人事副業 / 組織サーベイの設計
組織サーベイの設計で副業を始めるには|最初の1件の取り方
社内で組織サーベイを設計し、実施し、結果を返してきた。設問を絞り、匿名性を守り、管理職と行動を決め、次の回で変化を見てきた。この経験を副業で使えないか。そう思って募集を見ると、「エンゲージメントサーベイの導入」「組織診断」の案件はあるのに、自分の何を見せれば選ばれるのかが分からない。「サーベイの設計経験があります」「データ分析ができます」では、アンケートを作って集計する人にしか見えないからです。結論を先に書くと、最初の1件を取るには、「結果を見て何を決めるかから設問を絞り、少人数の単位を出さない集計の単位を設計し、案内に出さない単位と結果を返す日を書き、結果を返して会社が一つ決めて伝え、次の回で変化を見た」と、決めることと匿名性と返す工程の三つで見せます。見本は設問の絞り方の対比と集計の単位と出さない単位の決まりと案内の一枚と結果の返し方の型と行動を決める場の型で作り、入口は、評価制度や1on1やオンボーディングの案件の中で提案、紹介、副業のプラットフォーム、担当者を選べる窓口の四つで、最初は「一回の設計だけ」「既存のサーベイの返し方の見直しだけ」「行動を決める場だけ」と小さく受け、受ける前に結果の使い方と出さない単位と返す日と法令に基づく調査でないことを確かめ、最初の1件を「設問と単位の決まりと案内と返し方の型と決めたことの記録が残り、回答のデータは残らない形」で終えて2件目につなげます。案件の型と扱わない調査の線は組織サーベイの設計の副業案件に、1案件の流れは組織サーベイの設計の副業の実務に、副業全体の始め方は人事の副業の始め方に書いています。ここでは「最初の1件の取り方」に絞ります。
経験を棚卸しする:決めること・匿名性・返す工程
依頼側が読むのは、「設問の知識」や「分析の技術」ではなく、「答えた社員に結果と行動が返り、次の回も本音で答えてもらえる形を作れるか」です。社内の経験を三つに分けて書き出します。
| 項目 | 書き出すこと | 依頼側が読むこと |
|---|---|---|
| 決めること | 「結果を見て何を決めるか」をどう会社に決めてもらい、設問を何問から何問に絞ったか。何を聞かなかったか | 聞きたいことではなく、決めることから設計できるか |
| 匿名性 | 集計の単位と出さない単位をどう決め、案内にどう書き、会社に求められても出さなかった場面。自由記述をどう扱ったか | 匿名性を仕組みで守れるか |
| 返す工程 | 結果をいつどう返し、会社が何を一つ決めて伝え、次の回で何が変わったか。回答率と本音の変化 | サーベイを「返す」設計にできるか |
いちばん差がつくのは三つ目です。「サーベイを実施しました」ではなく、「案内に結果を返す日を書き、返した場で会社が一つ決めて伝えたら、次の回の回答率と自由記述の量が上がった」と、返したことと変わったことの組で書きます。数字は会社の許可の範囲で。数字の見せ方は数字で語るに、実績の示し方は実績の示し方に書いています。
見本を作る:設問の対比・単位の決まり・案内の一枚・返し方の型・決める場の型
サーベイは、実物の結果を見せられません(社員の本音です)。見本は、型だけを、架空の会社で作ります。
| 見本の要素 | 作り方 | 注意 |
|---|---|---|
| 設問の絞り方の対比 | 「聞きたいことを並べた設問」(多い)を左に、「決めること:〇〇」から絞った設問(少ない)を右に。何を削り、なぜ削ったか | 市販のサーベイの設問を写さない。架空の決めることで |
| 集計の単位と出さない単位の決まり | 単位(部署、職種、年代)ごとに、出す条件(人数)と出さない条件、掛け合わせの制限を一枚に | 「人数が少なければ出さない」の一言で済ませない |
| 案内の一枚 | 目的、決めること、匿名性(出さない単位)、評価に使わないこと、結果を返す日、決めて伝えること。会社の名義の欄 | 「率直にお答えください」だけの案内にしない |
| 結果の返し方の型 | 全体の傾向、出せる単位の傾向、良い点と課題、次に決めること、の順の資料の型。数字の羅列にしない | 自由記述をそのまま載せる欄を作らない |
