離職防止の施策設計の副業単価の目安と決め方|「辞めた理由の分析」と「施策の設計」を分けて見積もる

業務別の人事副業離職防止の施策設計 更新日 2026-10-16

離職防止の施策設計は、依頼先の会社で社員が辞めていく理由を確かめ、辞める人を減らすための手立てを組み立てる副業です。入社して間もない社員の早期離職、特定の部署や職種に偏った退職、管理職の手前で辞めていく層など、依頼先が困っている離職の形はさまざまです。人事として退職の面談や定着の取り組みに関わってきた人なら、経験をそのまま活かせる仕事です。結論から書くと、この副業の単価は、辞めた理由の分析と施策の設計を分けて時間を見積もり、離職率の数字ではなく作業の範囲を約束する形で決めると、無理のない金額になります。

離職防止の副業単価には公的な統計がなく、依頼先や範囲で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。代わりに、自分の単価を組み立てる手順を書きます。

なぜ離職防止は副業で切り出されるのか

離職防止は、社内の人事が本来やるべき仕事に見えます。それでも外の人に頼まれるのは、社内の人事が採用や労務の日々の作業で手一杯になり、辞めた理由を落ち着いて分析する時間がとれないからです。もう一つの理由は、社内の人には話しにくいことでも、外の人になら話せる社員がいることです。退職の理由を上司や人事に正直に伝える社員は多くありません。

このため、依頼される仕事は「辞めた理由を外の目で整理してほしい」「整理した結果から、やることを決めてほしい」の二つに分かれます。前者だけを頼まれることもあれば、両方を頼まれることもあります。どちらを頼まれているかで作業の量が大きく変わるので、単価の話をする前に、まずここを依頼先と確かめてください。

1案件の流れと、それぞれにかかる時間

離職防止の施策設計は、おおむね次の順で進みます。各工程の時間は依頼先の規模や手元の材料で変わるので、ここでは何で時間が増えるかを並べます。

工程やること時間が増える条件
材料の確認退職者の数、在籍期間、部署、退職届や面談記録の有無を見る記録が紙や担当者の記憶にしかない
聞き取り在籍社員・管理職・可能なら退職者から話を聞く対象の部署が多い、退職者に連絡がとれない
理由の整理辞めた理由をいくつかの型に分け、多い順に並べる理由がばらばらで、型にまとまらない
施策の設計型ごとに手立てを決め、誰が・いつ・何をやるかを書く制度の変更(評価・給与)まで含む
振り返りの設計半年後・1年後に何を見て効果を確かめるかを決める依頼先に数字を追う担当がいない

この中で見積もりがずれやすいのは、聞き取りと理由の整理です。退職の記録がきちんと残っている会社なら材料の確認は短く済みますが、記録がない会社では、聞き取りから材料を作るところから始まります。初回の打ち合わせで、退職者の一覧と面談記録がどこまであるかを必ず聞いてください。理由の整理の進め方そのものは離職分析の実務スキルで詳しく書いています。

単価の組み立て方

単価は、上の工程ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて合計する形で組み立てます。時間単価の決め方は本業の年収と副業単価の関係を参考にしてください。そのうえで、受け方は大きく三つに分かれます。

受け方向いている依頼注意すること
分析だけを一括で受ける辞めた理由を整理した報告書がほしい報告書の範囲(対象期間・対象部署)を先に決める
分析と設計を一括で受ける何をやるかまで決めてほしい制度の変更を含むかで時間が倍近く変わる
月の稼働時間で受ける施策の実行にも伴走してほしい月ごとにやったことを報告し、続けるかを決める

初めての依頼先では、分析だけを一括で受け、その結果を見て設計に進むかを決める形が無理がありません。分析が終わる前に施策の範囲を決めると、制度の見直しが必要だと分かったときに見積もりが大きく外れます。

エラベルの見解

離職防止の単価でよく起きる失敗は、依頼先が最初に言った「離職の理由」をそのまま前提にして施策を見積もることです。「給与が低いから辞める」と言われて給与の比較から始めたら、聞き取りで出てきたのは「入社前に聞いた仕事と違った」「上司が忙しくて相談できなかった」だった、ということはよくあります。この場合、見積もった施策のほとんどが使えなくなり、作り直した分の時間は単価に入っていません。

