人事副業 / 両立・スキル
文章力をどう磨くか|人事の副業で要る文章力は、上手な文章ではなく「相手が次に何をすればよいか分かる文章」。スカウト・候補者への返信・依頼側への報告の三種類で型が違い、磨き方は「型を持つ・一文を短く・送る前に相手の立場で読む・返ってきた反応で直す」の四つ
スカウトの文面、候補者への返信、依頼側への報告。副業では、書く場面が本業より多い。書くのに時間がかかり、書いても返信が来なかったり、依頼側から「要点が分からない」と言われたりする。文章力を磨きたいが、何をすればよいのか。結論を先に書くと、人事の副業で要る文章力は、上手な文章を書く力ではなく、「相手が読んだ後に、次に何をすればよいかが分かる文章」を書く力です。スカウト、候補者への返信、依頼側への報告の三つの場面で、相手が次にすることは違い、型も違います。磨き方は、「場面ごとの型を持つ」「一文を短くする」「送る前に相手の立場で読む」「返ってきた反応で直す」の四つで、文章の技術を学ぶより、送った文章の反応を見て直すことが、最も早く効きます。依頼側への連絡の型はメールの書き方と運用に、報告の書き方は報告のしかたに、資料の作り方は資料の作り方にまとめています。
副業で文章が要る三つの場面
副業で書く文章は、三つの場面に分かれ、それぞれで相手と目的が違います。
| 場面 | 相手 | 相手が次にすること | 文章の目的 |
|---|---|---|---|
| スカウトの文面 | 候補者(初めて接する人) | 返信するか、無視するか | 「自分に関係がある」と数秒で分かり、返信の負担が小さいこと |
| 候補者への返信・連絡 | 候補者(やり取りが始まった人) | 日程を答える、質問に答える、次の選考に進む | 何を答えればよいかが一目で分かり、待たせないこと |
| 依頼側への報告・連絡 | 依頼側の担当者 | 社内に伝える、判断する、返事をする | 担当者が上長に一言で言え、判断が要ることが分かること |
三つの要点は、「相手が次にすることが違うので、同じ書き方では通じない」ことです。スカウトは、読む気の無い相手に数秒で関係を伝える文章で、報告は、忙しい担当者が上長に使える文章です。スカウトの書き方で報告を書けば長く、報告の書き方でスカウトを書けば冷たくなります。場面ごとに型を分けます。スカウトの文面の構造は事例を流用しないの「構造だけを持ち込む」に、報告の型は稼働報告のフォーマットに書いています。
上手な文章が要らない理由
文章力と聞くと、表現の豊かさや読みやすい文体を思い浮かべますが、副業ではそれは要りません。
| 上手な文章を目指すと | 何が起きるか |
|---|---|
| 表現を工夫する | 書くのに時間がかかり、副業の枠を圧迫する |
| 丁寧にしようと長くなる | 候補者は読まず、担当者は要点を探す |
| 自分らしさを出そうとする | スカウトでは候補者に関係の無い話が増え、報告では担当者が社内で使いにくくなる |
| 文体を整える | 整えても、相手が次に何をすればよいか分からなければ、返信も判断も来ない |
| 一度で完璧にしようとする | 送るのが遅れる。反応を見て直す機会を失う |
要らない理由の要点は、「副業の文章は、読まれて終わりではなく、相手の行動で結果が決まる」ことです。スカウトは返信が来るか、候補者は日程を答えるか、担当者は判断するか。文章の良し悪しは、相手の行動で分かり、表現の良し悪しでは分かりません。上手さより、相手が次にすることが分かるかで、文章を見ます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「文章が苦手だから、スカウトの文面や報告は向いていない」というものです。実際には、依頼側から「文面が良い」「報告が分かりやすい」と評価されている担当者の文章を見ると、表現が上手いわけではありません。共通しているのは、一文が短く、相手が次にすることが冒頭で分かり、余計なことが書かれていないことです。文章が苦手だと感じている人は、多くの場合、上手に書こうとして長くなり、結果として伝わっていません。
見ていて差がつくのは、送った文章の反応を見て、直しているかです。スカウトなら返信の割合、候補者への連絡なら返答までの時間と問い合わせの数、報告なら担当者からの聞き返しの回数。これらを見て、冒頭を変える、一文を削る、判断が要ることを先に書く、と直している人の文章は、数か月で見違えます。反応を見ずに、書き方の本を読んで直そうとしている人は、変わりません。エラベルでは、担当者の文面や報告について、依頼側の反応を見て直す形をお願いしています。文章力は、書く前に磨くものではなく、送った後の反応で磨くものです。
四つの磨き方
文章力を磨く四つの方法です。どれも、副業の枠の中でできます。
| 磨き方 | 内容 | 要点 |
|---|---|---|
| 一、場面ごとの型を持つ | スカウト、候補者への連絡、報告の三つで、型(構造と順番)を持つ。毎回一から書かず、型に当てはめる | 型は自分の側に構造だけを持ち、中身は案件ごとに埋める |
