人事副業 / 両立・スキル
複数案件のスケジュール管理|人事の副業で二件以上を回すなら、「週の稼働の枠を先に置き、案件を枠に割り当て、締め日と定例を一枚に並べる」。案件ごとに時間を作るのではなく、枠に案件を入れる
一件のときは回っていた副業が、二件目を受けたら急に回らなくなった。それぞれの案件の定例と締め日が別々にあり、どちらかの候補者の対応が入ると、もう一方が止まる。結論を先に書くと、複数の案件を回すスケジュールは、案件ごとに時間を作るのではなく、「週の稼働の枠を先に置き、その枠に案件を割り当て、締め日と定例と請求の日を一枚に並べる」形にします。案件ごとに時間を作ると、案件が増えるたびに枠が増え、本業の時間を侵食します。枠を先に固定し、その中に案件を入れれば、枠を超える案件は受けられないことが分かり、受ける数の上限も見えます。一件の稼働の見立ては複数案件を掛け持ちできるかに、一週間の稼働の置き方は1週間のスケジュール例に、稼働の上限は稼働時間の上限にまとめています。
案件ごとに時間を作る方法が崩れる理由
一件のときは「この案件のために火曜と木曜の夜」で回ります。二件目も同じように時間を作ると、崩れます。
| 崩れ方 | 何が起きるか |
|---|---|
| 枠が足し算で増える | 一件目に週二回、二件目にも週二回。合計が週四回になり、本業と生活の時間が減る |
| 候補者の対応が枠を越える | 候補者からの返信は、案件の枠の日に来るとは限らない。枠の外で対応すると、もう一方の案件の枠を使う |
| 定例が重なる | 二件の依頼側の定例が同じ曜日に入る。動かせるのは自分の側だけで、依頼側の都合は動かない |
| 締め日と請求の日が別々 | 依頼側ごとに締め日が違い、月末に両方の稼働報告と請求が重なる |
| 片方の山がもう片方を潰す | 一件目の採用が佳境に入ると、二件目の稼働が止まる。二件目の依頼側から見れば、理由の無い停滞 |
| 上限が見えない | 案件ごとに時間を作ると、「もう一件受けられるか」が分からず、受けてから崩れる |
崩れる要点は、「上限が見えない」ことです。案件ごとに時間を作る方法は、枠が案件の数だけ増えるので、どこで止めるべきかが分かりません。枠を先に固定すれば、枠に入らない案件は受けられないと分かり、上限が自分で見えます。
週の稼働の枠を先に置く
案件を見る前に、週の中で副業に使える枠を決めます。この枠は、案件が増えても増やしません。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 一、本業と生活の時間を先に置く | 本業の勤務、通勤、家族との時間、睡眠を先にカレンダーに置く。残った時間が副業の候補 |
| 二、繁忙期でも守れる枠を選ぶ | 残った時間のうち、本業が最も忙しい月でも空いている枠だけを副業の枠にする。閑散期の余りは枠に入れない |
| 三、枠を種類で分ける | 「まとまった作業の枠」(文面の作成、記録の整理)と「短い対応の枠」(返信、確認)に分ける。短い枠は毎日、まとまった枠は週に数回 |
| 四、定例の枠を別に持つ | 依頼側との定例は、依頼側の都合で決まる。定例用の枠を、まとまった枠とは別に確保する |
| 五、予備の枠を一つ残す | 候補者の対応の山や、依頼側の急な依頼に使う枠を、週に一つ空けておく。使わなければ休む |
枠を置く要点は、「二」の繁忙期でも守れる枠にすることです。閑散期の時間で枠を決めると、繁忙期に枠が消え、案件が止まります。繁忙期の枠で決めれば、通年で守れます。時間の確保の考え方は副業の時間を確保するに、平日の夜や早朝の使い方は平日の夜に副業をすると早朝に副業をするに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「二件目は、一件目と同じだけの時間が要る」というものです。実際には、二件目に要る時間は、二件目の範囲と工程で決まり、一件目とは違います。一件目がスカウトの運用で週にまとまった時間が要る案件でも、二件目が日程調整と一次対応なら、短い枠で回ることがあります。案件ごとに時間を足すのではなく、枠の種類(まとまった枠、短い枠)に、案件の工程を割り当てると、同じ枠に二件が入ることがあります。
見ていて差がつくのは、「枠を先に固定しているか」です。固定している人は、二件目の相談が来たとき、「この工程なら短い枠に入る」「この工程はまとまった枠が埋まっているので受けられない」と、その場で判断できます。固定していない人は、「何とかなる」と受けて、一件目の稼働を削ります。エラベルでは、担当者の稼働の枠を登録の時点で聞いていて、依頼側の相談が来たとき、その枠に入る範囲かを見て提示しています。枠が明確な担当者ほど、合う案件が来て、合わない案件は来ません。
案件を枠に割り当てる基準
枠が決まったら、案件の工程を枠に入れます。案件を丸ごと入れるのではなく、工程で分けて入れます。
