人事副業 / 両立・スキル
ツールを統一するか合わせるか|人事の副業では「依頼側の情報を扱う作業は依頼側のツールに合わせ、自分の管理は自分のツールで統一する」。案件が増えても、自分側は一組のまま増やさない
案件が三件になり、依頼側ごとにATSもチャットも違う。切り替えるたびに操作を思い出し、通知の場所も違うので見落とす。いっそ自分のツールに統一して、依頼側には結果だけ渡す形にできないかと思う。結論を先に書くと、統一と合わせるの線は、「依頼側の情報を扱う作業は依頼側のツールに合わせ、自分の管理(稼働ログ、記録、請求、アカウントの一覧)は自分のツールで統一する」のところに引きます。依頼側の情報を自分のツールに集めて統一する形は、速く見えても、情報管理の面で避けるべき形です。案件が増えたときに減らせるのは、依頼側側の切り替えではなく、自分側の管理の重複です。自分側を一組に統一しておけば、依頼側のツールが何種類あっても、管理は一か所で済みます。依頼側のツールに合わせる進め方はクライアントのツールに合わせるに、ツールの揃え方は使うツールをそろえるに、アカウントの一覧はアカウント管理のしかたにまとめています。
統一してよいものと合わせるべきもの
ツールを二つに分けると、統一と合わせるの線が見えます。
| 区分 | 統一してよい(自分のツール) | 合わせるべき(依頼側のツール) |
|---|---|---|
| 候補者の情報 | ― | 依頼側のATSや媒体の中で扱う。自分のツールに写さない |
| 依頼側との連絡 | ― | 依頼側のチャットかメール。自分のチャットに招待しない |
| 依頼側の資料 | ― | 依頼側の共有の中で見る。自分のクラウドに置かない |
| 稼働ログ | 自分の一枚の表で全案件。稼働ログの付け方 | 依頼側が指定する形式があれば、そこにも書く |
| 判断のメモ、自分の側の議事録 | 自分のツールで全案件。依頼側の情報は抜く | ― |
| 請求と入金の記録 | 自分の一枚の表で全案件。決済・振込先の準備 | 依頼側の請求の形式に合わせて出す |
| アカウントの一覧、パスワード管理 | 自分のツールで全案件 | ― |
| 文面の型 | 自分のツールで、依頼側の情報を抜いた型を持つ | 依頼側向けに調整した文面は依頼側のツールに |
| 予定の管理 | 自分のカレンダーで全案件の稼働の枠を管理 | 依頼側の予定の共有があれば、それも見る |
線の要点は、「依頼側の情報が入るものは合わせ、入らないものは統一する」ことです。この線で分けると、自分のツールには依頼側の情報が無く、依頼側のツールには自分の管理の情報が無い状態になります。案件の終了時に、依頼側のツールはアカウントの停止で終わり、自分のツールは消すものが無い。情報の分離の考え方は情報の取り扱いと端末の分離に書いています。
統一したくなる理由と、実際に減らせるもの
統一したくなるのは、切り替えの負担があるからです。ただ、負担の中身を見ると、減らせるものと減らせないものがあります。
| 負担 | 減らせるか | どうやって |
|---|---|---|
| 依頼側ごとに操作が違う | 減らせない | 依頼側のツールに合わせる前提。自分の範囲の操作だけを覚えて、一枚の手順にする |
| 通知の場所が違い、見落とす | 減らせる | 通知の確認の時間を決め、その時間に全案件の通知の場所を順に見る。通知を自分のツールに集約する仕組みは、依頼側の情報が自分のツールに流れるので慎重に |
| 稼働ログを案件ごとに付けている | 減らせる | 自分の一枚の表に統一する。案件の列で分ける |
| 請求の形式が依頼側ごとに違う | 一部減らせる | 自分の請求書の型を一つにし、依頼側の指定の項目だけ足す。請求書の書き方 |
| 文面を案件ごとに一から書いている | 減らせる | 依頼側の情報を抜いた型を自分のツールに持ち、案件ごとに調整する |
| 判断のメモが依頼側のツールに散っている | 減らせる | 自分のツールに一か所で持つ。依頼側の情報は抜く |
| どのアカウントがどの案件か分からない | 減らせる | アカウントの一覧を自分のツールで一枚に |
減らせるものの要点は、「自分側の重複」です。依頼側ごとの操作の違いは減らせませんが、自分の稼働ログ、請求、文面の型、判断のメモ、アカウントの一覧が案件ごとに散っているなら、それは自分側で統一できます。統一すると、依頼側のツールが増えても、自分の管理は一か所で済み、切り替えの負担の半分は消えます。複数の案件を回す前提は複数案件を掛け持ちできるかに整理しています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「自分のツールに統一して、依頼側には結果だけ渡すほうが、依頼側にとっても楽だ」というものです。実際には、依頼側の担当者は、外部の担当者が自分のツールで候補者の情報を扱っていることを知ると、「情報がどこにあるか分からない」と感じます。結果だけ渡されても、途中の記録が依頼側の仕組みに無いので、担当者が替わったときに引き継げず、依頼側の情報管理の担当者からも指摘が入ります。
