人事副業 / 1on1・メンタリング
1on1・メンタリングで副業を始めるには|最初の1件の取り方
社内でメンター制度を回してきた。管理職の1on1を設計し、練習の場を作り、自分も社員の相談相手をしてきた。この経験を副業で使えないか。そう思って募集を見ると、「外部メンター」「1on1の導入支援」の案件はあるのに、自分の何を見せれば選ばれるのかが分からない。「話を聞くのが得意です」「メンター経験があります」では、親身な人にしか見えず、親身な人ほど守秘と線で事故を起こすからです。結論を先に書くと、最初の1件を取るには、「会社に返るものと返らないものを一枚で本人に示して同意を取り、答えを教えずに問いで整理して本人が次の一歩を決める場を回し、健康や安全の話は専門の窓口に渡し、会社には個人が特定されないテーマの傾向だけを返した」と、守秘と問いと窓口の三つで見せます。見本は案内の一枚と場の型と記録の型とテーマの分類の型と管理職の1on1の型で作り、入口は、オンボーディングや面接官研修の案件の中で提案、紹介、副業のプラットフォーム、担当者を選べる窓口の四つで、最初は「管理職の1on1の型と練習だけ」「少人数の半年だけ」「案内と同意と記録の型作りだけ」と小さく受け、受ける前に守秘の範囲への会社の同意と専門の窓口と本人が選べる形を確かめ、最初の1件を「型と記録の型とテーマの傾向の還元が残り、中身は残らない形」で終えて2件目につなげます。案件の型と受けられる条件は1on1・メンタリングの副業案件に、1案件の流れは1on1・メンタリングの副業の実務に、副業全体の始め方は人事の副業の始め方に書いています。ここでは「最初の1件の取り方」に絞ります。
先に確かめる:外部メンターの型から始めるか、管理職の1on1の型から始めるか
1on1・メンタリングの副業には、自分が社員と話す「外部メンター」の型と、管理職が部下と行う1on1を設計して練習する型があります。最初の1件は、後者から始めるほうが、線の事故が少なく、会社にも受け入れられやすい。外部メンターの型は、守秘の範囲に会社が同意し、専門の窓口があり、本人が選べる形が揃った会社でだけ受けます。
| 型 | 最初の1件に向くか | 理由 |
|---|---|---|
| 管理職の1on1の設計と練習 | 向く | 自分は部下と話さない。中身を扱わない。会社の管理職の力になる形で、上司との関係を強める |
| 外部メンターとしての1on1 | 条件が揃えば | 守秘の範囲、専門の窓口、本人の同意が揃わないと、事故が起きる。会社が「中身を聞かない」と決められるかが鍵 |
| 案内と同意と記録の型作り | 向く | 中身を扱わず、社内の人事が第三者の場を持つための型を渡す |
どちらから始めるかは、会社の状態で決めます。上司の1on1が無い会社では、管理職の型から。上司の1on1はあり、それとは別の第三者の場を置きたい会社では、外部メンターの型を条件付きで。
経験を棚卸しする:守秘・問い・窓口
依頼側が読むのは、「聞くのがうまいか」ではなく、「社員が自分で決めて動き、上司との関係にも戻り、会社が傾向を活かせる形を、守秘を守って作れるか」です。社内の経験を三つに分けて書き出します。
| 項目 | 書き出すこと | 依頼側が読むこと |
|---|---|---|
| 守秘 | 会社に返るものと返らないものをどう決め、本人にどう示し、会社に求められても守ったか。テーマの傾向をどう返したか | 中身を渡さずに、会社に役立つ形を作れるか |
| 問い | 答えを教えず、どういう問いで本人の考えを整理し、本人が何を決めたか。管理職の1on1の型をどう設計し、どう練習したか | 教える人ではなく、決めさせる人か |
| 窓口 | 健康、ハラスメント、労務、処遇の相談を、どう見分け、どこに、本人の同意をどう確かめて渡したか | 抱えずに渡せるか |
いちばん差がつくのは三つ目です。「社員の相談に乗ってきました」ではなく、「体調の話が出たとき、聞き続けずに、本人の同意を確かめて産業医の窓口につないだ。以後、会社と緊急時の流れを決めた」と、見分けたことと渡したことの組で書きます。数字は会社の許可の範囲で。数字の見せ方は数字で語るに、実績の示し方は実績の示し方に書いています。
見本を作る:案内の一枚・場の型・記録の型・分類の型・管理職の1on1の型
1on1は、中身を一切見せられません。見本は、型だけを、架空の会社で作ります。
| 見本の要素 | 作り方 | 注意 |
|---|---|---|