| 工程 | 入れる枠 | 理由 |
|---|---|---|
| スカウトの検索と文面の作成 | まとまった枠 | 集中が要る。細切れでは進まない |
| スカウトの送信 | まとまった枠か、短い枠の複数回 | 送信そのものは短時間で分けられる |
| 候補者への返信、日程調整 | 短い枠(毎日) | 返信の速さが要る。毎日の短い枠で回す |
| 依頼側との定例 | 定例の枠 | 依頼側の都合で固定 |
| 稼働報告と請求 | まとまった枠(月に一度) | 月末に集中する。締め日から逆算して枠に入れる |
| 記録の整理 | まとまった枠の末尾か、短い枠 | 溜めると重くなる。こまめに |
| 候補者の山(一次面接が集中する週など) | 予備の枠 | 山は予測できるので、前の週に予備の枠を空けておく |
割り当ての要点は、「候補者への返信は毎日の短い枠に、それ以外はまとまった枠に」です。複数の案件を持つと、毎日の短い枠に全案件の返信が入り、まとまった枠は案件ごとに曜日を分けます。「火曜はA社のまとまった枠、木曜はB社」のように、一日に一案件のまとまった作業にすると、切り替えの負担も減ります。ツールの切り替えの負担はツールを統一するか合わせるかに書いています。
締め日・定例・請求の日を一枚に並べる
複数の案件で最も見落とすのは、依頼側ごとに違う日付です。一枚に並べます。
| 並べる項目 | 内容 |
|---|---|
| 定例の日と時間 | 案件ごとに。重なったら、自分の側で動かせるものを動かす。動かせなければ、片方の依頼側に相談 |
| 稼働報告を出す日 | 締め日から逆算した日。稼働報告のフォーマット |
| 請求書を出す日 | 稼働報告と同じ日。請求のタイミング |
| 入金の予定日 | 支払日。入金の確認の日として |
| 契約の更新の日 | 二か月前と一か月前に印を付ける。更新時の条件見直し |
| 依頼側の採用の山 | 面接が集中する週、内定の時期など、依頼側から聞いた予定 |
| 本業の繁忙期 | 自分の側の山。副業の枠を減らす時期として |
並べる要点は、「月の中で日付が重なる週を見つける」ことです。二件の稼働報告と請求が同じ週に重なるなら、片方を数日前倒しして、まとまった枠を分けます。定例が同じ曜日なら、時間帯をずらせるか依頼側に相談します。一枚に並べて初めて、重なりが見えます。カレンダーは副業用の一つに、案件ごとの色で入れると、重なりが見た目で分かります。
案件の山が重なったときの調整
予備の枠を空けていても、二件の山が同じ週に重なることがあります。そのときの調整の順番を決めておきます。
| 順 | 調整 | 内容 |
|---|---|---|
| 一 | 予備の枠を使う | 空けておいた枠に、山の分を入れる |
| 二 | まとまった枠の中身を入れ替える | 山が来ていない案件のまとまった作業(文面の改良、記録の整理)を翌週に回し、その枠を山の案件に使う |
| 三 | 依頼側に先に伝える | 「今週は候補者の対応が集中するため、〇〇の作業は来週に回します」と、山が来ていない案件の依頼側に先に伝える。黙って遅らせない |
| 四 | 優先順位を依頼側と決める | 両方の山が同時なら、それぞれの依頼側に「今週はここまで」を伝え、優先を確認する |
| 五 | 枠を増やさない | 山だからと本業や生活の枠を削らない。削ると翌週に響き、両方の案件が崩れる |
調整の要点は、「三」の先に伝えることです。山が来ていない案件の依頼側は、自分の案件が後回しになった理由を知りません。「今週は他の案件が」とは言わず、「今週は〇〇の作業を来週に回します」と、その依頼側の案件の中の話として伝えます。伝えていれば、遅れは調整で、伝えなければ停滞です。本業が忙しいときの伝え方は本業が忙しくて稼働できないときに整理しています。
本業の繁忙期の扱い
本業の繁忙期は、副業の枠そのものが減ります。複数の案件があるとき、減った枠をどう配るかを決めておきます。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 繁忙期の枠を先に決めておく | 「〇月は短い枠だけ。まとまった枠は無し」のように、年の初めに決める |
| 繁忙期に受けられる範囲を各依頼側に伝えておく | 契約のときに「〇月は稼働が下がる」と伝えておけば、繁忙期に改めて言う必要が無い |
| 減った枠の配り方 | 候補者への返信は全案件で維持し、まとまった作業は全案件で止めるか減らす。片方だけを止めない |
| 繁忙期に山が来る案件 | 契約のときに、依頼側の採用の山と自分の繁忙期が重ならないかを見る。重なるなら、範囲を絞るか、時期をずらす |
| 繁忙期の前に前倒しする | 文面の改良、記録の整理、型の更新のように、時期を選ばない作業を繁忙期の前に済ませておく |
