人事副業 / 採用・人事の実務
採用SNSを立ち上げる|「まず開設」ではなく、「誰が・何を・どの頻度で・いつまで・誰の名義で」を先に決める型
「採用のSNSを始めたい。アカウントを作ってほしい」という依頼で、アカウントを開設し、最初の週に数本投稿し、三か月後には止まっている。よくある流れです。止まるのは、投稿の腕の問題ではなく、「誰が、何を、どの頻度で、いつまで、誰の名義で」が決まっていないまま開設したからです。結論を先に書くと、採用SNSの立ち上げは、開設の前に、読者の層と答える迷い・発信する中身・続けられる頻度・試す期限とやめる条件・名義と運用の担当の五つを決め、媒体はターゲット像の情報の取り方で一つだけ選び、材料は社員インタビューと採用サイトから切り出し、書いてはいけないことの線を引き、アカウントは依頼側が管理し、効果は面接での声と経路の応募で見ます。発信の中身は採用SNSで何を発信すればよいかに、運用を案件として受ける形は採用SNSの運用の副業の実務に、会社側の手順はSNS採用の運用の進め方に書いています。ここでは、立ち上げの型に絞ります。
開設してから考えると止まる
| 開設先行の形 | 何が起きるか |
|---|---|
| 「とりあえずアカウントを作る」 | 誰に向けて何を出すかが無く、投稿が会社の告知になる |
| 「毎日投稿」を目標に | 材料が尽き、二週目から質が落ち、三か月で止まる |
| 担当者が一人で全部 | 担当者が動けない週に止まる。案件が終わると止まる |
| 名義が曖昧 | 会社の公式か、担当者個人かが分からず、書いてよい範囲が決まらない |
| 効果を見ない | 続ける理由が無くなる |
SNSは、開設は一日でできますが、続けるには設計が要ります。開設の前に五つを決めます。
立ち上げの前に決める五つ
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 読者の層と答える迷い | ターゲット像のどの層に、どの迷いに答えるか。採用広報の企画を立てるの一枚と同じ |
| 発信する中身 | 候補者が知りたい五つ(仕事の実態・一緒に働く人・最初の三か月・裁量の場面・迷いと解消)。会社の告知は入れない |
| 続けられる頻度 | 週一本から。三か月続いたら増やす |
| 試す期限とやめる条件 | 三か月試して、面接での声がゼロなら見直す、など。依頼側と合意 |
| 名義と運用の担当 | 会社の公式アカウントとして。投稿を書く人、確認する人、公開する人。担当者は書く人か確認する人 |
五つが一枚になってから開設します。一枚が無い依頼側では、開設より先に一枚を作ります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用SNSの立ち上げで最も差がつくのは、「試す期限とやめる条件」を先に決めているかです。受ける側は、「まず始めましょう」と言い、始めた後に「いつまで続けるか」が無いので、投稿が減っても止める判断ができず、更新の止まったアカウントが残ります。止まったアカウントは、候補者から見ると「この会社は採用に力を入れていない」の目印になり、無いほうがましです。「三か月で、面接での『SNSを見て』の声がゼロなら、続け方を見直す」と最初に決めておけば、止めるにも続けるにも根拠ができます。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「採用SNSを、いつまで試して、何を見て続けるか決めていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、立ち上げの一枚に「やめる条件」の欄を作り、依頼側に埋めてもらうこと。埋まらなければ、開設を待ちます。
媒体は一つだけ
| 決め方 | 考え方 |
|---|---|
| ターゲット像の「情報の取り方」 | その層が、どの媒体で採用の情報を見ているか。依頼側の直近の応募者に「どこで知ったか」を聞いた記録があればそれ |
| 一つに絞る | 複数を同時に始めると、材料が分散し、全部が薄くなる |
| 依頼側の既存のアカウント | 会社の公式があれば、採用の投稿をそこに載せる案も。別に作るかは依頼側の判断 |
| 媒体の仕様と規約 | 変わる。投稿の形式、企業アカウントの条件は、媒体の規約を依頼側が確認 |
「一般にこの媒体が採用に強い」のような外部の情報で選ばず、依頼側の候補者の層で選びます。媒体の仕様や利用の条件は変わるので、担当者が断定しません。媒体の選び方の考え方は媒体を提案する根拠の作り方と同じです。
材料は切り出す
| 元 | 切り出す投稿 |
|---|---|
| 社員インタビュー | 五つの問いの答えから、一つの場面を一投稿に。本人の確認済みの範囲で |
| 採用サイトの六つの要素 | 「最初の三か月」「一緒に働く人」を、一項目ずつ |
| 求人票 | 「任せる仕事」の一つを、実態の言葉で |
| 面接で候補者から聞かれたこと | 「よく聞かれる質問」への答えを一投稿に。候補者を特定しない形で |
SNSのために新しく材料を作らず、既にある材料を切り出します。新しく作るのは、材料が尽きてからです。インタビューの型は社員インタビューを書くに、採用サイトの六つは採用サイトを作り直すに書いています。
書いてはいけないこと
| 書かない | 理由 |
|---|---|
| 候補者に関すること(応募の状況、選考の内部、特定の候補者) | 個人情報と守秘 |
| 社内の機密(顧客名、数字、開発中のもの) | 依頼側の承認の範囲外 |
| 収入や昇進を保証するように読める表現 | 保証できない |
| 他社の名前を出した比較や批判 | 権利と関係 |