| 行動を決める場の型 | 会社と管理職が、結果から一つ決める場の進行(決めることに沿って、一つに絞り、いつから、次の回で何を見るか) | 全部を直す型にしない |
| 役割の線の一枚 | 会社が決めること(目的、結果の使い方、行動、ツール)・自分がすること(設問、単位、案内、集計の確認、返し方、場の進行)・しないこと(個人の特定、少人数の集計、評価への提供、法令に基づく調査) | 自分の欄に「診断」「原因の特定」を入れない |
見本が一組あれば、依頼側は「この人はアンケートを作る人ではなく、返って動くサーベイを設計する人だ」と読みます。見本の作り方はポートフォリオの作り方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、組織サーベイの最初の1件は、「分析がうまい人」ではなく「案内の一枚に『出さない単位』と『返す日』を書いている人」に来ます。依頼側の多くは、過去にサーベイをやって、回答率が下がったか、結果を眺めて終わった経験を持っていて、その原因が「返さなかったこと」だと薄々分かっています。見本の案内の一枚に返す日が書かれ、結果の返し方の型に「次に決めること」の欄があれば、依頼側は「前回と違う」と読みます。エラベルで担当者を選ぶ企業も、設問の質より、「返す設計になっているか」を見ています。受ける側がその場で使える判断としては、見本の五つのうち、案内の一枚と返し方の型にいちばん時間を使うこと。設問の対比がありふれていても、返す工程が具体なら、最初の1件は来ます。
プロフィールに書くこと
| 書くこと | 書き方の形 | 書かないこと |
|---|---|---|
| できる範囲 | 「組織サーベイの、結果を見て何を決めるかからの設問の絞り込み・匿名性が守られる集計の単位の設計・案内・実施と集計の確認・結果の返し方・行動を決める場の進行・次の回での変化の確認。目的と結果の使い方と行動の決定は会社」 | 「組織診断」「原因の特定」「エンゲージメント向上」 |
| 決めること | 「決めることを一つに絞ってから設問を作る。聞きたいことを全部入れない」 | 「網羅的な設問設計」 |
| 匿名性 | 「少人数の単位は出さない。掛け合わせで特定されない。自由記述はそのまま渡さない。評価に使わせない」 | 「詳細な部署別分析」 |
| 返す工程 | 「案内に結果を返す日を書き、返した場で会社が一つ決めて伝え、次の回で同じ設問で変化を見る」 | 「レポートを納品」 |
| 結果 | 「〇〇を返す設計にして、〇〇が変わった(次の回の回答率、自由記述の量、決めたことの実行)」を二〜三組 | 「〇社で実施」だけ |
| 線 | 「法令に基づく調査(心身の健康に関わる調査など)と、事実の調査は扱わない。専門家と法令の枠組みで。回答のデータは手元に置かない」 | どんな調査でも |
止まりやすいのは、「組織診断」「原因の特定」と書くときです。「どの部署の誰が原因か」を求める案件が来て、匿名性を壊す役に引っ張られます。プロフィールの書き方はプロフィールの書き方に書いています。
最初の1件が見つかる四つの入口
| 入口 | 向く人 | 進め方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 評価制度や1on1やオンボーディングの案件の中で提案 | すでに組織に関わる案件を持っている | 制度を変えたあと、1on1の傾向を返したあと、定着の記録を見たあと、「受け止めを一度、匿名のサーベイで確かめませんか。決めることを一つにして」と提案 | 個人の特定に使われない設計を先に伝える |
| 元の勤務先や知人の紹介 | 前職や取引先に、サーベイをやったが結果が返らなかった会社を知っている | 「既存のサーベイの返し方の見直しだけ」と範囲を絞って提案 | 現在の勤務先の設問や結果を持ち込まない |
| 副業のプラットフォーム | まず件数を見て選びたい | 「サーベイ導入」「組織診断」の募集に、見本(案内の一枚と返し方の型)を付けて応募。募集文で「結果の使い方」「出さない単位」「返す予定」を見る | 「部署ごとの詳細な分析」「原因の特定」「ストレスに関わる調査」の案件は、範囲を直して提案するか避ける |
