人事副業 / 採用・人事の実務
採用サイトを作り直す|「デザインの刷新」ではなく、「候補者が検索した先で判断できる六つの要素」を置く型
「採用サイトを作り直したい」という依頼で、制作会社と一緒に見た目を新しくし、写真を撮り直し、代表のメッセージを載せても、応募は変わりません。採用サイトを見る候補者は、スカウトや求人票を見た後に「この会社は実際どうか」を確かめに来ています。確かめたいことに答えていないサイトは、見た目が良くても閉じられます。結論を先に書くと、採用サイトの作り直しは、デザインではなく「候補者が検索した先で判断できる六つの要素(この会社で働く理由・任せる仕事の実態・一緒に働く人・最初の三か月・選考の流れ・応募の入口)」を置くことで、材料は要件の一枚とターゲット像といまうまくやっている人の言葉、盛らず、制作会社と担当者の範囲を切り分け、公開後は検索から来た人の応募を見ます。スカウトからの導線は採用サイトへの導線に、会社側の手順は採用サイトの運用の進め方に書いています。ここでは、作り直しの型に絞ります。
見た目を新しくしても応募が変わらない理由
| 作り直しの形 | 候補者に起きること |
|---|---|
| デザインと写真を刷新 | 「きれい」で終わる。判断の材料が無い |
| 代表のメッセージが先頭 | 候補者は仕事の実態を知りたい。理念は後 |
| 「働く環境」「福利厚生」の一覧 | どの会社にもある。差が分からない |
| 社員の笑顔の写真 | 実態が分からない |
| 応募の入口が奥にある | 判断した後に、どこから応募すればよいか分からない |
候補者は、スカウトの文面や求人票で「この役割」に関心を持ち、サイトで「この会社の実態」を確かめ、合うと判断したら応募します。サイトは、その確かめに答える場です。広報とスカウトの関係は採用広報とスカウトの連携に書いています。
置く六つ
| 要素 | 中身 | 材料 |
|---|---|---|
| この会社で働く理由 | ターゲット像の「動く理由」に対応する実態。三つに絞った魅力 | 自社の魅力を3つに絞る |
| 任せる仕事の実態 | 役割ごとに、実際の一日、扱う案件、裁量の範囲 | いまうまくやっている人の一日 |
| 一緒に働く人 | チームの構成、上長、隣の部門。社員の言葉で | いまうまくやっている人の言葉 |
| 最初の三か月 | 入社してからの流れ。誰と何を引き継ぐか | 求人票の六つの要素 |
| 選考の流れ | 段の数、各段で何を確かめるか、日数の目安 | 面接の設計 |
| 応募の入口 | 各ページから一回で応募か「まず話を聞く」に進める | カジュアル面談の入口 |
六つは、求人票の六つの要素と重なります。求人票が役割ごとの一枚なら、サイトは会社全体で六つを置き、役割ごとのページに求人票をつなげます。求人票の型はジョブディスクリプションを書くに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用サイトで最も差がつくのは、「いまうまくやっている人の言葉」を材料にできるかです。受ける側は、制作会社のインタビューで「やりがいは」「会社の魅力は」と聞き、社員は「成長できる」「風通しが良い」と答え、それがそのまま載ります。それは他社にも書ける言葉です。「入った頃、最初の三か月で何をしましたか」「前の会社と一番違うことは何ですか」「いま、一日の時間を何に使っていますか」と聞くと、実態の言葉が出て、それは他社に書けません。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「採用サイトの社員の言葉は、『前の会社と違うこと』を聞いて書かれていますか」を、私たちから先に聞いています。受ける側がその場で使える判断としては、制作会社のインタビューの前に、聞く問いを担当者が三つ用意して渡すこと。問いが変われば、載る言葉が変わります。聞き方は採用要件を引き出すヒアリングの型と同じです。
材料は三つ
| 材料 | 何に使うか |
|---|---|
| 要件の一枚 | 役割ごとのページの「任せる仕事」「求める経験」 |
| ターゲット像の一枚 | 「この会社で働く理由」を動く理由に対応させる。「迷う理由」に先回りするページの構成 |
| いまうまくやっている人の言葉 | 「一緒に働く人」「任せる仕事の実態」「最初の三か月」 |
三つが無いまま制作会社に発注すると、制作会社は一般的な採用サイトの型で作ります。三つを先に揃え、発注の一枚に添えます。ターゲット像の作り方はターゲット像を1枚にまとめるに書いています。
盛らない・実態と違うことを書かない
| 避けること | 理由 | 代わりに |
|---|---|---|
| 実態より良い働き方の記述 | 入社後に「違った」となり、早期の離職につながる | いまの実態を、社員の言葉で |
| 「成長」「やりがい」「アットホーム」 | 他社にも書ける | 実態の場面(「入社二年目から案件の予算を任せている」など、実績があるものだけ) |
| 収入や昇進を保証するように読める表現 | 保証できない | 実績としてある例を、例として |
| 一部の人の例を全体のように | 「一年で〇〇になれる」 | 「一年で〇〇になった人がいる」まで |
| 性別や年齢に触れる表現 | 募集や採用で法令上の決まりがあると一般に整理されている | 依頼側の決まりと専門家の確認に従う |
