人事副業 / 採用・人事の実務

採用広報の企画を立てる|「何を発信するか」ではなく、「誰の・どの迷いに・どの場で答えるか」から企画を組む型

公開 2026-09-22

「採用広報を始めたい。企画を立ててほしい」と頼まれて、「社員紹介」「オフィス紹介」「代表インタビュー」「制度の紹介」とネタを並べた年間の一覧を作ると、最初の数本で止まります。書く人がいない、ネタが尽きる、何のために書いているか分からない。企画が続かないのは、発信するネタから始めているからで、「誰の、どの迷いに、どの場で答えるか」から始めれば、ネタは実態から出続けます。結論を先に書くと、採用広報の企画は、ターゲット像の「迷う理由」と「情報の取り方」を出発点に、読者の層・答える迷い・場・材料・書く人・頻度・見る数字を一枚にし、ネタは五つの問いを社員に繰り返して実態から拾い、続けられる頻度で組み、盛らず、効果は面接での声と経路の応募で見て、担当者は企画と材料と照合までを担います。会社側から見た手順は採用広報・オウンドメディアの進め方に、ネタの拾い方は採用広報のネタが尽きたに、記事の執筆を案件として受ける形は採用広報の記事執筆の副業の実務に書いています。ここでは、企画の型に絞ります。

ネタから始める企画が続かない理由

企画の形何が起きるか
ネタの一覧を年間で作る誰に向けて書くかが無く、書く人が困る
「社員紹介」「オフィス紹介」候補者の迷いに答えていない。読まれない
流行の形式(動画、対談)から入る制作の負担が大きく、続かない
数を目標にする(月〇本)質が落ち、実態と離れる
効果を見ない続ける理由が無くなる

採用広報は、候補者が「この会社は実際どうか」を確かめるときの答えを、先に置いておくものです。答えるべき問いが決まれば、ネタは問いから出ます。

出発点はターゲット像の二つの欄

ターゲット像の欄企画での使い方
迷う理由答える問い。「小さい会社に移って次の転職で不利にならないか」→「辞めた後の経験がどう活きているか」の記事
情報の取り方場の選択。媒体で探す人には採用サイトと求人票、SNSで見る人にはSNS、知人経由ならリファラルの材料
動く理由「この会社で働く理由」の記事。魅力の三つに対応
比べる相手比べる相手との差が出る点を、実態で

ターゲット像が無いまま企画を立てると、ネタの一覧に戻ります。ターゲット像の作り方はターゲット像を1枚にまとめるに書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、採用広報の企画で最も差がつくのは、「答える迷い」を一本ごとに決めているかです。受ける側は、「社員インタビューを月一本」と決めて、誰に何を聞くかは後で考えます。すると、聞く問いが「やりがいは」になり、答えは「成長できる」になり、候補者の迷いには答えません。「この記事は、『裁量が本当にあるのか』という迷いに答える」と決めてから社員を選び、「決まりの無いことを自分で決めた場面」を聞けば、記事は迷いへの答えになります。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「広報の一本ごとに、候補者のどの迷いに答えるかが決まっていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、企画の一枚の各行に「答える迷い」の列を作り、空欄の行は企画しないこと。

企画の一枚

中身
読者の層ターゲット像のどの層か(役割、いまどこで何をしているか)
答える迷いターゲット像の「迷う理由」から一つ
採用サイト・記事・SNS・イベント・求人票への追記。情報の取り方に合わせる
材料誰の、どの言葉か。いまうまくやっている人、現場の責任者、経営者
書く人社内の誰か、外部の担当者か。聞く問いは担当者が用意
頻度続けられる頻度。月一本でよい
見る数字面接での「〇〇を見て」の声の数、経路の応募の数
書いてはいけないこと下の表

一行が一本です。年間の一覧ではなく、三か月分を作り、三か月ごとに見直します。

ネタは五つの問いを社員に繰り返す

問い出てくるもの答える迷い
入った頃、最初の三か月で何をしたか最初の三か月の実態「入ってすぐ何をするのか」
前の会社と一番違うことは何か他社との差「ここでしか得られないものは」
いま、一日の時間を何に使っているか仕事の実態「幅広い業務の中身は」
決まりの無いことを自分で決めた場面は裁量の実態「裁量は本当にあるか」
辞めようと思ったことがあるか。なぜ残ったか迷いと解消「迷ったとき、何が支えになるか」

同じ五つの問いを、違う社員に繰り返すと、ネタは尽きません。社員ごとに答えが違い、それが実態の幅になります。「新しいネタ」を探さず、問いを固定して相手を変えます。聞き方は採用要件を引き出すヒアリングの型と同じです。

