人事副業 / 就業規則の整備
就業規則の整備で副業を始めるには|最初の1件の取り方
社内で就業規則の整備に関わってきた。実態とのずれを洗い出し、専門家と往復し、社員に周知し、運用を確認してきた。この経験を副業で使えないか。そう思って募集を見ると、「就業規則の見直し」「規程の整備」の案件はあるのに、自分の何を見せれば選ばれるのか、そして何を受けてよいのかが分からない。「就業規則が作れます」と書くと、受けられない範囲の案件が来るからです。結論を先に書くと、最初の1件を取るには、「就業規則が作れます」ではなく「いまの規則と運用の実態を項目ごとに照らしてずれを一覧にし、会社が変えたい点と理由と社員の声を専門家(社会保険労務士・弁護士など)が判断しやすい材料に整え、決まった規則を読まれる形で周知して記録し、運用の確認の仕組みを作った」と、実態の照らし合わせと材料と周知の三つで見せます。作成と変更と法令の判断は、資格に関わる決まりがあると一般に整理されており、受けないことを先に自分の言葉で書きます。見本はずれの一覧の型と材料の型と周知の資料の型と運用の確認の仕組みと役割の線で作り、入口は、労務や採用の案件の中で提案、紹介、副業のプラットフォーム、担当者を選べる窓口の四つで、最初は「ずれの一覧だけ」「周知の支援だけ」「運用の確認の仕組みだけ」と小さく受け、受ける前に専門家の有無と条文を書かないことの同意と個人情報の扱いを確かめ、最初の1件を「一覧と材料の型と周知の記録と確認の仕組みが残る形」で終えて2件目につなげます。受けられる範囲と案件の型は就業規則の整備の副業案件に、1案件の流れは就業規則の整備の副業の実務に、労務実務の始め方は労務実務で副業を始めるにはに書いています。ここでは「最初の1件の取り方」に絞ります。個別の判断は専門家にご確認ください。
先に決める:受けない範囲を自分の言葉で書く
就業規則の副業は、最初の1件を取る前に、「受けない範囲」を自分の言葉で書くところから始まります。就業規則を知っている人ほど、条文を直せそうに見え、依頼側も「たたき台だけでも」と頼みます。受けない範囲を先に書いておかないと、最初の1件で線を越えます。
| 受けない範囲 | 自分の言葉で書く例 |
|---|---|
| 就業規則の作成と変更(たたき台、案、修正文を含む) | 「条文の作成と変更は、専門家(社会保険労務士・弁護士など)が行います。私はたたき台も書きません。専門家が判断しやすい材料を整えます」 |
| 法令に合っているかの判断 | 「合っているかの判断はしません。書いてあることと、やっていることの差を一覧にします」 |
| 社員に不利益になる変更の扱い | 「その扱いには手続きや制約があると一般に整理されています。判断と手続きは専門家と御社です」 |
| 社員の相談への回答 | 「規則の解釈や処遇の質問は、事実を整理して御社に渡します。私は答えません」 |
| 個別の処遇の判断 | 「懲戒、休職、退職の個別の扱いには入りません。運用の確認の仕組みまでです」 |
この五つを、プロフィールと提案の最初に書きます。線の考え方は副業で法令違反をしないためにに書いています。
経験を棚卸しする:実態の照らし合わせ・材料・周知
依頼側が読むのは、「就業規則の知識」ではなく、「実態とのずれを漏れなく見つけ、専門家が判断しやすい材料に整え、決まった規則が社員に届いて運用される形を作れるか」です。社内の経験を三つに分けて書き出します。
| 項目 | 書き出すこと | 依頼側が読むこと |
|---|---|---|
| 実態の照らし合わせ | 項目ごとに「書いてあること」と「やっていること」をどう照らし、どんなずれと「書かれていないこと」を見つけたか | 条文ではなく実態から入れるか |
| 材料 | 専門家に何を渡し(変えたい点、理由、社員の声、運用の記録)、往復がどう減ったか。判断を書かずに渡せたか | 専門家が判断しやすい形にできるか。線を守れるか |
| 周知 | 決まった規則を、どう「読まれる形」にし、質問をどう集め、周知の記録をどう残したか。運用の確認をどう仕組みにしたか | 規則が生きる状態を作れるか |
いちばん差がつくのは一つ目です。「就業規則の見直しに関わりました」ではなく、「休暇と在宅の項目で、書いてあることと運用の差を一覧にしたら、専門家が『この材料なら判断が早い』と言い、往復が減った」と、やったことと変わったことの組で書きます。数字は会社の許可の範囲で。数字の見せ方は数字で語るに、実績の示し方は実績の示し方に書いています。
