採用代行 / シード期スタートアップ
シード期スタートアップが採用代行で失敗するパターン
ここでいうシード期スタートアップは、創業者と数名でプロダクトを作っている途中の会社です。資金は少なく、採るのは「最初の数人」で、共同創業者に近い人や初期のメンバーです。経路は創業者の知人と投資家の紹介とイベントとSNSで、正社員より業務委託や副業で一緒に働いてから決める形が多く、条件は現金が弱く、要件は「何をするか」より「誰と作るか」です。この段階で採用代行を使うことは多くなく、使うなら限定的です。それでも使うとき、シリーズA以降にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、シード期の失敗は「後の段階の代行の型を、最初の数人の採用に当てはめる」ことから起きます。正社員の中途採用の型と月額は段階に合わず、創業者の直接の接点が全てなのに代行を挟み、共同創業者級の一人を代行に探させ、少ない資金から固定の月額を払い、業務委託や副業の入り口を整えずに始める。この五つが重なると、代行は動いても人は来ず、資金だけが減ります。代行を使うなら、「創業者の探す手だけを週に数時間」「創業者の接点は代行を挟まない」「共同創業者級は創業者のネットワークで」「動いた分だけ払う形」「業務委託や副業の入り口を先に整える」の五つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。次の段階の失敗はシリーズAスタートアップが採用代行で失敗するパターンに、スタートアップに噛み合う代行の条件はスタートアップに向く採用代行の条件に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:正社員の中途採用の型と月額が、段階に合わない
症状。投資家から「そろそろ人を増やせ」と言われ、代行に相談する。代行は、要件の定義、求人票、転職サイト、スカウト、二回の面接、条件提示、という正社員の中途採用の型と、月額の見積もりを出す。シード期の採用は「知り合いの知り合いに、業務委託で週に二日入ってもらい、合えば正社員に」という形で、型のどこにも当てはまらない。契約しても、代行の工程のほとんどが使われず、月額だけが出ていく。
原因。代行の型の多くは、正社員の中途採用で、ある程度の人数を採る会社向けに作られています。シード期の採用は、人数も経路も契約の形も違い、型がそのまま当てはまりません。代行の側は自分の型を疑わず、シード期の会社も「小さい会社」として同じ型で見ます。
先に打つ手。代行に相談する前に、「今、採ろうとしているのは誰で、どの経路で、どの契約の形で、いつまでに」を紙にします。「業務委託で週に二日、知人の紹介で、三か月一緒に働いてから決める」なら、代行に頼めるのは「探す手」「受付と日程」「業務委託の入り口の段取り」くらいで、要件の定義も転職サイトも二回の面接も要りません。代行には、この段階の採用を支援した経験があるかを聞き、正社員の型しか持たない代行は避けます。スタートアップに噛み合う条件はスタートアップに向く採用代行の条件に、業務委託から決める形は業務委託で入ってもらってから採用するに、副業人材に頼む形は副業人材に採用業務を委託するときの実務に整理しています。
失敗のパターン二:創業者の直接の接点が全てなのに、代行を挟んで距離ができる
症状。創業者が忙しくなり、候補者との最初の連絡や説明を代行に任せる。候補者は「創業者と数名の会社なのに、採用の担当が別にいる」ことに違和感を持ち、事業の熱量が伝わらず、返事が来なくなる。創業者は「代行を入れたら、前より人が来なくなった」と感じる。
原因。シード期の候補者は、事業と創業者を見て決めます。しかも「最初の数人」は、創業者と直接話して「この人と作りたい」と思うかどうかで決まります。シリーズAなら代行が最初の接点に立てますが、シード期は接点そのものが創業者の仕事で、代行を挟むと候補者が最も見たいものが見えなくなります。
先に打つ手。創業者の接点には、代行を挟みません。代行が持つのは、接点の「前」(候補者の抽出、創業者が送る文面の下書き、送った後の管理、日程の候補の整理)と「後」(業務委託の入り口の段取り、記録)だけにします。連絡は創業者の名前で創業者が送り、代行は下書きと管理を持ちます。創業者の時間を減らすのは、接点を減らすことではなく、接点の前後の手を減らすことです。創業者の言葉を残す考え方はシリーズAスタートアップが採用代行で失敗するパターンに、スカウトの文面はスカウト文面の作成は代行に出せるかに書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、シード期で結果が分かれるのは、担当者が「この段階では代行の出番が少ない」と正直に言えるかどうかです。パターン一と二は、どちらも代行が「後の段階の型」をそのまま持ち込み、創業者が「代行を入れれば楽になる」と期待したことから起きています。相談で見ていると、シード期の会社に本当に役に立つのは、月額の契約ではなく、「創業者の探す手を週に数時間だけ」「業務委託や副業で入る人の受付と入り口の段取りだけ」のような、小さく限定した形です。うまくいく担当者は、契約の前に「今の段階なら、代行に出すのはここだけで足ります。ここは創業者の方が持ってください」と線を引き、月額ではなく動いた分の形を提案しています。
