就業規則の整備の副業単価の目安と決め方|条文は書かず「実態の照らし合わせと周知」で値段をつける
就業規則の整備の副業は、依頼先の会社の就業規則が、今の働き方と合っているかを確かめ、見直しが必要な点を整理し、見直した就業規則が社員に伝わるようにする仕事です。人事として就業規則の運用や改定に関わった経験がある人に向いた副業です。ただし、就業規則の整備は、社会保険労務士の業務と重なる部分が大きい仕事です。単価を決める前に、自分が受ける範囲と、社会保険労務士に任せる範囲を分ける必要があります。結論から書くと、就業規則の整備の副業単価は、条文を書くことではなく、実態の照らし合わせ・専門家への材料づくり・周知の支援・運用の確認の時間から組み立てると、無理のない単価になります。
単価は依頼先や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では金額の相場は扱いません。
先に決める:受ける範囲と、受けない範囲
社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならないとしています。第2条第1項第1号から第2号には、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、その提出の手続の代行、申請等の代理、帳簿書類の作成などが含まれています。
就業規則の作成や届出の代行がこれにあたるかどうかなど、個別の判断は社会保険労務士などの専門家にご確認ください。副業として受けるときは、次のように範囲を分けておくと、線引きがはっきりします。
| 区分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 実態の照らし合わせ | 就業規則に書いてあることと、実際の働き方の違いを洗い出す | 自分の範囲として受ける |
| 専門家への材料づくり | 会社が変えたい点、その理由、社員の声を整理する | 自分の範囲として受ける |
| 条文の作成と届出 | 就業規則の条文を書く、届け出る | 社会保険労務士が行う |
| 周知の支援と運用の確認 | 社員への説明の資料、質問の受け皿、運用の確認の仕組み | 自分の範囲として受ける |
受ける範囲は、契約の前に書面で依頼先と確かめておいてください。
作業の時間から単価を組み立てる
受ける範囲の作業は、次のように分けられます。
| 作業 | 中身 | 時間のかかり方 |
|---|---|---|
| 実態の照らし合わせ | 項目ごとに、書いてあることと実際の運用を確かめる | 就業規則の長さと、働き方の種類で変わる |
| 材料づくり | 変えたい点、理由、社員の声、今の運用の記録をまとめる | 変えたい点の数で変わる |
| 周知の支援 | 説明の資料、説明会の進行、質問の受け皿をつくる | 社員の数と拠点の数で変わる |
| 運用の確認 | 見直した就業規則どおりに運用されているかを確かめる仕組みをつくる | 含めるかどうかで変わる |
単価を組み立てるときは、各作業にかかる時間を見積もり、自分の時間単価を掛けてください。実態の照らし合わせは、働き方の種類が多い会社(交替制、在宅勤務、短時間勤務などが混ざる会社)ほど時間がかかります。時間単価の考え方は本業年収と副業単価の関係で書いています。
エラベルの見解
就業規則の整備の副業単価で多い失敗は、依頼先から「ついでに条文も直しておいて」と頼まれ、そのまま受けてしまうことです。条文を書くことは社会保険労務士の業務と重なるおそれがあるうえ、条文の書き方ひとつで会社と社員の権利や義務が変わります。副業の立場で引き受けると、責任の重さに見合わない形で関わることになります。
こうした頼みが出たときは、条文を書くのではなく、社会保険労務士が条文を書くための材料を整える、という形で応えてください。範囲を守りながら依頼先の困りごとに応えられる人ほど、社会保険労務士とも組みやすくなり、紹介を受けることにもつながります。
就業規則の作成・意見聴取・周知の決まり
就業規則には、作成から周知までの決まりがあります。周知の支援や運用の確認を受けるときに、押さえておいてください。
- 作成と届出:労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、始業及び終業の時刻、賃金、退職に関する事項などについて就業規則を作成し、行政官庁に届け出ることを求めています
- 意見聴取:第90条は、就業規則の作成や変更について、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないとしています
- 周知:第106条は、就業規則などを、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならないとしています
周知の支援では、就業規則をただ掲示するだけでなく、社員が読んで分かる説明の資料をつくり、質問を受ける窓口を整えることが役に立ちます。就業規則の整備の仕事の中身は就業規則の整備の副業の仕事で書いています。
単価を上げていくには
就業規則の整備の副業で単価を上げていくには、次のことが役に立ちます。
- 社会保険労務士と組む:条文は社会保険労務士、実態の照らし合わせと周知は自分、という形で一緒に提案する
- 運用の確認まで受ける:見直した就業規則どおりに運用されているかを、一定期間確かめる
- 採用とつなげる:求人で示す労働条件と就業規則の内容がずれていないかを確かめる
エラベルの見解
就業規則の整備で、もう一つ考えてほしいのは、就業規則は採用の約束にもつながるということです。求人や面接で伝えた働き方と、就業規則に書いてあることがずれていると、入社後に社員が戸惑い、早く辞めることにつながります。
採用に関わってきた人事経験者なら、求人で示す労働条件と就業規則のずれに気づくことができます。この視点で実態の照らし合わせを行えることは、依頼先にとっての価値になり、単価を上げる根拠になります。
まとめ
- 就業規則の整備は社会保険労務士の業務と重なるため、受ける範囲を先に書面で決める
- 単価は、実態の照らし合わせ・専門家への材料づくり・周知の支援・運用の確認の時間から組み立てる
- 「ついでに条文も」という頼みには、材料を整える形で応える
- 就業規則には作成・届出、意見聴取、周知の決まりがある
- 社会保険労務士と組み、採用とつなげることが、単価を上げる根拠になる
よくある質問
就業規則の整備の副業単価の相場はいくらですか
依頼先や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。受ける範囲の作業ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。
社会保険労務士の資格がなくても就業規則の仕事を受けられますか
社会保険労務士法では、社会保険労務士でない人が報酬を得て行えない事務が定められています。条文の作成や届出の代行はせず、実態の照らし合わせや周知の支援など、受けられる範囲を決めて受けてください。個別の判断は専門家にご確認ください。
依頼先に社会保険労務士がいない場合はどうすればよいですか
条文の作成や届出が必要になったときに困らないよう、依頼先に社会保険労務士との契約を検討してもらうよう提案してください。そのうえで、社会保険労務士に渡す材料を整えることが、副業として受けられる仕事になります。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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