人事副業 / 両立・スキル
成果が数字に出ない業務の見せ方|人事の副業で日程調整・記録・面接の準備のような業務は、「無くなった手戻り・減った待ち時間・依頼側の社内の人の時間」で見せる。数字が無いのではなく、数える対象が違う
受けている範囲は、日程調整と候補者への連絡、面接の記録の整備。毎月きちんと回しているが、稼働報告に書けるのは「調整した件数」くらいで、依頼側から「で、採用にどう効いているのか」と聞かれると答えに詰まる。結論を先に書くと、数字に出ない業務は、成果が無いのではなく、数える対象が違います。応募数や内定数ではなく、「無くなった手戻り」「減った待ち時間」「依頼側の社内の人が使わずに済んだ時間」を数えると、その業務の成果が見えます。日程調整なら「日程の理由での辞退が減った」「面接官が予定を組み直す回数が減った」、記録の整備なら「担当者が状況を聞きに来る回数が減った」が成果です。数える対象を最初に依頼側と決めておけば、報告で困りません。成果の定義そのものは成果をどう定義しておくかに、実績としての示し方は実績の示し方に、報告の形は稼働報告のフォーマットにまとめています。
数字に出ない業務が軽く見られる構造
日程調整や記録の整備は、採用が回るために欠かせない業務ですが、軽く見られやすい構造があります。
| 構造 | 何が起きるか |
|---|---|
| 採用の数字に直接つながらない | 応募数・面接数・内定数は、スカウトや求人票の成果として数えられ、その間の業務は数えられない |
| うまくいっているときほど見えない | 日程調整が滞りなく回っていると、「何もしていない」ように見える。滞ったときだけ目立つ |
| 依頼側の社内の人がやっていた業務 | 「自分たちでもできる業務」と見られ、外部に頼む価値が低く見積もられる |
| 件数で報告している | 「調整〇件」は稼働の量で、成果ではない。件数が多いほど「忙しいだけ」に見える |
| 依頼側の担当者が上長に説明しにくい | 「日程調整を外部に頼んでいます」は、上長に「それは社内でやれ」と言われやすい |
構造の要点は、「うまくいっているときほど見えない」ことです。日程調整が回っていれば辞退は起きず、記録が整っていれば担当者は困らない。問題が起きないことが成果なので、問題が起きない限り、誰も気づきません。だから、「問題が起きなかった」を数える形にしないと、成果は無いことになります。外部の立場で見えにくい価値の伝え方は外部の立場だからできることにも書いています。
数える対象を変える
数字に出ない業務の成果は、「増えたもの」ではなく「無くなったもの」「減ったもの」「使わずに済んだもの」で数えます。
| 業務 | 数えがちなもの(稼働の量) | 数えるべきもの(成果) |
|---|---|---|
| 日程調整 | 調整した件数 | 日程の理由での辞退の数、候補者への日程の提示から確定までの日数、面接官が予定を組み直した回数 |
| 候補者への連絡 | 送った連絡の数 | 候補者からの「まだですか」の問い合わせの数、返信までの時間、連絡の抜けによる辞退 |
| 記録の整備 | 入力した件数 | 担当者が「あの候補者はどうなったか」と聞きに来た回数、面接官が前の面接の内容を確認するのにかかる時間 |
| 面接の準備 | 準備した面接の数 | 面接官が「準備が無い」と言った回数、面接の開始が遅れた回数、面接官の準備の時間 |
| 内定者への連絡 | 連絡した回数 | 内定後の辞退の数、内定者から不安の連絡が来た回数 |
| 媒体の運用の整理 | 整理した数 | 担当者が媒体の管理画面を開く回数、締め切りを逃した募集の数 |
変える要点は、「以前との比較」で数えることです。「日程の理由での辞退が、以前は月に数件あったが、今はほぼ無い」のように、自分が入る前と後を比べます。自分が入る前の状態は、案件の最初に依頼側に聞いておかないと分かりません。最初に聞いておく項目は現状把握のしかたに整理しています。数字は依頼側の管理の記録から取り、自分の推定で書きません。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「日程調整や記録の整備は、実績にならないので、早くスカウトや面接の設計に移りたい」というものです。実際には、依頼側の担当者が外部の担当者に最も感謝しているのは、目立つ施策より、「候補者を待たせなくなった」「面接官が文句を言わなくなった」という、回っている状態です。担当者は、その状態を上長に説明する言葉を持っていないだけで、価値を感じていないわけではありません。
