人事副業 / 案件獲得
職種特化という戦い方|人事の副業で、「採用する職種」で絞ると依頼側に届きやすくなる理由と組み立て方
人事の副業で絞る軸として、業務(スカウト、求人票など)と業界(製造、医療など)のほかに、「採用する職種」で絞る形があります。エンジニア採用、営業職採用、看護師採用のように、採用が難しく、候補者の像と経路が独特な職種は、その職種を長く採用してきた人にしか分からないことが多い。しかも職種は業界をまたぐので、業界特化より相手の幅が広い。結論を先に書くと、職種特化は「採用が難しい職種の候補者像・経路・訴求を知っている」ことが売りで、業務と組み合わせて「職種×業務」で絞ると、業界を越えて依頼側に届きます。採用が難しくない職種で絞っても、依頼側の困りごとと合わないので、効きません。業務での絞り方は得意領域の決め方に、業界での絞り方は業界特化という戦い方にまとめています。
三つの絞る軸と、職種の位置
絞る軸は三つあり、それぞれ売りになるものが違います。職種は、業界と業務の中間に位置します。
| 軸 | 何で絞るか | 売りになるもの | 相手の幅 |
|---|---|---|---|
| 業務 | スカウト運用、求人票、一次対応など | 業務の型と数 | 業界も職種も問わない。最も広い |
| 職種 | エンジニア、営業、看護師など、採用する職種 | 職種の候補者像、経路、訴求、選考の型 | 業界をまたぐ。その職種を採用する会社全部 |
| 業界 | 製造、医療、飲食など | 業界の採用の型、慣行、繁忙 | その業界の会社。最も狭い |
位置の要点は、「職種は、業界より広く、業務より深い」ことです。エンジニア採用の型は、製造業でも金融でもサービス業でも使えます。一方で、エンジニアの候補者像や経路を知らない人には、エンジニア採用は難しい。この「業界を越えて使えるが、知らないと難しい」という性質が、職種特化の売りになります。
職種特化が効く条件
職種特化は、どの職種でも効くわけではありません。効く条件を整理します。
| 条件 | 効く | 効きにくい |
|---|---|---|
| 採用の難しさ | 候補者が少なく、経路が独特で、一般の人事が苦労する職種 | 候補者が多く、一般の経路で採れる職種 |
| 候補者像の独自性 | 経歴の読み方、スキルの見方に職種の知識が要る | 経歴を読めば誰でも分かる |
| 経路の独自性 | 職種特有の媒体、コミュニティ、紹介のつながりがある | 一般の媒体で足りる |
| 訴求の独自性 | 候補者が気にする条件が職種で決まる(技術環境、裁量、勤務形態など) | 一般的な条件で決まる |
| 自分の経験 | その職種を複数年、数をこなして採用してきた | 数回だけ、または職種を転々としている |
| 依頼側の困りごと | その職種が採れずに困っている会社が多い | 困っている話を聞かない |
条件の要点は、「依頼側が困っている職種であること」です。困っていない職種で特化しても、依頼側の困りごとと合わず、案件になりません。自分の周りで、どの職種の採用で困っている話を聞くかが、職種を選ぶ材料になります。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「事務職の採用を長くやってきたので、事務職特化で行きたい」という声です。事務職は候補者が多く、一般の経路で採れることが多いので、依頼側は事務職採用で外部に頼むことが少ない。経験の長さと、依頼側の需要は、別のものです。困っている職種で絞らないと、職種特化は効きません。
見ていて差がつくのは、「職種の型を、業界を越えて書き出せるか」です。「エンジニアは、技術環境と裁量を先に書く。経歴は職務の名前ではなく、使ってきた技術と関わった範囲で読む。経路は一般媒体より、技術者向けの媒体とコミュニティ」。こうした型を自分の言葉で持っている人は、製造業でも金融でも、エンジニア採用で困っている会社に届きます。エラベルの登録でも、職種×業務で絞った人は、その職種の案件が出たときに、業界を問わずご連絡できるので、業界特化より連絡の機会が多くなっています。