| 担当者を選べる窓口への登録 | 条件が合うときだけ受けたい | 登録して、見本と役割の線を出しておく | 窓口の仕組み(誰が何を決めるか)を確かめる |
最も通るのは、いちばん上の入口です。制度や1on1やオンボーディングで「変えたことの受け止め」を確かめたい会社は、決めることが最初から具体です。案件の探し方は案件の探し方に、紹介の頼み方は紹介を頼むに書いています。
小さく受ける:一回の設計だけ・返し方の見直しだけ・決める場だけ
最初の1件は、継続の実施ではなく、小さい範囲で受けます。
| 小さく受ける型 | やること | 見せられる結果 | 次につなぐ提案 |
|---|---|---|---|
| 一回の設計だけ | 決めることを会社と一つに絞り、設問と集計の単位と出さない単位と案内と返し方の型を作る。実施は会社 | 設計の一式。会社が実施できる状態 | 「集計の匿名性の確認と、返す場を持ちます」→実施と集計へ |
| 既存のサーベイの返し方の見直しだけ | すでに実施したサーベイの結果を、匿名性を確かめて、返す資料と決める場の型に直し、返して一つ決める | 返した記録と、決めたこと | 「次の回は設問も絞りましょう」→設計へ |
| 行動を決める場だけ | 結果はあるが何も決まっていない会社で、会社と管理職が一つ決める場を回し、社員に伝える型を作る | 決めたことと、伝えた記録 | 「次の回で変化を見る設計を」→次の回へ |
止まりやすいのは、小さく受けたのに、「この部署の結果を詳しく」「自由記述を全部見せて」と、匿名性を壊す求めが流れてくるときです。「出さない単位と自由記述の扱いは、設計の決まりどおり」を書面に残します。
受ける前に確かめること
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 結果を見て何を決めるかを、会社が一つに絞れるか | 設問が膨らみ、眺めて終わるのを防ぐ |
| 結果を管理職の評価に使わないこと。使うなら事前に社員と管理職に伝えること | 本音が出る設計にするため |
| 集計の単位と出さない単位の決まりに、会社が書面で同意するか | 少人数の結果を求められないため |
| 結果を返す日と、行動を決める場の日を、実施の前に予定に入れられるか | 返らない、決まらないサーベイにしないため |
| ツールは会社が選定し契約すること。回答のデータは自分の端末に置かないこと | データを手元に持たないため |
| 法令に基づく調査(心身の健康に関わる調査など)や、事実の調査を混ぜないこと | 法令の枠組みが要る調査を副業で扱わないため。個別の判断は専門家にご確認ください |
| 自由記述をそのまま会社に渡さないことに同意するか | 匿名性を守るため |
| 深刻な記述(健康、安全、ハラスメント)があったときの流れを、会社と決められるか | 自分が判断して抱えないため |
確かめる順は副業で法令違反をしないためにに、個人情報の扱いは候補者の個人情報の扱いに、条件のすり合わせは条件のすり合わせに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「最初の1件は、詳しい分析を出せば専門性が伝わって実績になる」というものです。実際には、部署別の細かい分析や自由記述の一覧は、匿名性を壊し、社員の信頼を失い、次の回から本音が消えます。それは専門性ではなく、事故です。同じ1件目でも、「決めることを一つに絞り、出さない単位を決め、返す日を案内に書き、返して一つ決めて伝える」と受けた人は、1件目の終わりに「返した記録」「決めたこと」「次の回の回答の変化」が残り、それが次の会社への提案の材料になります。エラベルで長く続いている担当者は、細かい分析ではなく、「返して動いた」ことを実績にしています。受ける側がその場で使える判断としては、1件目の提案の最初の行に「少人数の単位は出しません。自由記述はそのまま渡しません。結果は〇日に返して一つ決めます」と書くこと。出さないことと返すことを先に書いた提案が、続く案件を呼びます。単価の考え方は単価の相場と考え方に書いています。