繁忙期の要点は、「片方だけを止めない」ことです。繁忙期に一件だけを止めると、その依頼側から見て「自分の案件は優先度が低い」と映ります。全案件で同じように「返信は維持、まとまった作業は減らす」とすれば、どの依頼側にも同じ説明ができます。繁忙期の見立ては稼働時間の上限に、繁忙期を含めた年間の見立ては年間の副業収入の見立てに書いています。
崩れたときの立て直し
枠を決めていても、崩れることはあります。崩れたときに、案件を減らす前に、立て直す順番があります。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 一、稼働ログで実態を見る | どの案件のどの工程に、枠を超えて時間が使われているかを、記憶ではなくログで見る。稼働ログの付け方 |
| 二、超えている工程を特定する | 多くの場合、候補者の対応か、範囲外の依頼が枠を超えている |
| 三、範囲外なら依頼側と話す | 範囲外の工程が増えているなら、それは範囲の話。範囲が広がっていくとき |
| 四、範囲内なら枠の割り当てを直す | 範囲内で超えているなら、工程の枠の割り当てが合っていない。まとまった枠と短い枠の配分を直す |
| 五、それでも超えるなら案件を減らす | 枠の割り当てを直しても超えるなら、案件の数が枠を超えている。更新の節目で一件を終える。契約期間の目安 |
立て直しの要点は、「案件を減らす前に、範囲と割り当てを見る」ことです。崩れた原因が範囲の広がりなら、範囲を戻せば枠に収まります。割り当ての問題なら、配分を直せば収まります。案件の数が問題なのは、その二つを直しても超えるときだけで、そこで初めて減らします。順番を飛ばして案件を減らすと、減らした後も同じ崩れ方をします。
エラベルの見解
担当する側から見ると、複数の案件を長く回している人は、案件の数を先に決めていません。週の枠を先に決め、枠に入る範囲の案件だけを受け、枠が埋まったら受けない。案件の数は、その結果として決まっています。逆に、「三件まで」のように数を先に決めた人は、三件の範囲と工程の合計が枠を超えて崩れるか、逆に枠が余っているのに受けないかのどちらかになっています。
順番として、枠を決め、その枠の種類(まとまった枠、短い枠、定例の枠、予備の枠)を決め、案件の相談が来たら工程を枠に当てはめて、入るなら受け、入らないなら断るか範囲を絞る。この順番なら、案件の数は自然に決まり、崩れる前に上限が見えます。エラベルでは、担当者の稼働の枠を登録の時点で聞き、依頼側の相談の範囲がその枠に入るかを見て提示しています。枠が明確な担当者は、受けた案件が枠に収まっているので、長く続いています。
まとめ
- 案件ごとに時間を作ると枠が足し算で増え、上限が見えず、崩れる
- 週の枠を先に置く。本業と生活の時間を先に置き、繁忙期でも守れる枠だけを副業に。まとまった枠・短い枠・定例の枠・予備の枠に分ける
- 案件は工程で分けて枠に入れる。候補者への返信は毎日の短い枠、それ以外はまとまった枠で一日一案件
- 締め日・定例・請求・入金・更新・依頼側の山・本業の繁忙期を一枚に並べ、重なる週を見つけて前倒しする
- 山が重なったら予備の枠→枠の中身の入れ替え→先に伝える→優先を依頼側と決める。枠は増やさない
- 繁忙期は片方だけを止めず、全案件で同じ配り方にする
- 崩れたらログで実態を見て、範囲と割り当てを直し、それでも超えるなら更新の節目で減らす
よくある質問
二件の依頼側の定例が、どちらも同じ曜日の同じ時間を希望しています
自分の側で動かせる余地が無いなら、後から決まった依頼側に「その時間は別の予定が固定されているため、別の曜日か時間帯でお願いできますか」と相談します。「別の案件の定例と重なる」とは言わず、自分の都合として伝えます。どちらも動かせないなら、片方を隔週にする、片方をメールでの報告に替える、といった形を依頼側と相談します。定例の形の選択肢は定例会の進め方に整理しています。
候補者の返信が夜遅くや休日に来ます。毎日の短い枠に収まりません
短い枠を「返信を確認して対応する時間」として一日の中で決め、その時間の外に来た返信は、次の枠で対応する形にします。候補者には、最初の連絡で「返信は翌日以降になることがあります」と伝えておけば、遅れは問題になりません。すべての返信に即座に対応しようとすると、枠の外の時間が副業に侵食され、本業と生活が崩れます。返信の速さの期待は、依頼側とも最初にすり合わせておきます。
三件目の相談が来ました。受けてよいか、どう判断すればよいですか
三件目の範囲と工程を、いまの枠に当てはめます。候補者への返信が中心なら毎日の短い枠に入るか、まとまった作業が要るなら空いているまとまった枠があるか、定例の枠が空いているか、予備の枠を残せるかを見ます。すべて入るなら受け、入らないなら、範囲を絞って入る形にできるかを依頼側と相談し、それでも入らないなら断ります。数ではなく、枠に入るかで判断します。断り方は断り方に書いています。