職種の型を書き出す
職種特化の売りは、職種の型です。プロフィールを書く前に、型を自分の言葉で書き出します。
| 型の要素 | 書き出すこと | 例(エンジニアの場合) |
|---|---|---|
| 候補者像 | どんな経歴・スキル・志向の人か。経歴の読み方 | 職務の名前より、使ってきた技術と関わった範囲で読む |
| 経路 | どこにいるか。媒体、コミュニティ、紹介、学校 | 技術者向けの媒体、勉強会、社内の技術者からの紹介 |
| 訴求 | 候補者が気にする条件、避ける表現 | 技術環境、裁量、開発の進め方。曖昧な「やりがい」は避ける |
| 選考の型 | 何を、どの順番で確認するか | 技術の確認、関わった範囲の確認、働き方の確認 |
| つまずき | この職種の採用でよく起きる問題 | 要件が高すぎる、技術者が選考に関わらない |
| 繁忙の周期 | 採用が動く時期 | 職種によって違う。無ければ書かない |
書き出しの要点は、「本業固有の情報を混ぜない」ことです。職種の一般的な型は持ち込めますが、本業で使っている媒体の設定や、本業の採用計画は持ち込めません。区別がつかなければ、専門家に確認してください。書き出した型は、noteで実績を見せるのように、一本の記事にすると、プロフィールから参照できます。
職種特化の組み立て方
職種特化で副業を組み立てる手順を、番号付きで整理します。
- 本業の規定を確認する。 副業の可否、競業の範囲。職種特化は業界をまたぐので、業界特化より競業の線は引きやすいが、同じ職種を取り合う競合には注意。判断がつかない点は専門家に。
- 困っている職種を一つ選ぶ。 自分の経験があり、依頼側が困っている職種。事務職のように採れる職種は選ばない。
- 職種×一つの業務で絞る。 「エンジニア採用なら何でも」にしない。「エンジニア向けスカウトの運用」「エンジニア求人票の作成」のように。案件の範囲の決め方を参照。
- 職種の型を書き出す。 上の表の要素を、自分の言葉で。
- プロフィールの肩書に、職種×業務を書く。 「エンジニア向けスカウト運用の副業を受けています」。プロフィールの書き方を参照。
- 経験を、職種の数と変化で書く。 「エンジニア採用を五年、スカウトを数千通。技術環境を冒頭に書く型にして返信率が上がった」。
- 職種のコミュニティや媒体で、何の人か覚えられる。 職種特化は、その職種を採用する人事のつながりが経路になる。人事コミュニティの活かし方を参照。
- 一件目は、本業と業界が離れた相手から。 職種は同じでも、業界が違えば競合と候補者の重なりは減る。
- 面談で、依頼側の要件と技術者の関わりを確認する。 職種特化の案件は、要件が高すぎる、現場が選考に関わらない、で止まることが多い。
- 書面に、情報の扱いと、判断の線を書く。 候補者の技術評価は現場、合否は依頼側。自分は経路と文面と一次対応。
手順の要点は、「二で、困っている職種を選ぶ」ことです。経験がある職種と、困っている職種が違うときは、困っている職種に経験があるかを見て、無ければ業務特化に切り替えます。
職種特化ならではの失敗
職種特化で起きやすい失敗を整理します。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 困っていない職種で絞る | 経験の長さで選ぶ | 依頼側が困っている職種で選ぶ |
| 職種だけで絞り、業務が広い | 「〇〇採用なら何でも」 | 職種×一つの業務 |
| 職種の専門知識を求められる | 依頼側が、技術の評価まで期待する | 評価は現場、自分は経路と文面と一次対応、と線を引く |
| 要件が高すぎる案件を受ける | 依頼側の要件が市場と合わない | 面談で要件を確認。合わなければ、要件の見直しを提案するか断る |
| 現場が選考に関わらない | 人事だけで進め、現場の判断が入らない | 面談で現場の関わりを確認。関わらないなら範囲を狭く |