見ていて差がつくのは、その状態を担当者が上長に説明できる言葉にして渡しているかです。「今月の調整は〇件でした」では、担当者は上長に説明できません。「日程の理由での辞退が先月の〇件から今月はゼロになり、面接官の予定の組み直しが無くなりました」なら、担当者は上長に「外部に頼んでから選考が止まらなくなった」と言えます。エラベルでは、日程調整や記録の整備の範囲で担当している担当者にも、稼働の量ではなく「無くなったこと」で報告する形をお願いしています。その形で報告している担当者は、地味な範囲でも更新が続き、範囲が広がっています。
状態の変化で見せる
数える対象が決まったら、稼働報告の「状態の変化」の欄に、以前との比較で書きます。
| 書き方 | 例 |
|---|---|
| 以前の状態 | 「入る前は、日程の提示から確定まで平均で一週間以上かかり、その間に他社で決まる候補者がいた」 |
| 今の状態 | 「今月は、提示から確定まで数日以内に収まり、日程の理由での辞退は無かった」 |
| 何をしたか(短く) | 「面接官の枠を週に固定し、候補者には最初の連絡で複数の候補日を提示する形にした」 |
| 依頼側の社内の人への効果 | 「面接官が予定を組み直す回数が無くなり、担当者が候補者の状況を私に聞く回数が減った」 |
| 次に見える変化 | 「来月は、面接から内定までの期間が短くなるかを見る」 |
見せ方の要点は、「依頼側の社内の人への効果」を、数字でなくても一行入れることです。面接官や担当者の手間が減ったことは、依頼側の社内で最も伝わりやすい成果で、上長も「社内の時間が空いた」と理解できます。数字が取れない場合も、「面接官から予定の組み直しの連絡が来なくなった」のような事実で書けます。報告の書き方の型は報告のしかたに書いています。
依頼側の社内の人の時間で見せる
数字に出ない業務の多くは、依頼側の社内の人がやっていた業務です。その人の時間がどれだけ空いたかが、最も伝わる成果になります。
| 誰の時間 | 何が空いたか | 見せ方 |
|---|---|---|
| 担当者 | 候補者の状況を確認する時間、日程を組む時間、面接官に連絡する時間 | 「担当者が採用の事務に使う時間が減り、要件の整理や面接に使えるようになった」 |
| 面接官 | 予定の組み直し、前の面接の内容の確認、準備の資料を探す時間 | 「面接官が面接の前に準備の資料を読むだけで済むようになった」 |
| 経営者や上長 | 採用の進捗を担当者に聞く時間 | 「進捗が記録で見えるので、担当者に聞かなくても分かるようになった」 |
| 現場の部署 | 候補者の情報を探す、面接の日程を合わせる時間 | 「現場から『いつ面接か』の問い合わせが無くなった」 |
時間で見せる要点は、「その時間で何ができるようになったか」まで書くことです。「担当者の時間が空いた」だけでは、上長は「では担当者の仕事を減らせる」と受け取ることがあります。「空いた時間で、要件の整理と面接に集中できるようになった」と書けば、担当者の価値が上がった形で伝わり、担当者も自分を守りやすくなります。依頼側の社内の人との関係は現場との調整に整理しています。
依頼側に評価の軸を先に渡す
数字に出ない業務の成果は、依頼側が自分で気づくことは少なく、評価の軸を先に渡しておく必要があります。
| 時点 | 渡すこと |
|---|---|
| 契約のとき | 「この範囲の成果は、応募数ではなく、辞退の減少と社内の手間の減少で見てください」と、評価の軸を先に伝える。成果をどう定義しておくか |
| 最初の報告のとき | 以前の状態を数字か事実で書き、「ここが変わるかを見ます」と、比較の起点を示す |
| 毎月の報告 | 同じ軸で、以前との比較を続ける。軸を途中で変えない |
| 更新のとき | 一期分の変化を並べ、「この範囲で何が変わったか」を一枚にする。更新時の条件見直し |
| 担当者が替わったとき | 新任に評価の軸を改めて伝える。前任との合意は新任に引き継がれていない |
渡す要点は、「契約のときに軸を決める」ことです。軸が無いまま始めると、依頼側は採用の数字で評価し、数字に出ない業務は「何もしていない」になります。最初に「この範囲は、この軸で見てください」と伝え、依頼側が合意していれば、報告はその軸で書くだけで済みます。期待のすり合わせは期待値のすり合わせに書いています。
それでも見えないときの扱い
評価の軸を渡し、以前との比較で書いても、依頼側が価値を感じない場合があります。そのときの扱いです。