| 社員の私的な情報 | 本人の同意があっても最小に |
| 性別・年齢などに触れる表現 | 募集や採用で法令上の決まりがあると一般に整理されている項目 |
| 担当者個人の意見 | 名義は会社。担当者の主張を会社の言葉にしない |
投稿の前に、確認する人(依頼側の人事)が見る形にします。担当者が書いてそのまま公開する形は、書いてはいけないことが漏れます。表記の可否に法令が関わる場合は、依頼側の決まりと専門家の確認に従います。個別の判断は専門家にご確認ください。線の詳細は発信で書いてはいけないことと副業で法令違反をしないためにに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「アカウントは自分が作って、自分が管理したほうが早い」というものです。実際には、担当者がアカウントとパスワードを持つと、案件の終了時にアカウントの引き継ぎで揉め、担当者が動けない週に誰も投稿できず、最悪の場合は依頼側がアカウントに入れなくなります。アカウントは依頼側が開設し、依頼側がパスワードを管理し、担当者には運用に要る権限だけを渡す。この形を、立ち上げの前に依頼側に提案します。受ける側がその場で使える判断としては、開設の作業を依頼側の人事に行ってもらい、担当者は横で手順を伝えるだけにすること。開設した人が所有者になります。アカウントの扱いはアカウント管理のしかたに書いています。
効果は面接での声と経路の応募で
| 見る数字 | 取り方 |
|---|---|
| 面接で「SNSを見て」と言った候補者の数 | 面接の記録の「候補者の質問と迷い」の欄に一語 |
| SNS経由の応募の数 | 応募の経路の列 |
| 投稿ごとの反応 | 参考の列。主にしない |
閲覧や反応の数は、採用に関係ない人も含み、主の数字にしません。件数のまま並べ、割合で断定しません。三か月で「やめる条件」に照らし、続けるか、続け方を変えるか、止めるかを依頼側が決めます。数字の伝え方は数字で語るに書いています。
問い合わせや炎上が来たときの窓口
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 候補者からの問い合わせがSNSに来る | 依頼側の人事の窓口に誘導する定型の返信。SNS上で選考の話をしない |
| 批判的な反応 | 担当者が反応しない。依頼側の広報や人事の判断に従う。記録を残す |
| 社員に関する反応 | 本人と依頼側に知らせる。本人の意向を優先 |
| 誤った情報の投稿に気づいた | 依頼側に知らせ、訂正の判断は依頼側 |
担当者が独自に反応すると、会社の言葉として広がります。窓口と判断は依頼側に置き、担当者は知らせるまでです。窓口の決め方は、立ち上げの一枚の「名義と運用の担当」に含めます。
よく起きる詰まりと直し方
| 詰まり | 直し方 |
|---|---|
| 依頼側が「まず開設」と急ぐ | 五つの一枚を先に。一枚が無いと三か月で止まる構造を伝える |
| 複数の媒体を同時に | 一つに絞る。ターゲット像の情報の取り方で |
| 材料が尽きる | 新しく作らず、インタビューとサイトから切り出す。五つの問いを別の社員に |
| 投稿が会社の告知になる | 候補者が知りたい五つに戻す |
| 担当者がアカウントを持っている | 依頼側に所有を移し、担当者は権限だけ |
| 効果を反応の数で問われる | 面接での声と経路の応募を主に。反応は参考 |
まとめ
- 開設してから考えると三か月で止まる。五つを先に決めてから開設
- 五つは読者の層と答える迷い・発信する中身・続けられる頻度・試す期限とやめる条件・名義と運用の担当
- 媒体はターゲット像の情報の取り方で一つだけ。外部の情報で選ばない。仕様は媒体の規約を依頼側が確認
- 材料はインタビューとサイトから切り出す。新しく作らない
- 書いてはいけないことの線を引き、確認する人を置く。個別の判断は専門家にご確認ください
- アカウントは依頼側が開設・管理。担当者は権限だけ
- 効果は面接での声と経路の応募。反応の数を主にしない。件数のまま
- 問い合わせと炎上の窓口は依頼側。担当者は知らせるまで
よくある質問
依頼側から「個人のアカウントで、担当者として発信してほしい」と言われました
担当者個人の名義で依頼側の採用を発信すると、担当者の発信と依頼側の言葉の境が曖昧になり、案件の終了後にも残り、担当者の他の案件との利益相反にもなります。会社の公式の名義で、投稿の中で「採用の担当より」と書く形を提案します。個人の名義での発信は、担当者自身の発信の線(発信で書いてはいけないこと)に従い、依頼側の名前を出さない範囲に留めます。
社員に「SNSで会社のことを発信してほしい」と依頼側が言っています
社員個人の発信は、社員の意向が最優先で、強制はできません。依頼側の決まり(社員のSNSの利用に関する規定)があれば従います。会社の公式のアカウントで、社員インタビューの切り出しを載せる形なら、社員は「載ってよいか」の確認だけで済み、負担が小さい。社員個人のアカウントでの発信を制度化するかは、依頼側と専門家の判断で、担当者は関わりません。
三か月で面接での声がゼロでした。止めるべきですか
止めるかどうかは依頼側の判断です。担当者は、「やめる条件」に照らした結果と、続けるなら何を変えるか(媒体、中身、頻度)の案を並べます。三か月で声がゼロでも、応募の経路に少しでも出ていれば、中身を変えて三か月続ける案があります。何も出ていなければ、媒体がターゲット像の情報の取り方と合っていない可能性が高く、止めて別の場(採用サイト、記事)に材料を回す案を出します。止まったアカウントを残さず、止めるなら「更新終了」の形を整えます。