人事副業 / 案件獲得
経営者直下で動くときの立ち回り|人事の副業で、判断が早い代わりに範囲と時間が崩れやすい相手との付き合い方
人事がいない会社の案件では、副業の人のやり取りの相手は経営者本人になります。担当を通さないので、判断が早く、話が通りやすい。「これでいきましょう」がその場で決まる。一方で、経営者は採用以外にも多くのことを抱えていて、思いつきで範囲が変わり、日中に連絡が来て、採用と関係の無い相談まで来ることがあります。結論を先に書くと、経営者直下では、判断の早さを活かすために「判断の項目を選択肢の形で短く出す」型を持ち、範囲と時間を守るために「その場で受けず、書面に戻し、区切りに送る」型を持つと、早さの利点を残したまま崩れを防げます。担当がいる案件と同じやり方では、経営者の速度に飲まれます。相手の規模ごとの違いは企業規模で絞るという戦い方に、丸投げの組み替え方は丸投げ案件をどう扱うかにまとめています。
経営者直下の特徴
担当を通す案件と比べたときの、経営者直下の特徴を整理します。
| 観点 | 担当を通す案件 | 経営者直下の案件 |
|---|---|---|
| 判断の速さ | 担当から判断する人へ。数日かかることも | その場。数分 |
| 判断の一貫性 | 型と基準に沿う | 思いつきで変わることがある |
| 範囲の広がり方 | 担当が範囲を意識している | 経営者は範囲を意識していない。「ついでに」が多い |
| 連絡の時間帯 | 担当の勤務時間 | 経営者の思いついた時間。早朝、深夜、週末も |
| 相談の内容 | 採用の実務 | 採用の戦略、組織、時に採用と無関係のこと |
| 関心の持続 | 担当の業務なので続く | 経営者の関心が別に移ると、採用への関心が下がる |
| 情報の共有 | 担当が社内に伝える | 経営者の頭の中にある。社内に伝わっていないことがある |
| 支払い | 経理の手続き | 経営者の判断。仕組みが無いことも |
特徴の要点は、「早さと不安定さが、同じ源から来ている」ことです。経営者が直接判断するから早く、経営者が直接判断するから思いつきで変わる。早さだけ取って不安定さを消すことはできず、不安定さを型で受け止めることになります。
判断の早さを活かす型
経営者の判断の早さは、使い方次第で最大の利点になります。活かす型を整理します。
| 型 | 内容 | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 選択肢の形で短く出す | 「AかBか。Aならこう、Bならこう」。経緯を書かない | 経営者は短い判断を好む。長い説明は読まれない |
| 判断の項目をまとめて出す | 週に一度、判断が要る項目を一覧で。一つずつ送らない | 経営者の時間を細切れにしない |
| 判断の結果をその場で書面に | 決まった瞬間に、チャットで「〇〇で進めます」と書く | 思いつきの判断が、記録になる。後で「そんなこと言ったか」を防ぐ |
| 判断の基準を一緒に決める | 「次回から、こういう場合はAで進めてよいですか」 | 基準ができれば、判断の回数が減る |
| 判断が変わったら、変わったことを書面に | 「先週はAでしたが、今回はBで進めます」 | 変化を記録する。責めない |
型の要点は、「判断の結果を、その場で書面にする」ことです。経営者の判断は早いぶん、記録に残りにくい。口頭で決まったことを、決まった瞬間にチャットで書き、経営者が見た状態にしておくと、後で変わっても「前回はこうでした」と戻れます。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「経営者と直接なので判断は早いが、毎週言うことが変わって、何を作ればよいか分からない」という話です。先週は営業職を優先、今週は技術職、来週はまた営業職。副業の人は、そのたびに文面を作り直し、どれも中途半端になっています。経営者に悪気は無く、そのときの事業の状況で優先が変わっているだけです。
見ていて差がつくのは、「判断が変わったことを、記録で見せているか」です。「先週は営業職の優先で文面を作り、今週は技術職に変わりました。両方を同時に進めると、どちらも遅れます。今月はどちらを優先しますか」と、変化を並べて聞く。経営者は、自分の判断が変わっていることに、記録で初めて気づきます。エラベルの登録でも、経営者直下で続いている人は、判断の記録を毎週見せていて、経営者から「整理してくれて助かる」と言われています。
範囲と時間を守る型
判断の早さを活かしつつ、範囲と時間を守る型を、番号付きで整理します。
- 書面の範囲を、経営者にも読んでもらう。 経営者は書面を読まずに始めることがある。初回打ち合わせで、含むことと含まないことを一緒に読む。
- 「ついでに」は、その場で受けない。 「一度持ち帰ります」と返し、書面の範囲を確認し、範囲外なら区切りに送る。
- 連絡の時間帯を、最初に伝える。 「連絡はいつでも構いませんが、返信は火木の夜と土曜午前です。緊急の定義はこうです」。経営者が深夜に送っても、返信は枠の中で。
- 採用以外の相談は、範囲外として区切りに。 組織の相談、評価制度の相談。「それは範囲外ですが、区切りで別のご依頼として相談させてください」。
- 判断の項目を週に一度にまとめる。 経営者が思いついたときに一つずつ聞かれると、自分の枠が細切れになる。「判断が要る項目は、週に一度まとめてお送りします」。
- 範囲を広げるなら、書面を更新する。 経営者の「じゃあそれもやって」は、書面の更新と時間と単価の話とセットに。
- 経営者が採用の判断に関わり続けることを、書面に。 「合否・条件の判断は経営者。副業の人は材料の用意」。経営者が手を引いたら、丸投げになる。
型の要点は、「二と四で、その場で受けない」ことです。経営者は決断が早いので、「じゃあお願い」がその場で出ます。その場で「はい」と言うと、範囲が広がります。「持ち帰る」を口癖にします。
経営者の関心が離れたときの対応
