人事副業 / 採用戦略の壁打ち

採用戦略の壁打ちの副業案件|求められる経験と進め方

公開 2026-09-20

採用戦略の壁打ちは、人事の副業案件の中で、稼働時間が短く、単価が高く見え、そして最も「何をしたか」が残りにくい仕事です。経営者が「採用について相談できる人がほしい」と言い、月に数回の打ち合わせで採用の方針を話す。それだけで終わると、三か月後に「何が変わったか」を問われて答えられず、契約が終わります。結論を先に書くと、採用戦略の壁打ちの副業案件は、「単発の壁打ち」「月次の壁打ち」「計画作りの伴走」「人事の責任者の相談相手」の四つの型に分かれ、求められるのは、採用の全体の構造(経路・要件・選考・条件・定着)を知っていること、問いで相手の考えを整理できること、選択肢を数と構造で出せること、決めたことと理由と見る数を書面に残すことの四つです。進め方は、いまの採用の全体を聞く→ずれている箇所を一つに絞る→選択肢を出す→会社が決める→決めたことと理由と見る数を書面に→次回に数を見る、の順で、決めるのは会社、実行を引き受けない、数字を保証しない、他社の内情を持ち込まない線を先に引いておきます。経営者直下で働く型は経営者直下の案件に、課題の絞り方は課題の言語化に、副業全体の始め方は人事の副業の始め方に書いています。ここでは、壁打ちの案件に絞ります。

採用戦略の壁打ちの案件の四つの型

募集文は「採用アドバイザー」「採用顧問」「人事の相談相手」と書かれていることが多いですが、任される範囲は四つに分かれます。受ける前に、どの型かを確かめます。

任される範囲依頼側が持つこと受ける側の稼働の性質
単発の壁打ち一回か数回で、いまの採用の全体を聞き、ずれている箇所と選択肢を出す決める、実行する準備と当日と書面で区切れる。続かない
月次の壁打ち月に一〜二回、決めたことの数を見て、次に決めることを整理する決める、実行する、数を出す毎月の準備が要る。数が出ないと空回りする
計画作りの伴走年度や半期の採用計画(人数・経路・予算・時期)を、会社が作るのを問いと選択肢で支える計画の決定、予算、実行期間が決まっている。計画ができたら手を離す
人事の責任者の相談相手人事の責任者が経営者に出す前に、方針や提案を整理する相手になる経営者への提案、決定、実行人事の責任者の予定に合わせる。経営者とは直接会わないことがある

止まりやすいのは、「月次の壁打ち」で受けたのに、決めたことを実行する人が会社にいなくて、「じゃあやってください」と実行を持たされるときです。壁打ちは実行を含まない仕事です。実行が要るなら、別の範囲として見積もります。

求められる経験を棚卸しする

依頼側が見ているのは、「大手の人事だったか」ではなく、「自社の採用の全体を見て、決めるところまで一緒に来てくれるか」です。社内で採用の方針に関わった経験を、四つに分けて棚卸しします。

経験依頼側にとっての意味棚卸しの書き方
採用の全体の構造を知っている経路・要件・選考・条件・定着のどこがずれているかを見つけられる全体を見た経験(採用計画、予算、経路の配分)と、どこを直して何が変わったか
問いで相手の考えを整理できる経営者の「良い人が採れない」を、どこのずれかに分解できるどういう問いで、何が言葉になったか
選択肢を数と構造で出せる「こうすべき」ではなく、「AならこうBならこう」を数と構造で並べられる出した選択肢の形と、会社がどう決めたか
決めたことと理由と見る数を書面に残す三か月後に「何が変わったか」を答えられる書面の型(決めたこと・理由・見る数・次回)

いちばん差がつくのは四つ目です。壁打ちは、話した内容が残らない仕事です。決めたことと理由と見る数を毎回書面にして両方に送る人は、三か月後に「この三つを決めて、数はこう動いた」と言えます。書面の残し方は議事録の残し方に書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、壁打ちの案件は、「会社に数を出す人がいるか」で難易度が変わります。応募数、面接に進んだ数、内定、承諾、辞退、経路ごとの内訳が毎月出る会社では、壁打ちは数を見て次に決めることを整理する場になり、成果が見えます。数が出ない会社では、壁打ちは印象と気分の話になり、毎回同じことを話して、三か月で終わります。エラベルで担当者を選ぶ企業に、私たちがまず聞くのは「採用の数は、毎月誰が出していますか」です。出す人がいない会社には、壁打ちの前に、数を出す表を作る一回を提案します。受ける側がその場で使える判断としては、受ける前に「毎月、どの数を誰が出せますか」と聞くこと。答えが無い案件は、最初の一回を「数を出す表を一緒に作る回」にして、壁打ちはその後から始めます。数の設計はKPIを設計するに書いています。

