子の看護等休暇」という。)を取得することができる」。負傷・疾病の世話、予防のための世話、学校の休業等に伴う世話のほか、教育・保育に係る行事への参加も対象として挙げられています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、育児休業の案件でやることの大半は、規程と条文の突き合わせです。分割の回数、延長の要件、出生時育児休業の扱い、子の看護等休暇の対象年齢。制度が段階的に広がってきたぶん、どこかの時点で止まっている規程がよく見つかります。条文を印刷して、規程と並べて一行ずつ確かめる。地味ですが、これが本体です。

そのうえで、実務で効くのは申出から復帰までの日付の設計です。第6条第3項は、開始予定日が申出の日の翌日から一月を経過する日より前であるときに、事業主が開始日を指定できる仕組みを置いています。ここを知らないと、会社は急な申出に対応できず、現場が混乱します。逆に、いつまでに申し出てほしいかを社内で案内しておけば、指定の出番はほとんどなくなります。条文を守るための運用ではなく、条文を使わずに済む運用を作るのが、この領域の勘どころです。

もう一つ、男性の取得を想定した設計を入れておきます。出生時育児休業は四週間以内・二回まで・通算二十八日という枠で、業務の調整がしやすい形です。取得の相談が来てから慌てるより、申出の様式と引き継ぎの型を先に用意しておくほうが、現場の抵抗が小さくなります。エラベルは依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、この設計をやった経験は、経歴に書いておくと効きます。

周知・意向確認と、公表

申出があった場合の措置(第21条第1項)。「事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、…当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出等に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない」。

就業条件の意向確認と配慮(第21条第2項・第3項)。第2項は、子の心身の状況や家庭の状況に起因して子の出生の日以後に発生し、又は発生することが予想される職業生活と家庭生活との両立の支障となる事情の改善に資する就業に関する条件について、労働者の意向を確認しなければならないとしています。第3項は「事業主は、前項の規定により意向を確認した労働者に係る就業に関する条件を定めるに当たっては、当該意向に配慮しなければならない」。

第6項は不利益取扱いの禁止です。申出をしたこと、または確認された意向の内容を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁じています。

雇用環境の整備(第22条第1項)。育児休業申出等が円滑に行われるようにするため、次のいずれかの措置を講じなければならないとされています。

取得状況の公表(第22条の2)。「常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも一回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況として厚生労働省令で定めるものを公表しなければならない」。公表の中身と実務は育児休業取得率の公表義務にまとめています。

副業の人事が作るのは、次の形です。個別の適否の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

作るもの中身
規程の突き合わせ分割二回、延長の三要件、出生時育児休業、子の看護等休暇の対象年齢
労使協定除外する労働者の範囲。協定がない除外は成り立たない
申出の様式育児休業/出生時育児休業/延長。開始・終了予定日を明らかにする欄
期日の案内いつまでに申し出てほしいか。第6条第3項の指定を使わずに済む運用
周知の資料第21条第1項で知らせる事項。面談で使う一枚
意向確認の様式第21条第2項の就業に関する条件。第3項の配慮の記録
雇用環境の整備第22条第1項の三つのどれを選ぶか。研修なら年間計画
引き継ぎの型業務の棚卸し、引き取る人、復帰後の戻し方
復帰前面談時期、話す内容。短時間勤務や所定外労働の制限の案内
公表の準備常時雇用する労働者の数が三百人を超える場合。年一回の段取り
給付の案内育児休業給付の手続の流れ。要件と金額はハローワークで確認

給付の金額は書かない。育児休業給付は雇用保険の枠で、要件や率は改正があります。社内資料には手続の流れと問い合わせ先だけを書き、金額はハローワークの案内に委ねるのが安全です。雇用保険の適用範囲もあわせてご覧ください。

エラベルの見解

外に出してよいのは、規程の突き合わせ、労使協定の項目立て、申出と意向確認の様式、周知の資料、雇用環境の整備の選択、引き継ぎの型、公表の段取りまでで、「この事情が特別の事情に当たるか」「この取扱いが不利益取扱いに当たるか」といった個別の判断は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士の範囲です。

担当する側から見ると、この案件の分かれ目は、第21条第2項・第3項をどう扱うかにあります。条文は、子の状況や家庭の状況に起因して出生後に生じ得る両立の支障について、就業に関する条件の意向を確認し、条件を定めるに当たってその意向に配慮しなければならない、としています。これは「制度を案内する」より一段踏み込んだ義務です。

実務では、面談のときに聞く項目を先に決めておきます。復帰の時期の見通し、勤務時間の希望、勤務場所の希望、残業や出張の可否、通院や行事の頻度。そして、聞いた内容をどう扱うかも決めておく。聞くだけ聞いて何も変わらないと、本人は次から本音を言わなくなります。聞いた以上は返すという運用を作れるかが、この条文を機能させるかどうかを分けます。

そして、ここで拾った希望は、復帰後の配置や短時間勤務の設計にそのまま使えます。制度対応として始めた面談が、人員計画の材料になる。この折り返しができる人は、両立支援の案件から人事全体の仕事に広がっていきます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、この広がりを経験した人は、次の案件で選ばれやすくなります。

まとめ

よくある質問

育児休業は何回に分けて取れますか

育児介護休業法第5条第2項は、一歳到達日までの期間内に二回の育児休業をした場合には、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、第1項の申出をすることができないと定めています。したがって、一歳までの育児休業は二回まで分割できる形です。これとは別に、第9条の2の出生時育児休業があり、こちらは出生の日から八週間を経過する日の翌日までの期間内に四週間以内の期間を定めて、二回まで、通算二十八日を限度として取得できます。自社の規程がこの構造になっているかを確かめます。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

保育園に入れなかったら、自動的に延長されますか

自動ではありません。第5条第3項は、一歳から一歳六か月に達するまでの子についての申出を、三つの要件をいずれも満たす場合(省令で定める特別の事情がある場合は第二号に該当する場合)に限って認めています。第一号は、当該労働者又はその配偶者が一歳到達日において育児休業をしていること、第二号は、一歳到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当すること、第三号は、その期間についてこの項の申出により育児休業をしたことがないことです。第6項は、原則として一歳到達日の翌日を開始予定日とすべきことも定めています。当てはめの判断は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

入社して半年の人から申出がありました

第6条第1項は「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない」と定め、ただし書きで、過半数労働組合等との書面による協定で定めた場合に限り、引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者などからの申出を拒むことができるとしています。したがって、まず労使協定があるかを確かめます。協定がなければ、勤続期間を理由に拒むことはできません。協定がある場合も、対象として定められた労働者に該当するかを確認します。個別の判断は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご確認ください。

出典