契約の前の面談で「シード期なら、まだ代行は要らないかもしれません。要るとすればこの部分です」と言う担当者と、「弊社の型で一通り支援します」と言う担当者では、資金の減り方が違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、シード期の会社に「要らない」と言える担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:共同創業者級の一人を、代行に探させる
症状。技術の責任者や事業の右腕になる一人を「代行に探してほしい」と頼む。代行はスカウトと転職サイトで探すが、その一人は「転職市場」にいないか、いても創業者と直接つながらないと動かない。代行が出す候補者は「経験はあるが、この段階の会社に来る人ではない」ばかりで、時間と費用が消える。
原因。共同創業者級の一人は、条件と要件で探すものではなく、創業者のネットワークと時間と信頼で見つけるものです。代行は「要件に合う人を市場から探す」ことはできますが、「創業者と一緒に事業を背負う人」は市場で探せません。代行の範囲の外です。
先に打つ手。共同創業者級の一人は、創業者が自分のネットワーク(前職、学生時代、投資家、アドバイザー、イベント)で探すと決め、代行には頼みません。代行に頼めるのは、創業者が会った人の記録と管理、紹介を頼む相手の一覧、会う日程の整理、といった手だけです。「最初の数人」のうち、共同創業者級とそれ以外を分け、それ以外(業務委託で入ってもらう実務の人)だけを代行の探す手に乗せます。人事担当そのものの採用は人事担当そのものが採用できないに、リファラルの広げ方はリファラル採用が広がらないに整理しています。
失敗のパターン四:少ない資金から固定の月額を払って、ランウェイを削る
症状。調達の直後に「採用に投資しよう」と代行を月額で契約する。数か月、人は決まらず、月額だけが出ていく。気づくと採用に使った費用が、一人分の給与の何か月分にもなっていて、事業に使える期間が縮んでいる。止めようとしても、契約の期間が残っている。
原因。シード期の資金は、プロダクトと事業を作るための期間そのものです。後の段階の会社向けの固定の月額は、この段階では重すぎ、しかも決まらない期間も払い続けます。「採用に投資する」という言葉が、費用の重さを見えにくくします。
先に打つ手。代行を使うなら、「動いた分だけ払う」「候補者がいるときだけ動く」「期間を区切る」「決まったら止める」のどれかの形にし、固定の月額の契約は避けます。使う前に、「この費用で、一人分の給与の何か月分か」を計算し、それでも使う価値があるかを判断します。多くの場合、この段階では代行より、創業者の時間を探す手だけ週に数時間分減らす形か、副業の人事経験者に週に数時間だけ手伝ってもらう形が合います。月額と成果報酬の違いは採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに、やめる判断は採用代行をやめる判断のタイミングに、副業人材と代行の使い分けは副業人材と代行会社の使い分けに書いています。
失敗のパターン五:業務委託や副業の入り口を整えずに、口頭で始めて揉める
症状。業務委託や副業で入ってもらう人が決まり、「来週から週に二日で」と口頭で始める。契約書がなく、報酬の払い方も、成果物の扱いも、機密の扱いも、正社員になるときの条件も決まっていない。数か月後に、報酬や成果物や辞め方で揉める。代行は「採用まで」の範囲だったので、入り口の段取りは誰も持っていなかった。
原因。シード期の採用は業務委託や副業から始まることが多いのに、その入り口(契約の形、報酬、機密、成果物、正社員への切り替えの条件)を整える人がいません。代行の型は正社員の入社までで、業務委託の入り口を範囲に入れていないことが多くあります。
