人事副業 / 両立・スキル

コミュニティを運営するという選択|人事の副業で自分が集まりを主催するのは、案件を取る手段ではなく「範囲を言える人が集まる場を持つ」こと。始める条件と、依頼側の情報を持ち込まない運営の線

公開 2026-09-19

副業を何件か回し、同じ立場の人と知り合ううちに、自分で集まりを主催してみたいと思うようになる。案件の入口にもなりそうだし、発信の場にもなりそうだと感じる。結論を先に書くと、コミュニティの運営は、案件を取る手段として始めると続きません。効くのは、「自分の範囲を言える人が集まる場を持つ」ことで、そこから案件が来るのは結果であって目的にはなりません。始めてよいのは、本業と副業の稼働に余裕があり、集まりで話す内容から依頼側と候補者の情報を切り離せる自信があるときです。その条件が無いなら、既にある集まりに参加する側でいるほうが、副業には効きます。参加する側の使い方はコミュニティへの参加勉強会や交流会の使い方に、仲間の作り方は同じ立場の仲間を作るにまとめています。

運営が副業に効くことと、効かない期待

主催する側に回ると、参加する側とは違う効き方があります。ただし、期待しがちなことの多くは、効きません。

効くことなぜ効くか
自分の範囲が周りに知られる主催者は、何をしている人かを最初に名乗る。範囲を言う機会が増える
範囲が違う人と知り合える参加者の範囲を把握する立場になり、案件を回し合える相手が見つかる
判断の仕方を言葉にする機会が増える場を回すために、自分の考え方を整理して話すことになる
発信の材料ができる集まりで出た一般化した話題は、発信の種になる。SNS発信から案件につなげる
効かない期待なぜ効かないか
参加者から案件が来る参加者は同じ立場の人で、依頼側ではない。来ても紹介の形で、主催しているから来るわけではない
主催しているだけで信用される依頼側が見るのは経歴と範囲。主催の実績は、範囲の説明にはならない
集まりが収入になる参加費で成り立つ規模にするには、運営の稼働が副業の稼働を超える
発信が楽になる集まりの運営と発信は別の作業で、両方をやると稼働が足りなくなる

効くことの要点は、「範囲を言う機会が増える」ことです。副業で案件が来るかどうかは、範囲を言える状態にあるかで決まる部分が大きく、主催はその機会を増やします。逆に、案件そのものが来ることを期待すると、来ないときに続ける理由が無くなります。範囲の言葉の決め方は受ける範囲の決め方に書いています。

始めてよい条件

運営を始めるかどうかは、気持ちではなく条件で決めます。

条件内容無いとどうなるか
副業の稼働に余裕がある案件の稼働に加えて、運営に使える時間が毎月ある案件の稼働が削られ、依頼側への稼働が下がる
本業の繁忙期を避けられる本業が忙しい月に集まりを止められる形にできる本業の繁忙期に運営が重なり、両方が回らなくなる
依頼側と候補者の情報を切り離せる集まりで話す内容から、依頼側と候補者が特定できる情報を外せる相談のつもりが情報の漏れになる
本業の会社に副業が伝わってよい状態主催者として名前が出る。本業の関係者の目に触れることがある本業に副業が知られる経路が増える
一緒に運営する人がいる一人で運営すると、本業の都合で止まったときに再開できない止まったまま終わる
参加する側を経験している既存の集まりに参加し、何が役に立ち何が負担かを知っている参加者の負担が分からず、続かない形で始める

条件の要点は、「一緒に運営する人がいる」ことです。副業の稼働は本業の都合で変わるので、一人で主催すると、本業が忙しい時期に集まりが止まり、そのまま終わります。二人以上で運営し、一人が止まっても続く形にしておくと、続きます。本業に伝えていない場合の扱いは副業許可の申請の出し方を見たうえで、規定の解釈は専門家にご確認ください。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「コミュニティを主催していると、依頼側からの信用が上がる」というものです。実際には、依頼側の担当者が見ているのは、どの業務を、どの立場で、どこまで決めていたかで、集まりを主催しているかどうかは判断に入りません。主催の経験を経歴に書いても、依頼側は「で、何を任せられるのか」を聞きます。

一方で、主催している人の経歴が読みやすいことは多いです。それは主催しているからではなく、人前で自分の範囲を何度も言っているうちに、範囲の言葉が整っているからです。主催は、範囲の言葉を整える練習の場としては効きます。エラベルでは、登録の経歴に主催の実績が書かれていても、依頼側への提示では担当できる業務の範囲を中心に整えています。主催を経歴の売りにするより、主催を通して整った範囲の言葉をプロフィールに書くほうが、案件には近づきます。

小さく始める形

始めると決めたら、大きく始めません。参加者の数、頻度、形を最小にします。

決めること小さく始める形大きくしない理由
人数数人から。知っている人だけで始める知らない人が入ると、情報の線を守れるかが読めない
頻度二〜三か月に一度。本業の繁忙期は飛ばす毎月にすると、運営の稼働が固定になる
オンラインで短い時間。テーマを一つに絞る対面は場所と時間の調整が要る。テーマが多いと準備が増える
内容判断の仕方を持ち寄る。「この条件で受けるか」「この断り方でよいか」案件の中身を持ち寄ると、情報の線を越える
費用無料か、実費だけ参加費を取ると、対価としての内容が求められ、運営の負担が増える
案内の場所参加者からの紹介だけ。公開で募集しない公開すると、本業の関係者や依頼側の目に触れる

