人事副業 / 両立・スキル
AIで文面を作るときの前提|人事の副業でAIに文面を作らせるなら、「依頼側と候補者の情報を入力しない・構造の下書きまでにして中身は自分で埋める・依頼側の許可の有無を確認する・送る前に自分が読む」の四つが前提。前提を欠くと、速さより先に守秘の線を越える
スカウトの文面を作るのに時間がかかるので、AIに作らせたい。候補者の経歴を貼って「この人向けの文面を」と頼めば、数秒で出てくる。速くなりそうだが、依頼側や候補者の情報を入力してよいのか、出てきた文面をそのまま送ってよいのかが分からない。結論を先に書くと、AIで文面を作るなら、「依頼側と候補者の情報を入力しない」「構造の下書きまでにして、中身は自分で埋める」「依頼側の情報管理の決まりで、AIの利用が認められているかを確認する」「送る前に自分が相手の立場で読む」の四つが前提です。この前提を欠いてAIを使うと、速さを得る前に、守秘の線を越えます。候補者の経歴を貼った時点で、候補者の個人情報を外部のサービスに渡したことになり得て、依頼側の求人の条件を貼った時点で、依頼側の情報を渡したことになり得ます。AIは、依頼側と候補者の情報を含まない作業に限って使います。AIの使い方の全体はAIをどう使うかに、情報の扱いの線は情報の取り扱いと端末の分離に、文章の磨き方は文章力をどう磨くかにまとめています。AIのサービスの規約と、依頼側の情報管理の決まりの解釈は、依頼側と専門家にご確認ください。
AIが向く作業と向かない作業
文面に関わる作業を、AIが向くものと向かないものに分けます。線は「依頼側と候補者の情報が要るか」です。
| 作業 | 向くか | 理由 |
|---|---|---|
| 文面の構造(冒頭・中盤・結びに何を置くか)の下書き | 向く | 依頼側と候補者の情報が要らない。一般的な構造の案を出させる |
| 一文を短くする、言い回しを変える | 向く。ただし依頼側の情報を含まない文に限る | 自分が書いた一般的な文の整え |
| 候補者向けの文面を、候補者の経歴から作る | 向かない | 候補者の経歴(個人情報)を入力することになる |
| 依頼側の求人の条件を入れた文面を作る | 向かない | 依頼側の求人の情報を入力することになる |
| 候補者からの返信への返答を作る | 向かない | 候補者のやり取りの内容を入力することになる |
| 依頼側への報告の文章を作る | 向かない | 依頼側の記録と状況を入力することになる |
| 一般的な人事の知識の整理 | 向く | 案件の情報を含まない |
| 型の文書の構造を整える | 向く。依頼側の情報を抜いた型に限る | 自分の側の構造の型の整理 |
分け方の要点は、「向く作業は、案件の情報が無くてもできる作業だけ」ということです。文面の構造の下書き、一般的な言い回しの整え、人事の一般的な知識の整理は、案件の情報が無くてもできます。候補者向けの文面、返信、報告は、案件の情報が無いと作れず、作るには情報を入力することになります。情報の種類ごとの線は個人情報の扱いに書いています。
入力してはいけない情報の線
AIに入力してはいけない情報を、明確にしておきます。悪気なく貼ることが、最も起きやすい越え方です。
| 入力しないもの | なぜ |
|---|---|
| 候補者の名前、経歴、連絡先、やり取りの内容 | 個人情報。外部のサービスに渡すことになり得る。候補者の同意も依頼側の許可も無い |
| 依頼側の会社名、求人の内容、条件、社内の事情 | 依頼側の情報。秘密保持の対象。依頼側の許可が無い限り、外部に渡せない |
| 依頼側の記録の数字 | 依頼側の情報 |
| 依頼側の担当者や面接官の名前、評価 | 個人情報と、依頼側の社内の情報 |
| 自分が作った文面のうち、依頼側の情報を含む部分 | 文面に依頼側の会社の状況や条件が入っていれば、それは依頼側の情報 |
| 本業の会社の情報 | 本業の情報の持ち出し |
| 他の依頼側の情報 | 守秘の線を越える |