見本を作る:ずれの一覧の型・材料の型・周知の資料の型・確認の仕組み・役割の線
就業規則は、実物(会社の規則、運用の記録、社員の情報)を見せられません。見本は、型だけを、会社が特定できない形で作ります。
| 見本の要素 | 作り方 | 注意 |
|---|---|---|
| ずれの一覧の型 | 項目(勤務時間、休暇、在宅、副業、服務、評価、休職、懲戒など)を行に、「書いてあること」「やっていること」「書かれていないこと」「社員の声」を列に。「合っているか」の列は無い | 判断の列を作らない。架空の記入例は判断を含めない |
| 材料の型 | 変えたい点・理由・社員の声(個人が特定されない形)・運用の記録・聞きたいこと(事実・会社の意向・質問)の欄 | 条文の案の欄を作らない |
| 周知の資料の型 | 何が変わったか・なぜか・いつからか・質問はどこへ、を社員の目線で一枚に。条文の写しではなく要点 | 自分の解釈を書かない |
| 運用の確認の仕組み | 確認の項目、頻度(月次・半期・変更時)、記録の形、ずれが出たときの流れ(事実の整理まで) | 判断の欄を作らない |
| 役割の線の一枚 | 専門家がやること(作成と変更、法令の判断、不利益になる変更の扱い)・会社がやること(決定、手続き、周知の説明、回答)・自分がやること(ずれの一覧、材料、周知の資料と記録、確認の仕組み) | 自分の欄に「条文」「判断」を入れない |
見本が一組あれば、依頼側は「この人は条文を書く人ではなく、規則が生きる形を作る人だ」と読みます。見本の作り方はポートフォリオの作り方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、就業規則の最初の1件は、「規則に詳しい人」ではなく「判断の欄の無い一覧の型を見せられる人」に来ます。依頼側の多くは、「専門家に頼むと高い、社内に分かる人がいない」という状態で、外の人に「条文も判断も」を期待しています。見本の一覧の型に「合っているか」の欄が無く、役割の線の一枚で「作成と判断は専門家」と示されていれば、依頼側は「この人に頼めるのは実態の整理と周知で、条文は専門家に頼まないといけない」と気づきます。その気づきが、線を守ったまま案件を受ける入口になります。エラベルで担当者を選ぶ企業も、規則の知識より、「判断の欄を作らない人か」を見ています。受ける側がその場で使える判断としては、見本の一覧の型に、わざと「合っているか」の欄が無いことを、提案で一言添えること。「判断は専門家に渡すので、この欄はありません」の一言が、線を守る人の印になります。
プロフィールに書くこと
| 書くこと | 書き方の形 | 書かないこと |
|---|---|---|
| できる範囲 | 「就業規則の、実態とのずれの一覧・変えたい点の整理と専門家への材料・周知の資料と記録・運用の確認の仕組み。作成と変更と法令の判断は行いません」 | 「就業規則の作成」「規程の見直し」「労務コンプライアンス」 |
| 実態の照らし合わせ | 「項目ごとに、書いてあることとやっていることを照らし、ずれと書かれていないことを一覧にする。合っているかは判断しない」 | 「法令に精通」 |
| 材料 | 「専門家が判断しやすいように、変えたい点と理由と社員の声と運用の記録を整える。条文の案は書かない」 | 「たたき台の作成」 |
| 周知 | 「決まった規則を社員の目線の一枚にし、質問の受け皿と周知の記録を作る。説明と回答は会社」 | 「社員への説明」 |
| 結果 | 「〇〇の一覧で、専門家との往復が減った」「周知の記録で〇〇が減った」を二〜三組 | 「〇社の就業規則を作成」だけ |
| 線 | 「条文を書かない。法令の判断をしない。社員の相談に答えない。個別の処遇に入らない。個人情報は手元に残さない」 | 何でもやります |
止まりやすいのは、「就業規則の作成」「たたき台の作成」と書くときです。受けられない範囲の案件が来て、断るか、線を越えるかになります。プロフィールの書き方はプロフィールの書き方に書いています。
最初の1件が見つかる四つの入口
| 入口 | 向く人 | 進め方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 労務や採用の案件の中で提案 | すでに労務の一覧や採用の代行の案件を持っている | 入社の手続きや働き方の運用で「規則に書かれていない」が見えたとき、「規則と運用のずれを一覧にしませんか。条文は専門家に」と提案 | 労務の範囲と混ぜない。専門家の有無を先に聞く |