先に打つ手。業務委託や副業で入ってもらう前に、契約の形、報酬の払い方、機密の扱い、成果物の扱い、正社員に切り替えるときの条件と時期を、書面にします。これらは法令の整理と個別の事情で変わるので、契約の中身は専門家に確認してください。代行を使うなら、「入り口の段取り(書面の準備の下書き、必要な確認の一覧、専門家への橋渡し)」を範囲に入れ、口頭で始めない形にします。業務委託から決める形は業務委託で入ってもらってから採用するに、契約で確認する項目は採用代行の業務委託契約書で確認する10項目に、職業安定法との関係は採用代行と職業安定法に整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行に相談する前に、創業者が「今、採ろうとしているのは誰で、どの経路で、どの契約の形で、いつまでに」を紙にし、「創業者が自分で持つこと」(接点、口説き、共同創業者級を探すこと、決めること)と「手だけを出せること」(抽出、下書き、管理、日程、受付、入り口の段取り)を分けることです。五つのパターンは、全部この線が引かれていないことから起きています。型が合わない失敗は誰をどう採るかが紙になっておらず、距離ができる失敗は接点まで渡し、探させる失敗は共同創業者級を分けておらず、ランウェイを削る失敗は費用を給与の月数で見ておらず、揉める失敗は入り口を整えていないからです。
線を引くのに要るのは、創業者の時間で一度だけ、一、二時間です。この線を引くと、多くのシード期の会社では「代行はまだ要らない」か「探す手だけ週に数時間」という結論になり、それが正しい結論です。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「今の段階では、ここだけで足ります。ここは創業者の方が持ってください」と言ってくる担当者を選べます。業務委託の契約の中身は、専門家に確認してください。
まとめ
- シード期の失敗は、後の段階の代行の型を、最初の数人の採用に当てはめることから起きる
- パターン一は型。誰を、どの経路で、どの契約の形で採るかを紙にし、正社員の中途採用の型しか持たない代行は避ける
- パターン二は接点。創業者の直接の接点に代行を挟まず、接点の前後の手(抽出・下書き・管理・日程・入り口の段取り)だけを出す
- パターン三は共同創業者級。創業者のネットワークで探すと決め、代行には頼まない。それ以外の実務の人だけを探す手に乗せる
- パターン四は費用。固定の月額を避け、動いた分だけ払う形にする。費用を一人分の給与の月数で見る
- パターン五は入り口。業務委託や副業で入る前に、契約の形・報酬・機密・成果物・正社員への切り替えを書面にする。中身は専門家に確認
よくある質問
シード期で採用代行を使う意味は、そもそもありますか
多くの場合、月額の契約としての代行はまだ要りません。要るとすれば、「創業者の探す手を週に数時間だけ減らす」「業務委託や副業で入る人の受付と入り口の段取りだけ」「投資家やアドバイザーへの紹介の依頼の管理だけ」のような、小さく限定した形です。創業者の時間のうち、接点と口説きと決めることは残し、その前後の手だけを出す、と考えると、要るかどうかが見えます。要らないと判断するのも、正しい判断です。スタートアップに噛み合う条件はスタートアップに向く採用代行の条件に、体制の作り方はシード期スタートアップの採用体制の作り方に整理しています。
投資家に「採用を急げ」と言われています。代行を入れれば速くなりますか
速くなるのは、創業者の探す手の部分だけです。最初の数人が決まる速さは、創業者が候補者と直接話す時間と、業務委託で一緒に働いてみる期間で決まり、代行を入れても変わりません。急ぐなら、創業者の接点の枠を週に固定し、その前後の手を代行か副業の人事経験者に出して、創業者が接点に使える時間を増やす形が、実際に速くなります。投資家には「最初の数人は一緒に働いてから決める」と伝え、人数より一人ずつの質で説明します。急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、次の段階の順番はシリーズAスタートアップの採用代行に書いています。
シリーズAに進んだら、代行の使い方はどう変わりますか
シリーズAでは「最初の十人」を本格的に採る段階になり、創業者の口説きの前の手(言葉の型を核にした抽出・送信・追客・返信・日程)を代行に出し、言葉の型と説明の一枚ができてから代行が最初の接点にも立てるようになります。シード期で残しておいた「会った人の記録」「紹介を頼んだ相手の一覧」「業務委託から正社員になった人の経緯」が、そのまま次の段階の材料になります。シード期に代行を小さく使うなら、記録を社内の共有の場所に残す形にしておきます。次の段階の失敗はシリーズAスタートアップが採用代行で失敗するパターンに、その体制はシリーズAスタートアップの採用体制の作り方に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。