| 案内の一枚 | 目的、頻度、時間、「返るもの(テーマの傾向)」「返らないもの(名前と中身)」「例外(健康と安全は同意を確かめて窓口へ)」「評価に使わない」「やめられる」「専門の窓口」の欄 | 「秘密は守ります」の一言で済ませない |
| 場の型 | 前回の一歩→近況→本人が話したいこと→問いで整理→窓口への見分け→本人が決める次の一歩。時間の配分 | 「相談に乗る」の型にしない |
| 記録の型 | 日付、本人が決めた一歩(本人の言葉)、窓口に渡した事実(あれば)。三つの欄だけ | 中身と所感の欄を作らない |
| テーマの分類の型 | 役割の曖昧さ、上司との期待のずれ、キャリアの見通し、負荷、人間関係、など。人数が少ないときの扱い(粗くする、返さない) | 個人が特定される粒度にしない |
| 管理職の1on1の型 | 頻度、時間、話す順、聞き方、記録、1on1でしないこと(評価の通知、進捗確認だけ)。架空の部下の例での練習の進行 | 実在の部下の例を使わない |
| 役割の線の一枚 | 会社が決めること(目的、対象、守秘の範囲、専門の窓口)・自分がすること(場、記録、傾向の還元)・しないこと(中身を渡す、評価に使わせる、助言、抱える) | 自分の欄に「助言」を入れない |
見本が一組あれば、依頼側は「この人は親身な人ではなく、守秘と線で仕組みを作る人だ」と読みます。見本の作り方はポートフォリオの作り方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、1on1・メンタリングの最初の1件は、「聞くのがうまそうな人」ではなく「案内の一枚に『返らないもの』と『例外』を書いている人」に来ます。依頼側の経営者と人事は、外部メンターを置くことに、「中身が漏れないか」「深刻な話が出たときどうなるか」「社員が外の人にだけ話すようにならないか」の三つの不安を持っています。見本の案内の一枚に、返らないものと例外と専門の窓口と評価に使わないことが書かれていれば、三つの不安に先に答えたことになります。エラベルで担当者を選ぶ企業も、聞く力より、「守秘と線を仕組みにしているか」を見ています。受ける側がその場で使える判断としては、見本の中で案内の一枚を最初に置き、「返らないもの」の欄を最も目立たせること。中身を渡さないと最初に言う人が、この仕事では信頼されます。
プロフィールに書くこと
| 書くこと | 書き方の形 | 書かないこと |
|---|---|---|
| できる範囲 | 「管理職の1on1の型の設計と練習。条件が揃う会社での外部メンターとしての1on1(案内と同意、場、記録、テーマの傾向の還元)。案内と同意と記録の型作り」 | 「社員の悩み相談」「カウンセリング」 |
| 守秘 | 「会社に返るのは個人が特定されないテーマの傾向だけ。名前と中身は返さない。評価に使わせない」 | 「本音を引き出す」 |
| 問い | 「答えを教えず、問いで整理し、本人が次の一歩を決める。記録は本人の言葉だけ」 | 「的確なアドバイス」 |
| 窓口 | 「健康、ハラスメント、労務、処遇の相談は、本人の同意を確かめて専門の窓口へ。緊急時の流れは会社と先に決める」 | 「どんな相談にも対応」 |
| 結果 | 「〇〇の型で、〇〇が変わった(管理職の1on1が進捗確認から変わった、本人が決めた一歩が続いた)」を二〜三組。中身は書かない | 「〇人の相談に対応」だけ |
| 線 | 「中身を会社に渡さない。上司の代わりにならない。転職の相談を自分の他の仕事につなげない」 | 何でも聞きます |
止まりやすいのは、「社員の悩み相談」「カウンセリング」「どんな相談にも対応」と書くときです。医療や法律に関わる相談が集まり、専門性の外で抱える形になります。プロフィールの書き方はプロフィールの書き方に書いています。
最初の1件が見つかる四つの入口
| 入口 | 向く人 | 進め方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| オンボーディングや面接官研修の案件の中で提案 | すでに人の育成に関わる案件を持っている | 上司の1on1が進捗確認になっているのが見えたとき、「管理職の1on1の型を作って、練習の場を一回持ちませんか」と提案 | 外部メンターの型を最初に持ち出さない |
| 元の勤務先や知人の紹介 | 前職や取引先に、若手が相談相手を持たずに辞めている会社を知っている | 「管理職の1on1の型と練習から。第三者の場は、上司の1on1が回ってから」と順を示して提案 | 現在の勤務先の社員の相談の中身を持ち込まない |
