人事副業 / 採用・人事の実務
インターンを設計する|「やれば採れる」ではなく、「目的・期間・中身・受け入れ・選考との関係」を先に決める型
「インターンをやれば新卒が採れる」と聞いて始めた依頼側で、現場が受け入れに疲れ、参加者は雑用で帰り、応募にはつながらない。原因は、インターンの目的が決まっていないことです。「知ってもらう」「体験してもらう」「見極める」は、それぞれ期間も中身も受け入れも違い、混ぜると全部が薄くなります。結論を先に書くと、インターンの設計は、目的を三つ(知ってもらう・体験してもらう・見極める)から一つ選び、目的ごとに期間と中身を決め、受け入れの担当と一日を設計し、選考との関係を参加者に明示して慣行や法令の整理は依頼側と専門家で確認し、参加者の情報と成果物の扱いを決め、報酬と労務の扱いは専門家に置き、終わった後の接点を用意して、効果は参加者からの応募と声で見ます。会社側から見た設計はインターンをどう設計するかに、新卒全体の設計は新卒採用を設計するに書いています。ここでは、インターンの型に絞ります。
目的が決まらないと負担だけが残る
| 目的が無い形 | 何が起きるか |
|---|---|
| 「とりあえず受け入れる」 | 現場が何をさせればよいか分からず、雑用になる |
| 「知ってもらう」と「見極める」を同時に | 参加者は見られていると感じ、本音を出さず、会社を知る場にもならない |
| 期間だけ決める | 中身が無く、日を埋めるための作業になる |
| 選考との関係が曖昧 | 参加者が「これは選考か」と不安になる。慣行や法令の整理にも関わる |
| 終わった後の接点が無い | 参加しただけで終わる |
目的が一つに決まれば、期間・中身・受け入れ・選考との関係が決まります。
目的は三つから一つ
| 目的 | 中身 | 期間の考え方 | 選考との関係 |
|---|---|---|---|
| 知ってもらう | 会社と仕事の実態を知る。社員と話す | 短い。一日から数日 | 選考とは別。参加は選考に影響しないと明示 |
| 体験してもらう | 実際の仕事の一部を、社員と一緒にやる | 数日から数週間 | 選考とは別が基本。関係を持たせるなら明示し、依頼側と専門家で確認 |
| 見極める | 課題や実務で、場面を見る | 目的に応じて | 選考の一部として明示。慣行と法令の整理を依頼側と専門家で確認 |
三つを混ぜません。一つの回で一つの目的です。複数の目的があるなら、回を分けます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、インターンの設計で最も差がつくのは、「目的を一つに絞る」を依頼側に通せるかです。受ける側は、依頼側の「知ってもらいたいし、良い人は見極めたい」に応えようとして、両方を一つの回に入れます。参加者は、「知る場」と聞いて来たのに評価され、次の回には来ません。「今回は知ってもらう回。見極めは選考で行う」と分ければ、参加者は安心して本音を話し、会社を知り、選考に自分から進みます。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「インターンの目的は、三つのうちどれか一つに決まっていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、設計の一枚の先頭に目的を一つ書き、中身の各項目が「その目的に合っているか」で削ること。合わない項目は、別の回に回します。
目的ごとの中身
| 目的 | 中身の例 | 参加者が持ち帰るもの |
|---|---|---|
| 知ってもらう | 社員が「最初の三か月」「一日の時間」「前の会社と違うこと」を話す。職場を見る。質問の時間 | 「この会社の実態」。候補者の迷いへの答え |
| 体験してもらう | 実際の案件の一部を、社員と一緒に。成果物を作る | 「この仕事を自分がやったらどうか」 |
| 見極める | 課題に取り組み、その過程で「決まりの無いことを自分で決めた場面」「意見が分かれた相手と合意した場面」を見る | 「自分がどう評価されたか」の説明(依頼側の決まりで) |
中身は、参加者の迷いに答えるものにします。会社の説明を長くするのは、どの目的でも避けます。社員が話す内容は、社員インタビューを書くの五つの問いで事前に聞いておきます。
受け入れの担当と一日
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 受け入れの担当 | 現場の一人。「毎日短く話す人」。一日中つかなくてよい |
| 一日の流れ | 朝に今日やること、日中は中身、夕方に振り返り。参加者が「今日何をしたか」を言える形 |
| 環境 | 席、道具、アカウント(必要なら)を初日に。初日に揃っていないと「歓迎されていない」と感じる |
| 参加者の質問の受け方 | 担当が受ける。答えられないことは翌日までに |
| 現場の負担 | 一日の中で、担当が使う時間を先に決める。決めないと現場が疲れる |
受け入れの設計は、オンボーディングの縮小版です。型はオンボーディングを設計するに書いています。
選考との関係は明示し、専門家と確認
インターンと採用選考の関係、参加者への情報提供、参加者の評価の扱いには、慣行や法令上の整理があると一般に整理されています。「選考とは別」でも「選考の一部」でも、参加者に先に明示し、その形が依頼側の決まりと慣行・法令の整理に沿っているかを、依頼側と専門家で確認します。担当者が「これで問題ない」と判断しません。個別の判断は専門家にご確認ください。線の詳細は副業で法令違反をしないためにに書いています。