線の要点は、「自分が作った文面でも、依頼側の情報を含んでいれば入力しない」ことです。「自分が書いたものだから」と、依頼側向けの文面をAIに整えさせると、その文面に含まれる依頼側の会社の状況や求人の条件が、外部に渡ります。整えさせるなら、依頼側の情報を抜いた構造だけの文にしてからです。AIのサービスの規約(入力した情報の扱い)は、サービスごとに違い、変わることもあるので、使う前に確認します。規約の解釈は専門家にご確認ください。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「AIに入力した情報は、自分しか見ていないので、外に出したことにならない」というものです。実際には、AIのサービスに情報を入力することは、そのサービスの運営者に情報を渡すことで、依頼側や候補者から見れば、第三者に渡したことになり得ます。サービスによって、入力した情報の扱いは違いますが、依頼側の秘密保持の条項や、候補者の個人情報の扱いの観点では、「自分しか見ていない」は成り立ちません。
見ていて差がつくのは、AIを使う前に「これは依頼側か候補者の情報を含むか」を問う癖があるかです。問う癖がある人は、AIを構造の下書きと一般的な整えに限って使い、案件の情報を含む作業は自分でやっています。速さは、構造の下書きだけでも十分に得られています。問う癖が無い人は、候補者の経歴を貼り、依頼側の条件を貼り、それが依頼側に分かった時点で、信頼を失っています。エラベルでは、担当者が依頼側と候補者の情報をAIを含む外部のサービスに入力しない形を、情報の扱いの前提にしています。AIは、情報の線を守れる範囲で使う道具です。
構造の下書きまでに留める理由
AIを使ってよい範囲を、「構造の下書きまで」に留める理由は、情報の線だけではありません。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 情報を入力せずに済む | 構造(冒頭に何を置き、中盤で何を伝え、結びをどうするか)は、案件の情報が無くても作れる |
| 中身は依頼側ごとに違う | 依頼側の状況、候補者との接点、依頼側の言い方は、案件ごとに違い、AIには分からない。自分で埋める必要がある |
| 候補者は型に気づく | AIが作った文面は、どこかで見た形になりやすく、候補者は「量産された文面」と感じる。宛名と接点は自分で書く |
| 依頼側の言い方に合わせる必要がある | 候補者は文面を「その会社からの連絡」として読む。依頼側の社内の言い方に合わせるのは、自分の仕事。会社の代表として話す責任 |
| 自分の型が育たない | 中身までAIに任せると、「この状況でこう書くと返信が変わる」という自分の判断が溜まらない。事例を流用しない |
| 責任は自分にある | 送った文面の責任は、AIではなく自分と依頼側にある。中身を自分で埋めていないと、責任が取れない |
留める要点は、「構造は道具、中身は自分の仕事」という分け方です。構造の下書きをAIに出させ、そこに依頼側の状況と候補者との接点を自分で埋め、依頼側の言い方に合わせ、送る前に相手の立場で読む。この形なら、速さと情報の線と文面の質の三つが保てます。文面の構造と中身の分け方は事例を流用しないの「持ち込んでよいもの」と同じです。
依頼側の情報管理の決まりの確認
自分が線を守っていても、依頼側の側でAIの利用そのものに決まりがあることがあります。
| 確認すること | 聞き方 | 結果ごとの扱い |
|---|---|---|
| AIの利用が認められているか | 「業務でAIのサービスを使うことに、御社の決まりはありますか」 | 禁止なら使わない。条件付きなら条件に従う。決まりが無ければ、自分の線で使う |
| 使ってよいサービスの指定があるか | 「使ってよいサービスや、使ってはいけないサービスの指定はありますか」 | 指定があれば従う。依頼側が契約しているサービスがあれば、それを使う |
| 入力してよい情報の範囲 | 「AIに入力してよい情報の範囲に、決まりはありますか」 | 決まりがあれば従う。無くても、依頼側と候補者の情報は入力しない |
| AIで作った文面を候補者に送ることの可否 | 「AIで下書きした文面を、候補者に送ることに問題はありますか」 | 依頼側によっては、候補者向けの文面はAIを使わない方針のことがある |
| 情報管理の担当者の窓口 | 「AIの利用で迷ったとき、どなたに確認すればよいですか」 | 採用の担当者では答えられないことがある |