続けられる頻度で組む

やりがちなこと直す
週一本の目標月一本から。三か月続いたら増やす
動画や対談から始める文章の記事から。負担が小さい
社員に「書いてください」担当者が問いで聞き、本人の言葉で書き起こし、本人が確認
外部のライターに全部問いと材料は担当者が用意。文章の整えだけ外部に
公開日を厳密に「月に一本」。日は決めない

頻度は、担当者の稼働と、社員の時間で決まります。続かない企画は、企画ではありません。SNSの続け方は採用SNSで何を発信すればよいかに書いています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、受ける側の「広報の効果は、閲覧の数で見る」というものです。閲覧の数は、採用に関係ない人の閲覧も含み、候補者の迷いに答えたかを示しません。採用広報の効果は、「面接で候補者が『〇〇の記事を見て』と言ったか」と「その経路からの応募が動いたか」で見ます。面接の記録の「候補者の質問と迷い」の欄に、「見た記事」を一語足せば取れます。閲覧の数より件数が少なく見えますが、採用に効いたかは、こちらのほうが分かります。受ける側がその場で使える判断としては、企画の一枚の「見る数字」に閲覧の数を置かないこと。置くなら参考の列にし、主は面接での声と経路の応募にします。数字は件数のまま並べ、割合で断定しません。数字の伝え方は数字で語るに書いています。

盛らない・書いてはいけないこと

書かない理由
実態より良い働き方、制度の適用の見込み入社後に「違った」となる
収入や昇進を保証するように読める表現保証できない
一部の人の例を全体のように実績は例として
性別・年齢などに触れる表現募集や採用で法令上の決まりがあると一般に整理されている項目
候補者の情報、選考の内部個人情報と守秘
他社の名前を出した比較権利と関係に関わる
社員の私的な情報本人の同意の範囲で。同意があっても最小に

社員の言葉を載せるときは、本人が原稿を確認し、依頼側が承認します。本人が「載せたくない」と言えば載せません。載せた後に本人から「消してほしい」と言われたら、依頼側の決まりに従って対応します。表記の可否に法令が関わる場合は、依頼側の決まりと専門家の確認に従います。個別の判断は専門家にご確認ください。発信の線は発信で書いてはいけないこと副業で法令違反をしないためにに書いています。

担当者は企画と材料と照合まで

担当者が担う社内か外部が担う依頼側が決める
企画の一枚文章の執筆(担当者が担う契約もある)公開の可否
五つの問いで社員に聞き、材料を作る写真、デザイン、実装載せる社員と内容の承認
原稿の「実態と合っているか」の照合(現場の責任者と)配信の作業表記の可否(専門家の確認)
見る数字の設計と、三か月ごとの見直し計測の実装続けるかどうか

担当者が執筆まで担う契約なら、稼働に執筆の時間を含めます。企画だけの契約なら、執筆は依頼側か外部で、担当者は問いと材料と照合を渡します。範囲は契約に書きます。範囲の決め方は業務範囲を書面で固めるに書いています。

よく起きる詰まりと直し方

詰まり直し方
ネタの一覧から始まっているターゲット像の「迷う理由」に戻り、答える迷いを一本ごとに決める
社員の言葉が「成長できる」ばかり五つの問いに変える
書く人がいない担当者が問いで聞いて書き起こす。本人は確認だけ
頻度が高すぎて止まる月一本に。三か月続いたら増やす
効果を閲覧の数で問われる面接での声と経路の応募を主に。閲覧は参考
原稿が盛られる現場の責任者と「いま、本当にそうか」で照合

まとめ

よくある質問

依頼側が「他社のような、話題になる広報をやりたい」と言います

話題になることと、候補者の迷いに答えることは別です。話題になった広報が、採用に効いたかは、面接での声と経路の応募で見なければ分かりません。「まず、候補者の迷いに答える一本を月に一本、三か月続けて、面接での声を見ましょう」と、小さく始める形を提案します。話題を狙う企画は、制作の負担が大きく、外れたときに何も残りません。迷いに答える記事は、外れても採用サイトの材料として残ります。

社員が「自分の言葉が公開されるのは嫌だ」と言います

本人の意向を優先します。氏名と顔を出さず、「〇〇の役割・入社〇年目」の形で載せることを提案し、それでも嫌なら載せません。本人の言葉を載せる場合は、原稿を本人が確認し、修正の権利があることを先に伝えます。公開後に「消してほしい」と言われたときの扱いも、依頼側の決まりで先に決めておきます。載せてくれる社員は、無理に増やさず、五つの問いに答えてくれる数人で足ります。

広報の企画を、採用サイトの作り直しと同時に頼まれました

順番は、企画が先です。企画の一枚で「答える迷い」と「場」が決まれば、採用サイトに置く六つの要素の材料が揃い、サイトの作り直しが企画に沿った形になります。同時に進めるなら、サイトの六つの要素と企画の「場」の列を対応させ、サイトのページと記事が同じ迷いに答える形にします。サイトの型は採用サイトを作り直すに書いています。