最初の1件の終わらせ方と2件目へのつなぎ方
1件目は、「設問と単位の決まりと案内と返し方の型と決めたことの記録が残り、回答のデータは残らない形」で終えます。渡すものは、設問(次の回でも使える形)、集計の単位と出さない単位の決まり、案内の一枚、結果の返し方の型、行動を決める場の型、決めたことと次の回で見る設問の記録、です。回答のデータはツールの中か会社の管理する場所に置き、自分の手元に一切残さず、ツールの権限を返します。会社の許可を得て、会社が特定できない形にした「設問の絞り方」「単位の決まり」「案内の一枚」「返し方の型」と「次の回の回答の変化」を、実績と見本にします。結果の数字と自由記述は、どんな形でも見せません。
2件目へのつなぎ方は二つです。同じ会社に、次の回(同じ設問で変化を見る)、行動へつなぐ支援の継続、社内で回す型の引き継ぎを提案するか。制度や1on1やオンボーディングの案件を持つ別の会社に、「受け止めを匿名のサーベイで」と提案するか。どちらも、「返して、一つ決めて、次の回で何が変わったか」が具体であるほど通ります。2件目の取り方は2件目の取り方に、実績の書き方は事例の書き方に書いています。
まとめ
- 見せるのは決めること・匿名性・返す工程の三つ。「設計経験があります」「分析ができます」では選ばれない
- 見本は設問の絞り方の対比・単位と出さない単位の決まり・案内の一枚・返し方の型・決める場の型・役割の線を、架空の会社で作る。案内の一枚と返し方の型にいちばん時間を使う
- プロフィールに決めることから設問を絞る・少人数を出さない・自由記述をそのまま渡さない・評価に使わせない・返す日を書いて一つ決めて伝える・法令に基づく調査と事実の調査は扱わないを書く。「組織診断」「原因の特定」と書かない
- 入口は評価制度や1on1やオンボーディングの案件の中で提案・紹介・プラットフォーム・担当者を選べる窓口の四つ。「変えたことの受け止め」を確かめたい会社への提案が最も通る
- 最初は一回の設計だけ・返し方の見直しだけ・決める場だけと小さく受け、「出さない単位と自由記述の扱いは設計の決まりどおり」を書面に残す
- 受ける前に決めることを一つに・評価に使わない・出さない単位への書面の同意・返す日と決める場の予定・ツールとデータの置き場・法令に基づく調査でない・自由記述の扱い・深刻な記述の流れを確かめる
- 1件目は型と決めたことの記録が残り、データは残らない形で終え、結果の数字と自由記述はどんな形でも見せない
よくある質問
社内で実施したサーベイの結果を、実績として見せてよいですか
結果の数字と自由記述は、社員の本音で、会社の内情そのものなので、許可があっても見せません。見せるのは、会社の許可を得て、会社が特定できない形にした「設問の絞り方」「集計の単位と出さない単位の決まり」「案内の一枚」「返し方の型」と、「次の回の回答率と自由記述の量の変化」の構造だけです。現在の勤務先の設問や結果の持ち込みには触れないでください。
「ストレスの状況も一緒に聞きたい」と言われました
混ぜません。心身の健康に関わる調査は、実施の枠組みと結果の扱いに決まりがあると一般に整理されており、産業医など専門家の関与と法令の枠組みで行うものです。「健康に関わる調査は、専門家と法令の枠組みで別に行ってください。私が設計するサーベイは、働き方や制度の受け止めなど、会社が任意に行う意識調査に絞ります」と、範囲を分けます。混ぜて実施すると、両方の匿名性と扱いが崩れます。個別の判断は専門家にご確認ください。
最初の1件の単価はどう決めればよいですか
「設計(決めることの整理、設問、単位、案内、返し方の型)」「実施の運用(ツールの操作を含むか)」「集計と匿名性の確認」「結果を返す資料と場」「行動を決める場」「次の回の設計」を分けて見込みます。ツールの費用は会社が持ちます。人数と単位の数で集計と匿名性の確認の時間が変わります。1件目は一回の設計か返し方の見直しから入り、2件目で継続の実施に広げるときに見直す、という順が現実的です。相場は範囲と人数と回数で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。考え方は単価の相場と考え方に書いています。