進め方の順番

やることここで決めておくこと
いまの採用の全体を聞く(人数の計画、経路、要件、選考、条件、定着、数、誰が何を決めているか)聞く相手(経営者、人事、現場)。数の有無
ずれている箇所を一つに絞る(経路か、要件か、選考の速さか、条件か、定着か。数と構造で)絞る基準。会社が「それではない」と言ったときの扱い
選択肢を出す(二〜三つ。それぞれの数の見込みの構造、要る資源、期間、外に出せる部分)「こうすべき」と言わない。選択肢の形で
会社が決める(その場か、次回までに。決めない選択も含む)決める人。決めるまでの期限
決めたことと理由と見る数を書面に(当日か翌日に、両方に送る)書面の型。送る相手
次回に数を見る(決めたことが数にどう出たか。次に決めることを整理する)次回の日程。数を出す人

止まりやすいのは、一を飛ばして「まず何に困っていますか」から入るときです。経営者が困っていると言う箇所と、数がずれている箇所は、違うことが多い。全体を聞いてから絞ります。聞き方はヒアリングの技能に、絞り方は課題の言語化に書いています。

外部の立場で踏み込まない線

壁打ちは、会社の判断に近い場所で働く仕事です。近いからこそ、線を先に引いておきます。

線の詳細は経営者直下の案件範囲外の依頼が増えたとき副業で法令違反をしないためにに書いています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、依頼側の「経験のある人に話せば正解を教えてもらえる」と、受ける側の「自分の経験で正解を教えるのが価値」の両方です。実際には、採用の正解は会社の段階と資源と経営者の覚悟で変わり、外の人が持っている正解は前の会社の正解です。同じ料金で同じ回数を任されても、結果が分かれるのは、担当者が「教える」か「決めさせる」かです。「うちの前の会社ではこうしていました。こうすべきです」と教える担当者は、最初の二回は感謝され、三回目に「うちには合わない」と言われて終わります。「経路を増やすなら、応募は増えるが選考の時間が増えて、いまの面接官の枠だと選考の速さが落ちます。要件を絞るなら、応募は減るが面接に進む率が上がります。どちらを取りますか」と、数と構造で選択肢を出して決めさせる担当者は、会社が自分で決めたことなので実行され、数が動きます。受ける側がその場で使える判断としては、打ち合わせで「こうすべき」と言いたくなったら、「AならこうなりBならこうなる。どちらにしますか」に言い換えること。言い換えられない見立ては、まだ構造になっていません。

向く人と向かない人

向く向かない
採用の全体(経路・要件・選考・条件・定着)を数で見た経験がある一つの業務(スカウトだけ、面接だけ)の経験が中心
「こうすべき」を「AならこうBならこう」に言い換えられる正解を教えるのが好き
会社が自分の見立てと違う選択をしても、書面に残して数で見られる自分の案が採られないと不満になる
決めたことを毎回書面にして送るのが苦にならない話して終わりにしたい
実行を引き受けず、範囲外を区切りに回せる頼まれると実行まで引き受けてしまう

「一つの業務の経験が中心」の人は、壁打ちより、その業務の代行の型から始めるほうが、案件も取れて結果も出ます。全体を見た経験が積めたら、壁打ちに広げます。

まとめ

よくある質問

経営者から「結局どうすればいいか教えてほしい」と言われます

選択肢を出したうえで、「私ならこちらを選びます。理由はこの数と構造です。ただ、決めるのは御社です」と、自分の見立てを理由付きで示すのは構いません。避けるのは、理由の無い「こうすべき」と、会社が違う選択をしたときに引き下がらないことです。自分の見立てと会社の選択が違ったら、両方を書面に残し、次回に数で見ます。数で見れば、どちらが合っていたかは会社が判断できます。教えるのではなく、決める材料を出し切ることが仕事です。

月次の壁打ちで、毎回同じ話になってしまいます

数が出ていないか、決めたことが実行されていないか、のどちらかです。前回の書面を最初に開き、「決めたこの三つのうち、何が動きましたか。数はどう変わりましたか」から始めます。実行されていないなら、実行する人がいないことが課題で、壁打ちで解決することではないので、会社に実行の体制を決めてもらいます。数が出ていないなら、数を出す表を作る回に変えます。同じ話が三回続いたら、契約の形を見直す提案をします。

壁打ちの単価はどう決めればよいですか

回数と一回の時間だけでなく、準備(前回の数を読む、選択肢の構造を用意する)と書面(決めたことと理由と見る数)の時間を含めて見込みます。当日だけの時間で見積もると、準備と書面が無償になり、質が落ちます。相場は範囲と会社の段階で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。単価の考え方は単価の相場と考え方に、始め方は採用戦略の壁打ちで副業を始めるにはに書いています。