| 元の勤務先や知人の紹介 | 前職や取引先に、規則が古いまま社員が増えた会社を知っている | 「ずれの一覧だけ、まず」と範囲を絞って提案。専門家がいるかを先に聞く | 現在の勤務先の規則や運用の記録を持ち込まない |
| 副業のプラットフォーム | まず件数を見て選びたい | 「就業規則の見直し」の募集に、役割の線の一枚と一覧の型を付けて、「実態の整理と周知の支援。条文は専門家」の形で応募 | 「就業規則の作成」「たたき台」「労務相談」の案件は、範囲を直して提案するか避ける |
| 担当者を選べる窓口への登録 | 条件が合うときだけ受けたい | 登録して、役割の線と見本を出しておく | 窓口の仕組み(誰が何を決めるか)を確かめる |
最も通るのは、いちばん上の入口です。労務の一覧を作った会社は、規則と運用のずれにすでに気づいていて、「条文は専門家、実態はこの人」の線を受け入れやすい。案件の探し方は案件の探し方に、紹介の頼み方は紹介を頼むに書いています。
小さく受ける:ずれの一覧だけ・周知の支援だけ・確認の仕組みだけ
最初の1件は、一式ではなく、条文にも判断にも触れない範囲で受けます。
| 小さく受ける型 | やること | 見せられる結果 | 次につなぐ提案 |
|---|---|---|---|
| ずれの一覧だけ | 項目ごとに、書いてあることとやっていることと書かれていないことと社員の声を一覧にし、判断を書かずに会社と専門家に渡す | 一覧(判断なし)。専門家の往復の減り方 | 「変えたい点の整理と材料も整えます」→材料へ |
| 周知の支援だけ | すでに決まった(または専門家が直した)規則を、社員の目線の一枚にし、質問の受け皿と周知の記録を作る | 周知の記録と、質問の一覧 | 「運用の確認の仕組みを作ります」→確認へ |
| 運用の確認の仕組みだけ | 規則と運用がずれないよう、確認の項目と頻度と記録の形を作り、担当者が回せるようにする | ずれの検出の記録(判断なし) | 「ずれを一覧にして専門家に渡す形を整えます」→一覧へ |
止まりやすいのは、小さく受けたのに、「この一項目だけ案を書いて」と条文が流れてくるときです。「条文は、一項目でも専門家に」を書面に残します。
受ける前に確かめること
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 作成と変更と法令の確認を行う専門家(社会保険労務士・弁護士など)がいるか。いないなら契約を勧めることに同意するか | 条文の作成と判断が自分に来ないため |
| 条文(たたき台、案、修正文)を一切書かないことに会社が同意し、書面に残せるか | 「案だけでも」で線を越えないため。個別の判断は専門家にご確認ください |
| 受けない範囲(法令の判断、不利益になる変更の扱い、社員への回答、個別の処遇)に同意するか | 線を越えないため |
| 個人情報を見る範囲を絞り、個別の事例の中身を聞かず記録しないことに同意するか | 処遇の情報を手元に残さないため |
| 周知の説明と社員への回答は会社が行うこと | 自分が解釈を答える形にならないため |
| 評価の基準(ずれの一覧の網羅、専門家との往復、周知の記録、運用のずれの減り方。条文の完成ではない) | 条文の質で評価されないため |
| 本業の会社の副業の規定と守秘の条件 | 労務は本業と競合しやすい。守秘の条件は専門家に確認 |
確かめる順は副業で法令違反をしないためにに、個人情報の扱いは候補者の個人情報の扱いに、条件のすり合わせは条件のすり合わせに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「就業規則に詳しいので、たたき台くらいは書いたほうが役に立つし、単価も上がる」というものです。実際には、たたき台であっても条文を報酬を受けて作ることには、資格に関わる決まりの論点があると整理されており、間違いが出たときの責任を副業の人は負えず、会社にも実害が出ます。それは、役に立つ仕事ではなく、受けてはいけない仕事です。同じ人でも、「ずれの一覧と材料と周知」の範囲で受け、条文と判断は専門家、と線を引いた人は、1件目の終わりに「判断の無い一覧」「専門家との往復が減った記録」「周知の記録」「確認の仕組み」が残り、専門家からも「この人の材料は使いやすい」と言われ、次の会社を紹介されます。エラベルで就業規則の案件を続けている担当者は、例外なく、条文を一行も書いていません。受ける側がその場で使える判断としては、1件目の提案の最初の行に「条文は一項目も書きません。専門家が判断しやすい材料を整えます」と書くこと。書かないと決めた提案が、この仕事では続きます。単価の考え方は単価の相場と考え方に書いています。