| 副業のプラットフォーム | まず件数を見て選びたい | 「外部メンター」「1on1導入」の募集に、見本(案内の一枚と役割の線)を付けて応募。募集文で「守秘の範囲」「専門の窓口」「本人が選べるか」を見る | 「社員の本音を聞いて報告」「メンタル相談」の案件は避ける |
| 担当者を選べる窓口への登録 | 条件が合うときだけ受けたい | 登録して、見本と役割の線を出しておく | 窓口の仕組み(誰が何を決めるか)を確かめる |
最も通るのは、いちばん上の入口です。管理職の1on1の型から入ると、会社は「上司との関係を強める人」として受け入れ、第三者の場が要る場合も、その後に条件を整えて提案できます。案件の探し方は案件の探し方に、紹介の頼み方は紹介を頼むに書いています。
小さく受ける:管理職の型と練習だけ・少人数の半年だけ・型作りだけ
最初の1件は、全社の外部メンターではなく、線の事故が起きにくい範囲で受けます。
| 小さく受ける型 | やること | 見せられる結果 | 次につなぐ提案 |
|---|---|---|---|
| 管理職の1on1の型と練習だけ | いまの1on1の実態を聞き、型(頻度、時間、話す順、聞き方、記録、しないこと)を設計し、架空の部下の例で管理職が練習する場を一回か二回 | 型と、管理職の実施率と困りごとの変化 | 「最初の数回の振り返りを持ちます」→定着へ。第三者の場が要るなら条件を整えて提案 |
| 少人数の半年だけ(外部メンター) | 守秘の範囲と専門の窓口と本人の同意が揃った会社で、少人数を対象に半年。テーマの傾向の還元を一回 | 本人が決めた一歩の積み重ね(本人の言葉。会社には返さない)、テーマの傾向 | 「対象を広げるか、社内の型に移すか」→区切りで会社が決める |
| 案内と同意と記録の型作りだけ | 社内の人事が第三者の場を持つための、案内の一枚、同意の型、場の型、記録の型、分類の型を作る | 型一式 | 「最初の数回、同席せずに振り返りだけ支えます」→伴走へ |
止まりやすいのは、小さく受けたのに、「〇〇さんが辞めそうなので様子を聞いてほしい」と、個人の状況を探る役が流れてくるときです。「中身は返さない」を書面に残します。
受ける前に確かめること
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 会社に返るのは個人が特定されないテーマの傾向だけであることに、会社が書面で同意するか | 中身を求められないため。同意しない会社では外部メンターの型は受けない |
| 専門の窓口(産業医、外部の相談窓口、専門家)があるか。緊急性があると感じたときの流れを決められるか | 深刻な話を自分が抱えないため。個別の判断は専門家にご確認ください |
| 本人が選べる形で案内し、業務命令にしないことに同意するか | 本音が出る場にするため |
| 1on1の中身を評価や配置の判断に使わないことに同意し、本人にも伝えるか | 本人が会社の耳と見ないため |
| 上司の1on1は別に行われているか。無いなら、管理職の型から始めることに同意するか | 上司の代わりにならないため |
| 記録の置き場と扱い(本人と自分の間。会社が見られない形。終了時の処理) | 中身が漏れないため |
| 対象の人数(少なすぎると傾向を返せない) | 傾向を返しても個人が特定されないため |
| 転職の相談が出ても、自分の他の仕事につなげないこと(自分の側の線) | 利益相反を避けるため |
確かめる順は副業で法令違反をしないためにに、個人情報の扱いは候補者の個人情報の扱いに、利益相反は本業と利益相反になる案件に、条件のすり合わせは条件のすり合わせに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「最初の1件は、社員に寄り添って本音を聞けば、会社に感謝されて実績になる」というものです。実際には、本音を聞いて会社に伝えた瞬間に社員の信頼を失い、伝えなければ会社に「何をしているのか分からない」と言われ、深刻な話を抱えれば自分が持てない責任を負います。それは実績ではなく、話せない経験になります。同じ1件目でも、「管理職の1on1の型と練習」から入り、上司との関係を強める側に立った人は、1件目の終わりに「型と、管理職の実施率の変化」が残り、会社から「第三者の場も」と言われたときに、守秘の範囲と専門の窓口と本人の同意を条件に出せます。エラベルで長く続いている担当者は、外部メンターの型を最初の1件にしていません。受ける側がその場で使える判断としては、1件目の提案の最初の行に「中身は御社に一切返しません。返すのはテーマの傾向だけです」と書くこと。この一行に同意しない会社では、外部メンターの型を受けないことが、自分と社員と会社を守ります。単価の考え方は単価の相場と考え方に書いています。