確認の要点は、「決まりが無いことと、使ってよいことは別」だということです。依頼側に決まりが無くても、依頼側と候補者の情報を入力しない線は、自分の側で守ります。決まりがある場合は、決まりのほうが優先で、自分の線より厳しければそれに従います。依頼側の情報管理の確認はネットワーク環境の注意と私物端末で作業してよいかで聞く項目と同じ場で聞きます。
送る前に自分が読む必要
AIが作った構造に中身を埋めた後も、送る前に自分が読むことは省けません。
| 読んで確かめること | なぜAIでは足りないか |
|---|---|
| 候補者との接点が、その候補者に合っているか | AIは候補者の経歴を知らない(入力しないので)。接点は自分が書き、自分が確かめる |
| 依頼側の言い方と合っているか | AIは依頼側の社内の言い方を知らない |
| 約束にならない書き方か | 「条件は〇〇です」のような、依頼側の判断が要ることを断定していないか。権限がないと動けない場面 |
| 事実と違うことが入っていないか | AIの出す文には、一般的な表現として、事実と合わないことが混ざることがある |
| 候補者が読んで、次に何をすればよいか分かるか | 相手の立場で読むのは自分の仕事。文章力をどう磨くか |
| 依頼側の情報が意図せず入っていないか | 構造に中身を埋める過程で、入れすぎていないか |
読む要点は、「AIが作った部分と、自分が埋めた部分の両方を、相手の立場で読む」ことです。AIが作った構造は一般的で、そのままだと候補者に「誰にでも送っている」と伝わります。自分が埋めた中身は、依頼側の言い方と接点が合っているかを確かめます。送る前の読み直しの型は文章力をどう磨くかに整理しています。
AIの文面で起きやすい失敗
AIを使った文面で、実際に起きやすい失敗です。前提を欠くと起きます。
| 失敗 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 候補者の経歴を貼って文面を作った | 候補者の個人情報を外部に渡した。依頼側に分かれば信頼を失う | 経歴は貼らない。接点は自分で書く |
| 依頼側の求人票を貼って文面を作った | 依頼側の情報を外部に渡した | 求人の条件は貼らない。構造の下書きだけ |
| AIの文面をそのまま送った | 候補者が「量産された文面」と感じ、返信が来ない。事実と違うことが混ざる | 中身は自分で埋め、送る前に読む |
| 依頼側の言い方と違う文面になった | 候補者が「この会社らしくない」と感じる。依頼側の担当者が違和感を持つ | 依頼側の過去の文面を見て、言い方を合わせる |
| 約束になる表現が入った | 「〇〇の条件でお迎えします」のような、依頼側の判断が要ることを断定した | 送る前に、約束になる表現を消す |
| 依頼側の決まりで禁止されていた | 後で分かり、契約に関わる | 最初に確認する |
| 速さに頼って、自分の型が育たなかった | 案件が変わったとき、判断の仕方が溜まっていない | 構造の下書きまでに留め、中身と判断は自分で |
失敗の要点は、「最初の二つ(経歴と求人票を貼る)が、最も起きやすく、最も重い」ことです。他の失敗は、文面の質や候補者の印象の問題ですが、最初の二つは情報の線を越える問題で、依頼側に分かった時点で、稼働の質に関わらず信頼を失います。速さを求めて貼る前に、「これは候補者か依頼側の情報か」を問います。守秘の線を越えたときの対処は守秘の線を越えるに書いています。
依頼側にどう伝えるか
AIを使うことを、依頼側に隠す必要はありませんが、伝え方に線があります。
| 場面 | 伝え方 |
|---|---|
| 契約の最初 | 「文面の構造の下書きにAIを使うことがありますが、御社と候補者の情報は入力しません。御社の決まりがあれば教えてください」と、線と一緒に伝える |
| 依頼側から「AIを使っているか」と聞かれた | 事実を答える。「構造の下書きに使い、中身は自分で書き、御社と候補者の情報は入力していません」 |
| 依頼側から「AIで速くしてほしい」と言われた | 「情報を入力しない範囲で使います。候補者向けの中身は、御社の言い方に合わせて自分で書きます」と、線を保つ |
| 依頼側がAIの利用を禁止している | 使わない。「御社の決まりに沿って、使いません」 |