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| 依頼側が採用の数字しか見ない | 自分の範囲が採用の数字にどうつながるかを、一段だけ示す。「辞退が減ったので、面接数が維持された」のように、自分の範囲の成果と採用の数字の間の一段を書く |
| 「それは社内でできる」と言われる | 社内でやっていたときの状態(滞り、辞退、担当者の手間)を、依頼側の記録で示す。できるかどうかではなく、やれていたかどうか |
| 以前の状態の記録が無い | 自分が入ってからの記録で、月ごとの変化を示す。「入る前」が無くても、「入ってからの推移」は示せる |
| 担当者は分かっているが上長が分からない | 担当者と一緒に、上長向けの一枚を作る。担当者が説明できる言葉にする |
| 範囲を広げたいのに、数字に出ない範囲で止まっている | 数字に出ない範囲の成果を示したうえで、「次はここを」と提案する。成果を示さずに範囲を広げようとしない。次の案件へ広げる |
| 何をしても評価されない | 依頼側がその範囲に価値を置いていないなら、その案件では範囲を変えるか、更新の節目で終える。自分の見せ方の問題と、依頼側の評価の軸の問題を分ける |
扱いの要点は、「自分の範囲の成果と採用の数字の間の一段を書く」ことです。日程調整の成果は「辞退が減った」で、それが「面接数が維持された」につながり、「内定数」につながります。自分の範囲から採用の数字まで全部をつなげようとせず、一段だけつなげれば、依頼側は続きを自分で理解します。それでも評価されないなら、依頼側の評価の軸がその範囲に無いということで、見せ方を変えても届きません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、日程調整や記録の整備の範囲で長く続いている人は、稼働の量を報告していません。「無くなったこと」「減ったこと」「依頼側の社内の人が使わずに済んだ時間」を、以前との比較で毎月書いています。それを読んだ依頼側の担当者が上長に説明でき、上長が「外部に頼んで選考が止まらなくなった」と理解しているので、更新が続いています。
順番として、契約のときに評価の軸を渡し、最初の報告で以前の状態を書き、毎月同じ軸で比較を続け、依頼側の社内の人の時間で効果を書く。この順番で、数字に出ない業務も、依頼側の中で成果として扱われます。エラベルでは、依頼側が担当者を選ぶとき、目立つ施策の経験より、「回っている状態を作れる人」を求めている場面が多く、そこで選ばれる担当者は、回っている状態を見せる言葉を持っています。成果が数字に出ないのではなく、数える対象を変えれば出ます。
まとめ
- 数字に出ない業務は成果が無いのではなく、数える対象が違う。「無くなった手戻り・減った待ち時間・社内の人が使わずに済んだ時間」で数える
- 軽く見られるのは採用の数字に直接つながらず・うまくいっているほど見えず・社内でできると見られ・件数で報告しているから
- 以前との比較で書く。以前の状態は案件の最初に聞いておく。数字は依頼側の記録から
- 依頼側の社内の人の時間で見せ、その時間で何ができるようになったかまで書く
- 契約のときに評価の軸を渡し、毎月同じ軸で続け、担当者が替わったら改めて伝える
- 見えないときは自分の範囲と採用の数字の間の一段を書く。それでも届かないなら、依頼側の評価の軸の問題として分ける
よくある質問
以前の状態を聞かずに始めてしまい、比較の起点がありません
自分が入ってからの記録で、月ごとの推移を示します。「入って一か月目はこうで、三か月目はこう」という推移は、以前の状態が無くても書けます。加えて、依頼側の担当者に「私が入る前は、日程の調整はどのくらいかかっていましたか」と今からでも聞けば、担当者の記憶で起点を作れます。正確でなくても、担当者自身の記憶なので、担当者は納得します。
「辞退が減った」のは自分の業務のおかげか、他の要因か分かりません
一つの要因に断定しないほうが、依頼側の信頼を得られます。「日程の枠を固定してから、日程の理由での辞退が無くなった。他の要因もあるかもしれないが、日程の理由の辞退に限れば変化は明確」のように、自分の業務と直接つながる部分だけを書き、それ以外は断定しません。断定しない書き方のほうが、依頼側は「この人の報告は信用できる」と受け取ります。
依頼側の記録に、辞退の理由や調整の日数が残っていません
自分が記録を始めます。候補者に日程を提示した日と確定した日、辞退の理由を、依頼側のATSか共有の記録に残す形にすれば、数か月で比較の材料ができます。記録を残すこと自体が「記録の整備」の成果でもあり、「以前は分からなかったことが分かるようになった」と報告できます。記録の型は議事録の残し方と稼働ログの付け方に整理しています。