| 本業の媒体の設定を持ち込む | 職種の型と本業固有の区別がつかない | 一般化して自分の言葉で |
| 同じ職種を取り合う競合から受ける | 業界が違っても、候補者は重なる | 候補者の経路が重なるかを確認 |
| 職種の需要が変わる | 一つの職種に固定 | 隣接する職種を足す。業務の型は共通 |
失敗の要点は、「職種特化は、依頼側が専門知識まで期待しやすい」ことです。エンジニア採用に特化していると、技術の評価まで頼まれることがあります。自分の範囲は経路と文面と一次対応で、技術の評価は現場、合否は依頼側、と最初に線を引きます。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、職種特化で続いている人は、「職種の型」と「専門知識」を分けています。エンジニアの候補者像と経路と訴求は知っているが、技術の良し悪しの評価は現場に任せる。この線が引けていると、依頼側は「経路と文面は任せて、評価は自分たちで」と役割を分けられ、範囲が守られます。線が引けていないと、技術の評価まで求められ、経験の外に出ます。
職種特化は、業界を越えて届くぶん、依頼側の幅が広く、条件が合う案件が出やすい形です。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口なので、職種×業務で絞った登録には、業界を問わずその職種の案件が出たときにご連絡できます。ただし、困っている職種でないと案件は出ません。経験のある職種と、困っている職種が重なるところで絞っていただくことをお勧めしています。
まとめ
- 絞る軸は業務・職種・業界の三つ。職種は業界より広く、業務より深い
- 職種特化が効くのは採用が難しく、候補者像・経路・訴求が独特で、依頼側が困っている職種に、自分の経験があるとき
- 職種×一つの業務で絞る。「〇〇採用なら何でも」は幅広と同じ
- 職種の型は候補者像・経路・訴求・選考の型・つまずき・繁忙を、本業固有の情報を混ぜずに自分の言葉で書き出す
- 一件目は本業と業界が離れた相手から。面談で要件と現場の関わりを確認
- 失敗は困っていない職種・職種だけで絞る・専門知識まで求められる・要件が高すぎる・現場が関わらない。評価は現場、合否は依頼側、自分は経路と文面と一次対応
よくある質問
特化する職種の専門知識が、自分にはありません。それでも職種特化はできますか
職種特化に要るのは、その職種の専門知識ではなく、その職種の採用の型(候補者像の読み方、経路、訴求、選考の型)です。エンジニアの技術の良し悪しを評価できなくても、エンジニアがどこにいて、何を気にして、経歴をどう読めばよいかを知っていれば、採用の型は持てます。技術の評価は現場に任せると最初に線を引き、自分は経路と文面と一次対応を受ける形にすれば、専門知識が無くても職種特化は成り立ちます。
職種特化と業界特化は、どちらを選べばよいですか
自分の経験と、本業との線で決まります。同じ業界で複数年、その業界特有の採用をしてきたなら業界特化、業界をまたいで同じ職種を採用してきたなら職種特化が、経験に合います。本業との線では、業界特化は同じ業界の競合と近く、職種特化は業界が違えば競合から離れやすいので、線が引きやすいのは職種特化です。どちらも、業務と組み合わせて絞ることは同じです。迷うなら、依頼側が困っている話をどちらで多く聞くかで決めてください。
職種の需要が減ったら、どうすればよいですか
隣接する職種を足すか、業務の型で職種の外を受けます。エンジニア採用の型は、隣接する技術系の職種(データ、インフラ、プロダクトなど)に近く、経路も重なります。業務の型(スカウトの文面、一次対応の手順)は職種を越えて使えるので、職種の外の案件も、業務特化として受けられます。職種特化は、案件を絞る仕組みではなく、その職種で困っている会社に見つけてもらうための書き方です。需要が変わったら、書き方を変えれば、経験はそのまま使えます。