小さく始める要点は、「知っている人だけ・紹介だけ」で始めることです。参加者が互いに知っている状態なら、依頼側と候補者の情報を出さない線を守りやすく、出てしまったときも広がりにくい。公開で募集して人数を増やすのは、線を守る運営ができるようになってからで、多くの場合はそこまで大きくする必要がありません。

運営で守る情報の線

主催者は、参加者が話す内容にも責任を持つ立場になります。参加者が依頼側の情報を出したとき、止められるのは主催者だけです。

場面主催者がすること
最初に線を伝える「依頼側の会社名、候補者の情報、合意した単価の具体は出さない」と、参加の前に伝える
話が具体に寄ったとき「構造だけにしましょう」と止める。会社名が出たら、その場で忘れてもらう
参加者どうしの案件の紹介場では紹介の意向だけを確認し、詳細は場の外で当人どうしが話す
記録議事録や録画を残さない。残すなら、判断の仕方の一般化した要点だけ
本業の情報参加者の本業の会社の採用の内情も出さない。本業に対する情報の持ち出しになる
依頼側の名前が分かる自己紹介「〇〇社を担当」ではなく「この規模・業界の会社のスカウト運用」にしてもらう

線の要点は、「最初に伝える」ことです。始まってから止めるのは難しく、伝えていなければ参加者は悪気なく話します。参加の前に線を文章で渡し、参加の条件にしておくと、主催者が止めやすくなります。情報の種類ごとの扱いは個人情報の扱い情報の取り扱いと端末の分離に整理した線がそのまま使えます。

本業と両立して続ける工夫と、やめ方

運営は、始めるより続けるほうが難しく、やめ方も決めておくと楽になります。

工夫内容
運営の稼働を副業の稼働に入れて数える月の副業の稼働時間に、運営の分を入れる。案件の稼働が足りなくなったら運営を減らす。稼働時間の管理と申告
本業の繁忙期は止めると決めておく「この月は開催しない」を最初から決め、参加者にも伝えておく
役割を分ける案内、進行、場所の手配を、一緒に運営する人と分ける。一人が抜けても回る
内容を参加者に持ち寄ってもらう主催者が準備するのではなく、参加者が「迷っていること」を持ち寄る。準備の稼働を無くす
続ける理由を自分の範囲に置く案件が来るかではなく、範囲の言葉が整っているかで続ける価値を見る
やめ方を決めておく「参加者が減ったら」「運営する人が一人になったら」やめる、と最初に決める

続ける要点は、「やめ方を決めておく」ことです。集まりは、始めた人の義務感で続くことが多く、本業と副業の稼働を削ってまで続けてしまいます。最初に「この状態になったらやめる」と決め、参加者にも伝えておけば、やめることが失敗ではなく、決めていた区切りになります。やめた後も、そこで知り合った人との関係は残ります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、コミュニティを主催して副業が広がった人と、主催して副業が止まった人の違いは、運営の稼働を副業の稼働として数えていたかどうかです。数えていない人は、案件の稼働と運営の稼働が別物として積み上がり、本業が忙しくなったときに、案件の稼働が先に削られます。依頼側から見れば、担当者の稼働が下がった理由が集まりの運営だった、ということになり、信頼に関わります。

順番として、運営を始める前に、月の副業の稼働時間の上限を決め、その中に案件と運営の両方を入れる。案件の稼働が上限に近づいたら、運営を減らすか止める。この順番を決めておけば、運営が案件を圧迫することはありません。エラベルでは、担当者の稼働の上限を登録の時点で聞いているので、運営を始めるときは、その上限の中に収まるかを先に見てもらっています。集まりの運営は、案件の稼働の余りでやるものであって、案件の稼働を削ってやるものではありません。

まとめ

よくある質問

主催の経験は、プロフィールや経歴に書いてよいですか

書いて構いませんが、依頼側が見るのは担当できる業務の範囲なので、主催の経験を売りにはしません。書くなら、「同じ立場の人事経験者の集まりを運営」と一行にとどめ、範囲と実績を中心に書きます。主催を通して整った範囲の言葉を、プロフィールの一行目に書くほうが効きます。書き方はプロフィールの書き方に整理しています。

参加者から「依頼側を紹介してほしい」と頼まれました

主催者は依頼側を紹介する立場ではなく、参加者どうしが範囲を知り合う場を持っているだけです。自分の範囲に合わない案件が来たときに、範囲が合う参加者に紹介することはできますが、それは主催者としてではなく、同じ立場の仲間としての紹介です。紹介の礼儀と進め方は紹介につなげる知人紹介で受けるときの注意に書いています。

本業の会社に、集まりを主催していることが知られました

主催者として名前が出ている以上、本業の関係者の目に触れることは起こります。本業の会社に副業を伝えている場合は、集まりの内容が本業の情報を含まないことを説明できれば足りることが多いです。伝えていない場合は、副業そのものの扱いの話になるので、就業規則を確認し、伝える形を整えてください。規定の解釈と自分の状況での扱いは、専門家にご確認ください。