依頼側から見て楽なのは、依頼側の仕組みの中で作業が完結していて、いつでも状況を自分で見られることです。担当者は、外部の担当者に聞かなくても、ATSを開けば進捗が分かる状態を望んでいます。エラベルでは、担当者が依頼側の仕組みの中で作業する形を前提にしており、担当者側のツールに候補者の情報を集める形は、依頼側の情報管理の観点から避けています。統一するのは自分側の管理で、依頼側の情報ではありません。
案件が増えたときの自分側の整え方
自分側のツールを一組に統一するとき、案件が増えても増やさない構造にします。
| 自分のツール | 一組で全案件を扱う形 |
|---|---|
| 稼働ログ | 一枚の表。列に「案件」を持ち、案件ごとに絞れる。月末に案件ごと・工程ごとに集計 |
| 請求と入金の記録 | 一枚の表。行が案件×月。締め日と支払日の列で、案件ごとの請求の日が分かる。請求のタイミング |
| アカウントの一覧 | 一枚の表。行が案件×仕組み。終了した案件は「終了」の印で残す |
| 判断のメモ | 一つのノート。案件のタグを付ける。依頼側の情報は書かない。発信のネタの見つけ方 |
| 文面の型 | 一つのフォルダ。型ごとに一つのファイル。案件向けの調整版は依頼側のツールに置き、自分側には型だけ |
| 自分の側の議事録の控え | 副業用のメールの送信済み。案件ごとにラベル。議事録の残し方 |
| カレンダー | 副業用の一つ。案件ごとに色を分ける。稼働の枠と依頼側の定例を入れる |
整え方の要点は、「表なら列で案件を分け、ファイルなら一つの場所にタグで分ける」ことです。案件ごとに表やフォルダを作ると、案件が増えるたびに管理する場所が増え、終了した案件の扱いも案件ごとに考えることになります。一組の中で案件を列やタグで分けておけば、案件が増えても場所は増えず、終了した案件は印を付けるだけで済みます。
統一を依頼側に頼んでよい場面
依頼側のツールに合わせるのが基本ですが、依頼側の側に仕組みが無い場合や、依頼側が望む場合は、自分のツールを使うことを相談できます。
| 場面 | 相談の仕方 | 注意 |
|---|---|---|
| 依頼側にATSも候補者管理の表も無い | 「候補者の管理を、御社の共有の中に表で作ってよいか」と相談する。自分のツールではなく、依頼側の共有の中に作る | 作った表は依頼側のもの。終了時に持ち出さない |
| 依頼側がチャットを持っていない | メールで回す。自分のチャットに招待する形は、依頼側が望んだときだけ | 依頼側の情報が自分のチャットに残ることを、依頼側が了承していること |
| 依頼側から「使いやすいツールで進めてよい」と言われた | 使うツールと、そこに置く情報の範囲を文面で確認する。候補者の情報を置くなら、依頼側の情報管理の担当者の確認を取る | 口頭の了承だけで始めない |
| 稼働の報告の形式が指定されていない | 自分の型で出してよいかを確認し、依頼側が社内に回しやすい形に合わせる。稼働報告のフォーマット | 形式は自分のものでも、内容は依頼側向け |
| 複数の依頼側に同じ仕組みを提案したくなる | しない。依頼側ごとに、その依頼側の仕組みの中で考える | 依頼側どうしの情報が混ざる形は避ける |
頼んでよい場面の要点は、「依頼側に仕組みが無いときは、依頼側の側に作る」ことです。自分のツールに候補者の情報を置くのではなく、依頼側の共有の中に表を作れば、情報は依頼側の管理下に留まり、終了時にそのまま依頼側に残せます。自分のツールを使う形は、依頼側が望み、置く情報の範囲を文面で確認したときだけにします。
複数の依頼側のツールを同時に使うときの混同の防ぎ方
依頼側のツールに合わせると、複数の案件で似たツールを同時に使うことになり、混同が起きます。
| 混同 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 別の依頼側のATSに、候補者の情報を入れそうになる | 作業の前に、どの案件の作業かを声に出すか、書く。ブラウザの窓を案件ごとに分ける |
| 別の依頼側のチャットに、返信を送りそうになる | 依頼側ごとにチャットの表示の色やアイコンを変える。送信の前に、宛先の会社名を見る |
| 文面の調整版を、別の依頼側に送る | 調整版は依頼側のツールに置き、自分側には型だけ。型から毎回調整する |
| 依頼側Aで聞いた話を、依頼側Bで使う | 依頼側の情報は依頼側のツールの中に留め、自分のメモに書かない。本業と利益相反になる案件 |
| ログインのアカウントを取り違える | 依頼側ごとにブラウザのプロファイルを分ける。副業用の利用者の中で、さらに案件ごとに |
| 稼働の時間を別の案件に付ける | 稼働ログの案件の列を、作業の開始時に書く。終わってから思い出さない |