| 二、一文を短くする | 一文に一つのことだけ。読点で長くつながない。「〜ですが、〜で、〜なので」を切る | 書いた後、読点が二つ以上ある文を切る |
| 三、送る前に相手の立場で読む | 送る前に一度、相手(候補者、担当者)になったつもりで読み、「次に何をすればよいか分かるか」を見る | 分からなければ、冒頭に次にすることを書く |
| 四、返ってきた反応で直す | 返信の割合、返答までの時間、聞き返しの回数を見て、型の一部を一つ変える | 月に一つ。改善の回し方と同じ。改善を回す |
四つの要点は、「三」の送る前に相手の立場で読むことです。書いた直後は、自分の意図で読んでしまい、相手がどう受け取るかが見えません。一度、相手になって読み、「これを受け取った自分は、次に何をすればよいか分かるか」を確かめる。分からなければ、冒頭に「〇日までにご返答ください」「ご判断をお願いします」のように、次にすることを置きます。この一手間が、文章の結果を最も変えます。
送る前の読み直しの型
「三」の、送る前の読み直しを、型にしておきます。三つの場面で、確かめることが違います。
| 場面 | 確かめること | 直し方 |
|---|---|---|
| スカウト | 冒頭の数行で、候補者が「自分に関係がある」と分かるか。返信の負担が小さいか(「ご興味があれば一言で構いません」のような一文があるか) | 冒頭が会社の説明なら、候補者の経歴との接点を冒頭に。返信の負担を下げる一文を結びに |
| 候補者への連絡 | 何を答えればよいかが一目で分かるか。答える期限があるか。候補者を待たせる部分に「〇日までにご連絡します」があるか | 質問が複数なら箇条書きに。期限が無ければ足す |
| 依頼側への報告 | 冒頭に、担当者が上長に言える一文があるか。判断が要ることが分けて書かれているか。長さは画面をスクロールせずに読めるか | 冒頭に一つの数字を比較で。「確認したいこと」を分ける。数字で語る |
| 全部 | 一文に読点が二つ以上無いか。同じことを二度言っていないか。相手が知らない言葉(社内の略語、自分の案件の用語)が無いか | 切る、削る、言い換える |
読み直しの要点は、「確かめることを場面ごとに決めておく」ことです。「良い文章か」と漠然と読み直しても、直す場所は見つかりません。「冒頭で関係が分かるか」「次にすることが分かるか」「上長に言える一文があるか」と、確かめることが決まっていれば、直す場所がすぐ見つかります。候補者への連絡の注意は候補者への対応で気をつけることに整理しています。
反応で直す仕組み
「四」の、反応で直す仕組みです。改善を回す形と同じで、月に一つ変えます。
| 場面 | 見る反応 | 直す候補 |
|---|---|---|
| スカウト | 送信に対する返信の割合、返信の内容(断りか、質問か、前向きか) | 冒頭の接点の書き方、結びの返信の負担、長さ、送る時間帯 |
| 候補者への連絡 | 返答までの時間、候補者からの問い合わせ(「どういう意味ですか」「いつまでですか」)の数 | 質問の並べ方、期限の明示、待たせる部分の見込みの伝え方 |
| 依頼側への報告 | 担当者からの聞き返し(「これはどういうことですか」「で、どうなんですか」)の回数、上長に使ったと言われたか | 冒頭の一文、判断が要ることの分け方、長さ |
| 全部 | 「分かりにくい」と言われた回数 | 一文の長さ、言葉の選び方 |
仕組みの要点は、「候補者からの問い合わせと、担当者からの聞き返しを、文章の反応として数える」ことです。「どういう意味ですか」「いつまでですか」と聞かれるのは、文章にその答えが無かったからで、直す場所を教えてくれています。聞かれた内容を、次から文章に入れる。この繰り返しで、聞かれる回数は減り、文章は相手に合っていきます。反応の記録の付け方は稼働ログの付け方の判断のメモと同じで足ります。
文章が長くなる癖の直し方
文章が伝わらない原因の多くは、長さです。長くなる癖と、直し方です。
| 癖 | なぜ長くなるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 前置きが長い | 「お世話になっております。先日は〜」から本題まで数行 | 前置きは一行。本題を二行目に |
| 理由を全部書く | 「〜という理由で、〜という背景があり、〜なので」 | 理由は一つ。詳しい理由は聞かれたら |
| 丁寧にしようと言葉を足す | 「〜させていただければと存じます」 | 「〜します」で足りる場面が多い |
| 同じことを言い換えて繰り返す | 念のため、別の言葉でもう一度 | 一度で足りる。繰り返さない |
| 全部の情報を入れる | 関係あるかもしれないことを全部 | 相手が次にすることに関係ある情報だけ |
| 一文に複数のことを入れる | 「〜ですが、〜で、〜なので、〜です」 | 読点二つで切る |
| 謝罪や断りが長い | 「大変申し訳ございませんが〜」が続く | 謝罪は一言。断りは「できないこと→できること」の形で。無理なときの伝え方 |