担当する側から見ると、離職防止は理由の分析が終わるまで施策の量が読めない仕事です。だからこそ、分析と設計を分けて見積もり、分析の結果を依頼先と共有してから設計の見積もりを出す、という二段階の受け方を最初に提案してください。この順番を守れる担当者ほど、途中で見積もりを出し直さずに済み、依頼先からの信頼も残ります。

約束するもの・約束しないもの

依頼先からは「離職率を何パーセント下げてほしい」と言われることがあります。けれども、社員が辞めるかどうかは、給与の水準や事業の状況、上司との関係など、施策の外にあることに大きく左右されます。副業の立場で離職率の数字を約束するのは無理があり、達成できなかったときに報酬でもめる原因になります。

契約では、次のように整理しておくと安心です。

成果の数字を約束しない代わりに、効果を確かめて見直すところまでを仕事の範囲に入れる形です。振り返りの打ち合わせを契約に入れておけば、依頼先にとっても、何にお金を払っているかが分かりやすくなります。

つまずきやすい点:退職者と在籍社員の声の扱い

離職防止の仕事では、退職者や在籍社員から辞めた理由・辞めたい理由を聞きます。ここで扱うのは、本人にとって知られたくない話であることが多く、扱いを誤ると依頼先と社員の関係を壊します。個人情報の保護に関する法律第18条は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定めています。また第27条は、一定の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。

実務では、聞き取りの最初に「何のために聞くのか」「誰にどの形で伝えるのか」を本人に伝え、報告書では誰が言ったかが分からない形にまとめるのが基本です。特に少人数の部署では、発言の中身だけで本人が分かってしまうことがあるので、部署名を伏せる、複数の声をまとめて書くといった工夫が要ります。聞き取りの記録をどこに保存し、契約が終わったらどう返すか・消すかも、契約のときに決めておいてください。個別の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。

エラベルの見解

離職防止で、もう一つ見てほしいのは、辞める理由の多くは採用の入口で生まれているということです。求人票や面接で伝えた仕事の中身・働き方と、入社後の実際がずれていると、入社して数か月での退職が続きます。この場合、入社後の面談や研修をいくら厚くしても、入口のずれが残る限り同じことが繰り返されます。

採用の実務に関わってきた人は、退職者の話を聞いたときに「これは面接で伝えていなかったことだ」と気づけます。理由の整理の中に「採用時の説明とのずれ」という型を一つ置き、求人票や面接で伝える中身の見直しまで施策に含めて提案できると、ほかの担当者との違いがはっきりします。定着の打ち手を採用までさかのぼって組めることは、単価を上げる根拠としても説明しやすい強みです。

単価を上げていくには

離職防止の副業で単価を上げていくには、次のような積み重ねが役に立ちます。

社員の声を集める仕組みづくりから受ける場合は、エンゲージメント施策の副業単価もあわせてご覧ください。離職防止の仕事の中身全体は離職防止の施策設計の副業の仕事で書いています。

まとめ

よくある質問

離職防止の施策設計の副業単価の相場はいくらですか

依頼先の規模や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。工程ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。分析だけか、設計までかで時間が大きく変わる点に注意してください。

退職者に話を聞けない場合はどうすればよいですか

退職者に連絡がとれない場合は、退職届や面談の記録、在籍社員や管理職の聞き取りから理由を推し量ることになります。そのぶん確かさが下がるので、報告書には材料の限界を書いておいてください。今後に向けて、退職時の面談の記録の取り方を施策の一つとして提案することもできます。

施策を実行したのに離職が減らなかったらどうなりますか

離職率の数字を約束していなければ、報酬の減額にはなりません。最初に決めた物差しで変化を確かめ、何が効かなかったのかを依頼先と話し合ってください。施策の外にある要因(事業の状況や給与の水準など)が大きい場合は、それも報告に含めておくと次の判断に役立ちます。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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