防ぎ方の要点は、「ブラウザの窓かプロファイルを案件ごとに分ける」ことです。同じブラウザで複数の依頼側のATSやチャットを開いていると、タブの切り替えで取り違えが起きます。案件ごとにプロファイルを分ければ、開いている窓がどの案件かが見た目で分かり、ログインのアカウントも混ざりません。端末側の分け方は私物端末で作業してよいかに整理しています。
切り替えの負担を減らす工夫
依頼側のツールの切り替えそのものは減らせませんが、負担は工夫で減らせます。
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 案件ごとに作業の時間を分ける | 「今日はA社の作業」「明日はB社」のように、一日の中で案件を切り替えない。切り替えの回数が減る |
| 通知の確認の時間を決める | 一日に決めた回数、全案件の通知の場所を順に見る。随時の確認をやめる |
| 自分の範囲の操作の手順を一枚にする | 依頼側ごとに、自分が触る操作だけの手順を一枚にし、開始時に見る。クライアントのツールに合わせる |
| 依頼側の癖をメモに残す | 「A社は状態の名前をこう使う」のような癖を、依頼側の情報を含まない形で手順のメモに |
| 型から調整する流れを固定する | 文面は自分の型を開き、依頼側向けに調整し、依頼側のツールに貼る。この流れをどの案件でも同じにする |
| 受ける案件のツールを、範囲の判断に入れる | 慣れないツールが三種類を超えると負担が大きい。受ける案件の数を決めるとき、ツールの数も見る |
工夫の要点は、「一日の中で案件を切り替えない」ことです。切り替えの負担は、回数に比例します。一日を一案件にすれば、その日に開くツールは一種類で、混同も減ります。副業の時間の置き方は副業の時間を確保するに、稼働の上限の決め方は稼働時間の上限に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、案件が増えても回っている人は、自分側のツールが一組で、依頼側側は案件ごとに合わせています。回らなくなる人は、逆に、自分側が案件ごとに散らばっていて、依頼側側を自分のツールに寄せようとしています。依頼側側を寄せると情報管理の問題が起き、自分側が散らばると管理の負担が増える。線を逆に引いていることが、負担の原因です。
順番として、最初の一件のときに自分側の一組(稼働ログ、請求の記録、アカウントの一覧、判断のメモ、文面の型)を作り、二件目からはそこに列やタグを足すだけにする。依頼側側は、案件ごとに合わせ、自分の範囲の操作の手順を一枚にする。この順番で、案件が増えても自分側の管理は増えません。エラベルでは、担当者が複数の依頼側を担当するとき、依頼側ごとの仕組みの中で作業し、担当者側で情報を集めない形をお願いしています。集めるのは自分の管理の情報だけで、依頼側の情報ではありません。
まとめ
- 線は依頼側の情報を扱う作業は依頼側のツールに合わせ、自分の管理は自分のツールで統一する
- 減らせるのは自分側の重複(稼働ログ・請求・文面の型・判断のメモ・アカウントの一覧)。依頼側ごとの操作の違いは減らせない
- 自分側は表なら列で、ファイルならタグで案件を分け、一組のまま増やさない
- 依頼側に仕組みが無いときは依頼側の側に作る。自分のツールを使うのは依頼側が望み、文面で確認したときだけ
- 混同はブラウザの窓かプロファイルを案件ごとに分ける・送信前に宛先を見る・型から毎回調整するで防ぐ
- 切り替えの負担は一日の中で案件を切り替えない・通知の確認の時間を決める・手順を一枚にするで減らす
よくある質問
依頼側のツールが三社とも違い、覚えきれません
全部を覚える必要はなく、自分の範囲の操作だけを覚えます。依頼側ごとに、自分が触る操作と依頼側の癖を一枚の手順にし、作業の開始時に見る形にすれば、覚えていなくても動けます。それでも負担が大きいなら、受ける案件の数を決めるときに、ツールの数も見ます。慣れないツールが三種類を超えると、稼働の一部がツールの切り替えに使われるので、その分を稼働の見立てに入れます。
自分の稼働ログを、依頼側のツールの中で付けるよう言われました
依頼側が求めるなら、依頼側のツールにも付けますが、自分のツールにも同じ内容を残します。依頼側のツールに付けたログは、案件の終了時に持ち出せず、請求や更新の根拠として自分の手元に残らないからです。二重に付ける負担は、自分のログを先に付け、それを依頼側のツールに写す流れにすれば、大きくはなりません。依頼側の形式に自分のログの項目が無い場合は、依頼側の形式に合わせて出し、自分のログは自分の項目で残します。
依頼側から、自分が使っているツールに招待してほしいと言われました
依頼側が望むなら、自分のツールに依頼側を招待する形はできますが、そこに置く情報の範囲を先に決めます。候補者の情報や依頼側の資料を自分のツールに置くことになるなら、依頼側の情報管理の担当者の確認を取り、案件の終了時にどう消すかも決めておきます。自分のツールに依頼側の情報が入ると、終了時に消す作業と、消したことの確認が要ります。依頼側の共有の中に作れるなら、そちらのほうが双方にとって軽いことを、依頼側に伝えて選んでもらいます。