参加者の情報と成果物の扱い
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 参加者の情報 | 取得は最小。同意の範囲と保管は依頼側の決まり。担当者は手元に持たない |
| 参加中の評価の記録 | 目的が「見極める」のときだけ。事実と判断を分けて。「知ってもらう」の回では評価を記録しない |
| 参加者が作った成果物 | 権利の扱いを先に決める。依頼側が事業に使うなら、その旨を参加者に明示。扱いは専門家に |
| 参加者が触れる社内の情報 | 見せてよい範囲を先に決める。機密は見せない |
「知ってもらう」の回で参加者を評価して記録すると、目的と違うことになり、参加者との信頼にも関わります。扱いは個人情報の扱いに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「インターンは報酬が無くてもよい」と、担当者が決めてしまうことです。報酬の有無、参加中の扱い(労務上の位置づけ)、保険の扱いは、インターンの中身(実際の仕事をするか、指揮を受けるか)によって法令上の整理が変わると一般に整理されていて、担当者が判断できる領域ではありません。「体験してもらう」で実際の仕事の一部をやる設計にするなら、その扱いを依頼側と専門家で先に確認します。受ける側がその場で使える判断としては、設計の一枚に「報酬と労務の扱い:依頼側と専門家で確認」の行を最初から入れ、埋まるまで募集を始めないこと。
終わった後の接点
| 時期 | 中身 |
|---|---|
| 最終日 | 参加への礼。「まず話を聞くだけ」の次の入口(カジュアル面談、次の回)を案内。押さない |
| 後日 | 一度だけ、礼と入口の再案内。同意の範囲で |
| 選考に進む場合 | 選考の流れを明示。インターンの評価を使うかどうかは、事前に明示した関係に従う |
| 進まない場合 | 同意の範囲でタレントプールに入れるか、情報を出す |
接点は一つ、押さず、希望する人だけ。プールの扱いはタレントプールを作るに書いています。
効果の見方
| 見る数字 | 取り方 |
|---|---|
| 参加者からの応募・面談の数 | 経路の列に「インターン」 |
| 参加者の声 | 最終日に「持ち帰るもの」があったか。一言 |
| 面接での「インターンで」の声 | 面接の記録の欄に一語 |
| 現場の負担 | 受け入れの担当が使った時間 |
参加者の数を主にせず、参加者からの応募と声を主にします。件数のまま並べ、割合で断定しません。次の回を続けるか、目的を変えるかは、依頼側が決めます。数字の伝え方は数字で語るに書いています。
よく起きる詰まりと直し方
| 詰まり | 直し方 |
|---|---|
| 目的が混ざる | 一つに絞る。回を分ける |
| 現場が雑用をさせる | 中身を目的から設計し、一日の流れを一枚に。担当の時間を先に決める |
| 選考との関係が曖昧 | 明示し、依頼側と専門家で確認 |
| 参加者を「知ってもらう」回で評価している | 評価の記録をやめる。見極めは別の回か選考で |
| 報酬と労務の扱いを担当者が決めてしまった | 依頼側と専門家の確認に戻す |
| 終わった後に接点が無い | 最終日に入口を一つ。押さない |
まとめ
- 「やれば採れる」ではない。目的が無いと負担だけが残る
- 目的は知ってもらう・体験してもらう・見極めるから一つ。混ぜず、回を分ける
- 中身は参加者の迷いに答えるもの。会社の説明は短く
- 受け入れは担当一人と一日の流れ。環境は初日に。現場の時間を先に決める
- 選考との関係は明示し、慣行と法令の整理は依頼側と専門家で確認。個別の判断は専門家にご確認ください
- 参加者の情報・評価の記録・成果物の扱いを先に決める。「知ってもらう」回で評価しない
- 報酬と労務の扱いは専門家の領域。担当者が決めない
- 終わった後の接点は一つ、押さず。効果は参加者からの応募と声
よくある質問
依頼側が「インターンで優秀な学生を囲い込みたい」と言います
「囲い込む」設計は、参加者に伝わり、逆に離れます。目的を「知ってもらう」に置き、参加者が自分で「この会社を受けたい」と判断する材料を渡す設計のほうが、結果として選考に進む人が出ます。選考との関係を持たせるなら、明示し、慣行と法令の整理を依頼側と専門家で確認します。担当者は「囲い込む」を「知ってもらう」に置き換える提案をするまでで、判断は依頼側です。
現場に受け入れの余裕が無いと言われました
「知ってもらう」の一日から始めます。一日なら、現場の負担は数時間で、社員が話す内容も社員インタビューを書くの五つの問いで用意できます。「体験してもらう」は、受け入れの担当と時間が確保できてからです。余裕が無いのに「体験」を始めると、雑用になり、参加者にも現場にも残りません。
インターンの参加者から、その後も連絡が来ます
参加者との関係は、同意の範囲と依頼側の決まりの中で、依頼側の人事が窓口になります。担当者が個人的に連絡を受ける形にせず、依頼側の窓口に渡します。参加者が選考に進みたいなら、選考の流れを案内し、そうでなければ、次の回やタレントプールの案内を同意の範囲で。参加者の連絡先を担当者が手元に持たないことを、最初に決めておきます。