採用サイトの表記には、募集に関わる法令上の整理(労働条件の明示、差別的な表現の禁止など)が関わることがあります。表記の可否は、依頼側の決まりと専門家の確認に従います。個別の判断は専門家にご確認ください。線の詳細は副業で法令違反をしないためにに書いています。
制作会社と担当者の範囲
| 担当者が担う | 制作会社が担う | 依頼側が決める |
|---|---|---|
| 六つの要素の構成と、材料の三つ | デザイン、実装、写真の撮影 | 発注先、費用、公開の判断 |
| 社員に聞く問いの用意 | インタビューの実施と原稿(担当者が問いを渡す) | 掲載する社員と内容の承認 |
| 原稿の「実態と合っているか」の確認(現場の責任者と) | 原稿の文章の整え | 表記の可否(専門家の確認) |
| 公開後に見る数字の設計 | 計測の実装 | 見直しの判断 |
担当者が制作の作業(デザイン、実装)に踏み込むと、稼働が消えます。担当者の役割は、「何を置くか」と「材料」と「実態との照合」です。制作会社の選定と費用は依頼側の判断で、担当者は「六つの要素を置ける構成か」を確かめる項目を並べるまでです。費用や相場は断定しません。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「採用サイトは、公開したら終わり」というものです。実際には、公開した後に、検索から来た人が応募したか、面接で「サイトの〇〇を見て」という声が出たか、を見て初めて、六つのどれが効いていて、どれが読まれていないかが分かります。見ないまま次の作り直しをすると、また見た目の話になります。受ける側がその場で使える判断としては、公開の前に「見る数字」を二つ決めること。「サイト経由の応募の数」と「面接で『サイトを見て』と言った候補者の数」。後者は面接の記録の「候補者の質問と迷い」の欄に一語足せば取れます。数字は件数のまま並べ、割合で断定しません。数字の伝え方は数字で語るに書いています。
進め方の順
| 順 | 中身 |
|---|---|
| 一 | いまのサイトを六つの要素で診断する。無いもの、他社にも書ける言葉で書かれているもの |
| 二 | 材料の三つを揃える。無ければ先に作る |
| 三 | 六つの要素の構成の一枚を作り、依頼側と合意 |
| 四 | 社員に聞く問いを用意し、制作会社に渡す |
| 五 | 原稿を現場の責任者と「実態と合っているか」で確認。盛りを外す |
| 六 | 表記の可否を依頼側の決まりと専門家で確認 |
| 七 | 公開。見る数字を二つ決めておく |
| 八 | 三か月後に数字を見て、六つのどれを直すか一つ決める |
一の診断は、求人原稿を書き直す手順と同じで、ゼロから作り直さず、欠けと抽象語を見つけるところから始めます。
よく起きる詰まりと直し方
| 詰まり | 直し方 |
|---|---|
| 依頼側がデザインの話から始める | 六つの要素で診断した一枚を先に見せ、「何を置くか」を先に決める |
| 社員の言葉が「成長できる」ばかり | 問いを変える。「前の会社と違うこと」「最初の三か月」「一日の時間の使い方」 |
| 代表のメッセージを先頭に置きたがる | 「この会社で働く理由」の中に、動く理由に対応する形で置く。先頭は仕事の実態 |
| 制作会社の型に流される | 発注の一枚に六つの要素と材料を添え、構成を先に合意 |
| 実態より良い原稿になる | 現場の責任者と照合。「いま、本当にそうか」 |
| 公開後に何も見ない | 見る数字を二つ、公開の前に決める |
まとめ
- 見た目を新しくしても応募は変わらない。サイトは候補者が検索した先で確かめる場
- 置くのは働く理由・仕事の実態・一緒に働く人・最初の三か月・選考の流れ・応募の入口の六つ
- 材料は要件の一枚・ターゲット像・いまうまくやっている人の言葉。制作会社に渡す問いを担当者が用意する
- 盛らない。他社にも書ける言葉を消し、実態の場面を社員の言葉で。表記の可否は専門家に。個別の判断は専門家にご確認ください
- 担当者は何を置くか・材料・実態との照合。制作と費用は制作会社と依頼側
- 公開の前に見る数字を二つ決め、三か月後に一つ直す
よくある質問
予算が無く、制作会社に頼めないと言われました
六つの要素は、既存のサイトの中身を書き換えるだけでも置けます。デザインを変えずに、「任せる仕事の実態」「最初の三か月」「選考の流れ」のページを足すか、既存のページの文章を実態の言葉に直す。それだけで、確かめに来た候補者への答えになります。見た目の刷新は、六つが揃ってからでも遅くありません。文章の直し方は求人原稿を書き直す手順と同じです。
社員インタビューに出てくれる人がいません
インタビューの形にせず、「いまうまくやっている人に、三つの問いを聞いて、本人の言葉を確認の上で載せる」形にします。顔写真と氏名を出すかは本人の意向で、出さなくても「〇〇の役割・入社〇年目」の形で載せられます。載せる内容は本人が確認し、依頼側が承認します。本人が「載せたくない」と言えば載せません。
採用サイトの効果を、依頼側に数字で示せと言われました
公開の前に決めた二つの数字(サイト経由の応募の数、面接で「サイトを見て」と言った数)を、件数のまま並べます。公開の前と後で比べられるように、公開前の数も記録しておきます。「応募が〇倍になった」のような割合の断定は、件数が少ないうちはしません。サイトの効果は、応募の数だけでなく、面接で候補者が「実態を知って来ている」かでも見えます。それは面接官の記録から拾えます。