| 依頼側が自社のAIのサービスを提供した | 依頼側の管理の下にあるサービスなら、依頼側の決まりの範囲で使う。それでも候補者の情報の扱いは依頼側に確認 |
伝える要点は、「使っていることではなく、情報を入力していないことを伝える」ことです。依頼側が気にするのは、AIを使ったかどうかより、自社と候補者の情報がどう扱われたかです。「構造の下書きに使い、情報は入力していない」と線を示せば、依頼側は安心します。隠して後で分かるほうが、信頼を失います。
エラベルの見解
担当する側から見ると、AIを文面に使って問題が起きていない人は、AIを構造の下書きに限って使い、依頼側と候補者の情報を入力せず、中身は自分で埋め、送る前に自分で読んでいる人です。速さは構造の下書きで十分に得られていて、文面の質は自分の型で保たれています。問題が起きた人は、候補者の経歴や依頼側の求人票を貼って文面を作り、そのまま送り、依頼側に分かって信頼を失った人です。
順番として、依頼側の情報管理の決まりを最初に確認し、AIを構造の下書きと一般的な整えに限ると決め、使う前に「依頼側か候補者の情報を含むか」を問い、含むなら入力せず自分でやり、構造に中身を自分で埋め、依頼側の言い方に合わせ、送る前に相手の立場で読む。この順番で、AIは情報の線を守りながら、文面の作成を速くする道具になります。エラベルでは、担当者が依頼側と候補者の情報を外部のサービスに入力しないことを、情報の扱いの前提にしています。AIをどう使うかは、担当者の判断ですが、情報の線は、担当者の判断で動かせるものではありません。
まとめ
- AIで文面を作る前提は依頼側と候補者の情報を入力しない・構造の下書きまでにして中身は自分で埋める・依頼側の決まりを確認する・送る前に自分が読むの四つ
- 向くのは案件の情報が無くてもできる作業(構造の下書き、一般的な整え、一般的な知識)。向かないのは情報が要る作業(候補者向けの文面、返信、報告)
- 入力しないのは候補者の情報・依頼側の情報・記録の数字・人の名前と評価・依頼側の情報を含む自分の文面・本業と他の依頼側の情報
- 構造に留める理由は情報の線・中身は依頼側ごとに違う・候補者は型に気づく・依頼側の言い方に合わせる・自分の型が育つ・責任は自分にある
- 依頼側の決まりは利用の可否・サービスの指定・入力の範囲・候補者向けの可否・窓口を確認。決まりが無いことと使ってよいことは別
- 失敗で最も重いのは候補者の経歴と依頼側の求人票を貼ること。貼る前に情報の線を問う
- 依頼側には使っていることではなく、情報を入力していないことを伝える
よくある質問
候補者の経歴を貼らずに、その候補者向けの文面をどう作ればよいですか
AIには、候補者の情報を含まない構造の下書きだけを出させます。「エンジニア向けのスカウトの文面の構造を、冒頭・中盤・結びで」のような、一般的な依頼です。出てきた構造に、その候補者の経歴との接点(自分が媒体で見た経歴から、自分で書く)と、依頼側の状況(依頼側の言い方に合わせて自分で書く)を埋めます。接点と状況は、AIに書かせるものではなく、自分の仕事です。構造と中身の分け方は事例を流用しないに整理しています。
依頼側がAIの利用について何も決めていません。自分の判断で使ってよいですか
決まりが無ければ、自分の線(依頼側と候補者の情報を入力しない、構造の下書きまで)で使えますが、使うことと線を、契約の最初に依頼側に伝えておきます。「構造の下書きに使うことがあり、御社と候補者の情報は入力しません」と伝えれば、依頼側が後から決まりを作ったときも、自分の使い方がその決まりに沿っているかを確認できます。伝えずに使い、後で決まりができて禁止されていたことが分かると、遡って問題になることがあります。
AIで文面を作ることを、候補者に伝える必要はありますか
候補者向けの文面の中身を自分で書いているなら、構造の下書きにAIを使ったことを候補者に伝える必要は、通常はありません。ただし、依頼側の方針として「AIで作った文面は候補者に送らない」「送る場合は明示する」と決めている場合は、それに従います。候補者から「AIで書いたか」と聞かれた場合は、事実を答えます。候補者との接し方は候補者への対応で気をつけることに書いています。