最初の1件の終わらせ方と2件目へのつなぎ方
1件目は、「型と記録の型とテーマの傾向の還元が残り、中身は残らない形」で終えます。渡すものは、案内の一枚と同意の型、場の型、記録の型、テーマの分類と集計の型、専門の窓口への渡し方の流れ、管理職の1on1の型(設計した場合)、テーマの傾向の還元の記録、です。1on1の中身は、契約前に決めた扱いに沿って、本人と合意した形で処理し、自分の手元に一切残しません。会社の許可を得て、会社と社員が特定できない形にした「案内の一枚」「場の型」「記録の型」「管理職の1on1の型」を、実績と見本にします。本人が話した中身は、どんな形でも見せません。
2件目へのつなぎ方は二つです。同じ会社に、管理職の型の定着の振り返り、対象を変えた第三者の場(条件が揃えば)、社内の人事が第三者の場を持つ型への引き継ぎを提案するか。オンボーディングや研修の案件を持つ別の会社に、上司の1on1が進捗確認になっているのが見えたとき、「管理職の1on1の型と練習を」と提案するか。どちらも、「管理職の1on1がどう変わったか」「テーマの傾向を会社がどう活かしたか」が具体で、中身が無いほど通ります。2件目の取り方は2件目の取り方に、実績の書き方は事例の書き方に書いています。
まとめ
- 最初の1件は管理職の1on1の型と練習から。外部メンターの型は、守秘の範囲・専門の窓口・本人の同意が揃った会社でだけ
- 見せるのは守秘・問い・窓口の三つ。「話を聞くのが得意」「メンター経験があります」では選ばれず、事故を起こす
- 見本は案内の一枚(返るもの・返らないもの・例外)・場の型・記録の型(三つの欄)・分類の型・管理職の1on1の型・役割の線を、架空の会社で作る。案内の一枚を最初に置く
- プロフィールに中身を会社に渡さない・評価に使わせない・答えを教えない・専門の窓口へ渡す・上司の代わりにならない・転職の相談を自分の仕事につなげないを書く。「悩み相談」「カウンセリング」と書かない
- 入口はオンボーディングや研修の案件の中で提案・紹介・プラットフォーム・担当者を選べる窓口の四つ。管理職の型からの提案が最も通る
- 最初は管理職の型と練習だけ・少人数の半年だけ(条件付き)・型作りだけと小さく受け、「中身は返さない」を書面に残す
- 受ける前に守秘の範囲への書面の同意・専門の窓口と緊急時の流れ・本人が選べる形・評価に使わない・上司の1on1の有無・記録の扱い・人数・自分の側の利益相反の線を確かめる
- 1件目は型と傾向の還元が残り、中身は残らない形で終え、中身はどんな形でも見せない
よくある質問
社内でメンターをしていたときの相談の内容を、実績として書いてよいですか
書きません。中身は、本人のものです。会社の許可があっても、匿名化しても、相談の中身を実績として外に出すと、その会社の社員は「外に出るのか」と感じ、自分の信頼も失います。実績として書けるのは、型(案内の一枚、場の型、記録の型、管理職の1on1の型)と、「管理職の1on1がどう変わったか」「テーマの傾向を会社がどう活かしたか」の構造だけです。現在の勤務先の社員の相談の中身の持ち込みには、一切触れないでください。
「社員の本音を聞いて、辞めそうな人を教えてほしい」という募集しか見つかりません
受けません。その形は、社員を会社の側から探る役で、社員の信頼を得られず、得たとしても裏切る形になります。「中身は返さず、テーマの傾向だけを返す形なら受けられます。辞めそうな人を知りたいなら、上司の1on1の型を整えるほうが、上司が直接気づけます」と、管理職の型に直して提案します。それでも「本音を教えて」と求める会社では、受けません。
最初の1件の単価はどう決めればよいですか
管理職の1on1の型と練習は、「設計の成果物」と「練習の回数と振り返りの回数」で見込みます。外部メンターの型は、「対象の人数×月の回数×一回の時間」に、記録と傾向の集計と還元を足して見込みます。中身を扱う仕事の重さ(守秘、窓口への見分け、緊急時の流れ)を単価に含め、安く受けないことです。1件目は管理職の型か型作りから入り、2件目で第三者の場に広げるときに条件と単価を見直す、という順が現実的です。相場は範囲と人数で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。考え方は単価の相場と考え方に書いています。