経営者直下の案件で最も起きやすいのが、経営者の関心が採用から別に移ることです。対応を整理します。
| 兆候 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 判断の返事が遅くなった | 関心が別に移っている | 判断の項目を減らし、期限を付ける。基準を先に決めて、判断の回数を減らす |
| 定例会が飛ぶようになった | 同上 | 書面版に切り替える。月に一度だけ短い時間を |
| 「採用は少し待って」と言われた | 事業の状況が変わった | 稼働を減らすか、区切りで一度終える。型を残す |
| 採用の目的が変わった | 事業の方向が変わった | ヒアリングをやり直す。範囲と課題を決め直す |
| 支払いが遅れ始めた | 経営者の優先順位が下がっている | 締め日と支払日を書面で確認。未払いのときの対応 |
対応の要点は、「関心が離れたら、判断の回数を減らして続けるか、型を残して終えるか」の二択だということです。経営者の関心を取り戻そうとしても、事業の状況は自分には動かせません。判断を減らして回る形にするか、区切りで終えて次の採用のときに戻る形にします。継続してもらうためにを参照してください。
経営者直下で起きる失敗
経営者直下に特有の失敗を整理します。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「ついでに」を受ける | 経営者の決断の速さに飲まれる | 持ち帰る。書面に戻す |
| 深夜の連絡に返信する | 経営者のペースに合わせる | 返信は枠の中。時間帯を最初に伝える |
| 判断の変化に振り回される | 記録が無い | 判断の結果をその場で書面に。変化を並べて見せる |
| 採用以外の相談に乗る | 頼られるのが嬉しい | 範囲外として区切りに。別の依頼として条件を |
| 経営者の頭の中の情報を、社内が知らない | 経営者が社内に伝えていない | 決まったことを、経営者と社内の関係者の両方に書面で |
| 経営者が判断から手を引く | 信頼して任せている | 判断の線を書面に。手を引いたら丸投げ。丸投げ案件をどう扱うか |
| 支払いの仕組みが無いまま始める | 経営者が「大丈夫」と言う | 締め日と支払日を書面で。経理の担当がいるか確認 |
| 経営者の関心が離れたのに続ける | 頼まれているから | 判断を減らして続けるか、型を残して終える |
| 経営者と近くなりすぎて範囲が消える | 関係が良くなる | 関係が良いほど、書面に戻る |
失敗の要点は、「経営者と近くなるほど、書面から離れる」ことです。関係が良くなると、口頭で全部決まり、書面が古くなります。関係が良いときこそ、書面を更新します。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、経営者直下で長く続いている人は、経営者の速度に合わせながら、書面に戻る動きを止めていません。判断はその場でもらい、その場で書面にし、範囲の話は持ち帰り、区切りで書面を更新する。経営者から見ると、「速く動いてくれて、しかも整理されている人」で、社内の人事にも求めにくい存在になっています。
依頼側(経営者)から見ると、副業の人が判断の項目を短く出し、決めたことを記録し、範囲外を区切りに送ることは、自分の時間を守ってくれる動きです。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口ですが、人事がいない会社の案件では、判断する人が経営者本人であることをお伝えしています。経営者直下の型を持っていただくと、判断の早さが利点として残り、範囲と時間が守られます。
まとめ
- 経営者直下は判断が早い代わりに、思いつきで範囲が変わり、日中に連絡が来て、採用以外の相談も来る。早さと不安定さは同じ源
- 早さを活かす型は選択肢の形で短く・週に一度まとめて・結果をその場で書面に・基準を一緒に決める・変化を記録
- 範囲と時間を守る型は書面を経営者にも読んでもらう・「ついでに」は持ち帰る・連絡の時間帯を最初に・採用以外は区切りに・判断は週に一度・広げるなら書面を更新・経営者が判断に関わり続けることを書面に
- 関心が離れたら判断を減らして続けるか、型を残して終えるかの二択
- 失敗は経営者と近くなるほど書面から離れること。関係が良いときこそ書面を更新
よくある質問
経営者が深夜や週末に連絡してきます。無視してよいですか
無視ではなく、返信の時間帯を守ります。深夜に届いた連絡は、次の稼働の枠で返す。「連絡はいつでも構いませんが、返信は火木の夜と土曜午前になります」と最初に伝えておけば、経営者も分かっています。経営者は思いついたときに送っているだけで、即答を求めていないことが多い。緊急の定義(候補者の辞退、面接の当日変更など)を決めておき、それに当たるものだけ、決めた時間帯(昼休みなど)に短く返す形にします。深夜に一度返信すると、深夜の返信が期待になります。
経営者から、採用と関係の無い組織の相談をされます。どう扱えばよいですか
範囲外として、区切りに送ります。「それは今回の範囲の外ですが、ご相談として区切りのときに整理させてください」。人事の経験があるので相談したくなるのは自然ですが、その場で乗ると、範囲が採用から人事全般に広がり、時間と単価が崩れます。区切りで、別の依頼として範囲と時間と単価を決めるなら受けられます。相談に乗ること自体は関係を良くしますが、無償で乗り続けると、稼働の対価が消えます。
経営者が「採用は一旦止める」と言いました。どうすればよいですか
事業の状況で採用が止まることは、経営者直下の案件では珍しくありません。稼働を止めるか、区切りで一度終えるかを、経営者と決めます。終えるなら、型と未完了の一覧を渡し、「再開のときにご連絡ください」と伝える。型が残っていれば、再開のときに立ち上がりが早く、経営者も声をかけやすい。止まっている間に無償で待機することは避け、他の案件を受けます。再開の連絡が来たら、新しい案件として条件を決め直します。引き継ぎ資料の残し方を参照してください。