直し方の要点は、「相手が次にすることに関係ある情報だけを残す」ことです。書いた文章を読み直し、各文に「これは相手が次にすることに要るか」と問い、要らなければ削る。削った結果、短くなった文章のほうが、相手には親切です。長い文章は丁寧に見えますが、相手の時間を使います。
候補者への文章で気をつけること
三つの場面のうち、候補者への文章は、依頼側の印象に直結するので、特に気をつけることがあります。
| 気をつけること | 内容 |
|---|---|
| 依頼側の代表として読まれる | 候補者は、自分の文章を「その会社からの連絡」として読む。自分の言い回しではなく、依頼側の言い方に合わせる。会社の代表として話す責任 |
| 約束にならない書き方 | 「〇〇の条件です」「〇日に結果をお伝えします」は、依頼側の判断が要ることなら、「確認してご連絡します」に。権限がないと動けない場面 |
| 断りの文章は短く丁寧に | 不合格や辞退の受理の連絡は、理由を書かず、短く、丁寧に。長い理由は候補者を傷つけることがある |
| 候補者の情報を文章に書かない | 別の候補者の話、依頼側の社内の事情を、候補者への文章に入れない。個人情報の扱い |
| 待たせるときは見込みを書く | 「確認中です」ではなく「〇日までにご連絡します」。候補者が予定を組める |
| 型は使うが、宛名と接点は毎回変える | 候補者は、型で送られたことに気づく。宛名と、その候補者の経歴との接点だけは、毎回書く |
候補者への要点は、「依頼側の代表として読まれる」ことです。自分の文章の丁寧さや速さが、候補者にとっては「その会社の丁寧さと速さ」です。依頼側の採用の印象を、自分の文章が作っています。だから、候補者への文章は、依頼側の言い方に合わせ、約束にならず、短く丁寧に、待たせるときは見込みを書きます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、文章で評価されている人は、書く時間が短い人です。場面ごとの型を持ち、型に当てはめ、一文を短くし、送る前に相手の立場で確かめ、反応で型を直している。書く時間が短いのに、返信も判断も速く返ってきています。文章に時間がかかっている人は、上手に書こうとして長くなり、送るのが遅れ、返ってくる反応も鈍く、それをさらに丁寧に書き直そうとして、また時間がかかっています。
順番として、三つの場面の型を持ち、書いたら一文を短くし、送る前に相手になって「次にすることが分かるか」を確かめ、送った後の反応(返信の割合、問い合わせの数、聞き返しの回数)を見て、月に一つ型を直す。この順番で、文章力は書く技術ではなく、相手の行動で確かめる習慣として磨かれます。エラベルでは、担当者の文面と報告について、依頼側と候補者の反応を見て直す形をお願いしています。文章力は、上手さではなく、相手が次に動ける文章を書けるかで決まります。
まとめ
- 副業で要る文章力は上手な文章ではなく、相手が次に何をすればよいか分かる文章
- 場面はスカウト・候補者への連絡・依頼側への報告の三つで、相手が次にすることが違い、型も違う
- 磨き方は型を持つ・一文を短く・送る前に相手の立場で読む・反応で直すの四つ
- 送る前に確かめることは場面ごとに決めておく。冒頭で関係が分かるか、次にすることが分かるか、上長に言える一文があるか
- 反応は返信の割合・返答までの時間・問い合わせの数・聞き返しの回数で見て、月に一つ直す
- 長くなる癖は相手が次にすることに関係ある情報だけを残すことで直す
- 候補者への文章は依頼側の代表として読まれる。約束にならず、短く丁寧に、待たせるときは見込みを
よくある質問
スカウトの文面を、AIに書いてもらってもよいですか
型の構造を作る補助や、一文を短くする補助には使えますが、依頼側の情報や候補者の情報を入力することは、情報の扱いの線に関わります。依頼側の会社名、求人の条件、候補者の経歴を入力すれば、依頼側の情報を外部のサービスに渡したことになり得ます。使うなら、依頼側の情報を含まない構造の作成に限り、中身は自分で埋め、送る前に相手の立場で読むことは省きません。情報の扱いの線は情報の取り扱いと端末の分離に書いています。
依頼側から「もっと丁寧な文章で」と言われました
「丁寧」が何を指すかを確かめます。長さを求めているのか、言い回しを求めているのか、依頼側の言い方に合わせることを求めているのか。多くの場合、依頼側の「丁寧」は、候補者への文章が依頼側の社内の言い方と違うことへの違和感で、依頼側が候補者に送っている過去の文章を見せてもらい、言い方を合わせれば解決します。長さを増やすことが丁寧さになるとは限りません。依頼側の型に合わせる考え方はクライアントのツールに合わせるに整理しています。
報告の文章が長くなり、担当者に読まれていない気がします
冒頭に、担当者が上長に言える一文(一つの数字を比較で語った文)を置き、判断が要ることを分けて書き、それ以外は表にします。文章として書く部分を、冒頭の一文と、判断が要ることの数行に絞れば、担当者は読めます。詳しい内容は表に添え、読みたい担当者だけが読む形にします。報告の層の分け方は報告の頻度をどう決めるかに、一つの数字の語り方は数字で語るに書いています。