最初の1件の終わらせ方と2件目へのつなぎ方
1件目は、「一覧と材料の型と周知の記録と確認の仕組みが残る形」で終えます。渡すものは、ずれの一覧(判断なし)、専門家への材料の型、周知の資料と記録、質問の受け皿と回答の記録(回答は会社と専門家のもの)、運用の確認の仕組み、です。社員の個人情報と個別の事例の記録は、自分の手元に一切残しません。会社の許可を得て、会社が特定できない形にした「一覧の型」「材料の型」「周知の資料の型」「確認の仕組み」「役割の線」を、実績と見本にします。会社の規則そのものと運用の記録は見せません。
2件目へのつなぎ方は二つです。同じ会社に、次の範囲(一覧→材料→周知→確認の仕組み→更新の型)を提案するか。労務や採用の案件を持つ別の会社に、規則と運用のずれが見えたとき、「一覧から。条文は専門家に」を提案するか。どちらも、「どの項目のずれを見つけて、専門家との往復がどう減り、周知の記録が何を防いだか」が具体であるほど通ります。専門家からの紹介も、この仕事では多い入口です。2件目の取り方は2件目の取り方に、実績の書き方は事例の書き方に書いています。
まとめ
- 先に受けない範囲(作成と変更・法令の判断・不利益になる変更の扱い・社員への回答・個別の処遇)を自分の言葉で書く。資格に関わる決まりがあると一般に整理されている。個別の判断は専門家にご確認ください
- 見せるのは実態の照らし合わせ・材料・周知の三つ。「就業規則が作れます」では受けられない範囲の案件が来る
- 見本はずれの一覧の型(判断の欄が無い)・材料の型・周知の資料の型・運用の確認の仕組み・役割の線を、会社が特定できない形で作る。判断の欄が無いことを提案で一言添える
- プロフィールに条文を書かない・法令の判断をしない・社員の相談に答えない・個別の処遇に入らない・個人情報は手元に残さないを先に書く。「就業規則の作成」「たたき台」と書かない
- 入口は労務や採用の案件の中で提案・紹介・プラットフォーム・担当者を選べる窓口の四つ。労務の一覧を作った会社への提案と、専門家からの紹介が通りやすい
- 最初はずれの一覧だけ・周知の支援だけ・確認の仕組みだけと、条文にも判断にも触れない範囲で受け、「条文は一項目でも専門家に」を書面に残す
- 受ける前に専門家の有無・条文を書かない同意・受けない範囲の同意・個人情報の扱い・周知と回答は会社・評価の基準・本業の規定と守秘を確かめる
- 1件目は一覧と材料の型と周知の記録と確認の仕組みが残る形で終え、規則そのものと運用の記録と社員の情報は見せず、残さない
よくある質問
社内で作ったずれの一覧や周知の資料を、見本にそのまま使ってよいですか
会社の許可の範囲で、会社が特定できない形にし、規則の中身と運用の記録と社員の情報を除いてから、構造だけを使います。一覧の欄の立て方、材料の型、周知の資料の型、確認の仕組みの形、という構造は自分の技能です。架空の記入例を作るときも、「合っているか」の判断を含めず、架空であることを明記します。現在の勤務先の規則や運用の記録の持ち込みには触れないでください。
「専門家は高いので、まずあなたに全部見てほしい」と言われました
条文と判断は受けません。「規則と運用のずれの一覧と、社員への周知の支援は私が行います。条文の作成と法令の確認は、専門家(社会保険労務士・弁護士など)に依頼してください。一覧があると、専門家の作業が短くなり、費用も抑えやすくなります」と、専門家に頼む前提で自分の範囲を示します。専門家なしで規則を変える会社は、あとで社員との間で問題になることが多く、その責任を副業の人は負えません。個別の判断は専門家にご確認ください。
最初の1件の単価はどう決めればよいですか
「作る工程(ずれの一覧、材料、周知の資料、確認の仕組み)」は成果物で、「回す工程(運用の確認の伴走)」は月次で、分けて見積もります。「就業規則の作成」「見直し」の言葉で見積もらないことが大事で、その言葉で受けると、受けられない範囲まで含んだ形になります。専門家の作成と確認と会社の決定の期間は、自分の稼働に含めません。1件目はずれの一覧か周知の支援から入り、2件目で確認の仕組みや更新の型に広げるときに見直す、という順が現実的です。相場は範囲と会社の人数で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。考え方は単価の相場と考え方に書いています。