人事副業 / 評価制度の設計
評価制度の設計で副業を始めるには|最初の1件の取り方
社内で評価制度を作ってきた。観点を決め、シートを作り、評価者の目線合わせを回し、面談の型を作り、最初の期の歪みを直してきた。この経験を副業で使えないか。そう思って募集を見ると、「評価制度の設計」「評価者研修」の案件はあるのに、自分の何を見せれば選ばれるのかが分からない。「評価制度に詳しい」「評価シートが作れます」では、一般的なシートを持ち込む人にしか見えないからです。結論を先に書くと、最初の1件を取るには、「経営者の『高く評価した人とそうでない人の違い』を一段掘って観点にし、三〜五に絞って『〇〇した場面を語れる』の形にし、評価者の目線合わせを回して判定をそろえ、最初の評価の期間で面談の理由が伝わるところまで見た」と、観点の言葉と目線合わせと伴走の三つで見せます。見本は観点を行動の言葉にした対比と架空の例と判定と目線合わせの進行と面談の型と記録の型で作り、入口は、JDや要件や面接の案件の中で提案、紹介、副業のプラットフォーム、担当者を選べる窓口の四つで、最初は「観点の言葉の見直しだけ」「目線合わせの進行だけ」「面談の型と練習だけ」と小さく受け、受ける前に何を評価するかを決める人と処遇との接続の有無と個人の評価に入らないことを確かめ、最初の1件を「観点の言葉と目線合わせの記録と面談の型が残る形」で終えて2件目につなげます。案件の型と人事制度との違いは評価制度の設計の副業案件に、1案件の流れは評価制度の設計の副業の実務に、副業全体の始め方は人事の副業の始め方に書いています。ここでは「最初の1件の取り方」に絞ります。
先に確かめる:処遇との接続を含む案件は、人事制度の設計の条件で
評価制度の案件は、「観点と運用」だけなら、処遇を直接決めないので、比較的受けやすい範囲です。ただ、評価の結果を昇給・賞与・昇格に結びつける設計を含む案件は、人事制度の設計と同じ重さで、「設計から運用まで見た経験」「専門家と組む前提」「決めるのは会社」の三つの条件が要ります。募集文に「評価と報酬の連動」「賞与への反映」があれば、その条件で受けるかを先に判断します。条件は人事制度の設計で副業を始めるにはに書いています。条件が揃わないなら、接続を範囲から外し、観点と運用だけを提案します。
経験を棚卸しする:観点の言葉・目線合わせ・伴走
依頼側が読むのは、「評価制度の知識」ではなく、「評価者が迷わず、社員が納得する評価を、最初の期で回るところまで見られるか」です。社内の経験を三つに分けて書き出します。
| 項目 | 書き出すこと | 依頼側が読むこと |
|---|---|---|
| 観点の言葉 | 経営者の一言をどう掘って観点にしたか。抽象語をどう「〇〇した場面を語れる」の形にしたか。観点を何個から何個に絞ったか | 一般的なシートを写さず、その会社の観点を言葉にできるか |
| 目線合わせ | 評価者が同じ例で話し合う場をどう回し、判定の差がどう減ったか。差が出た観点の言葉をどう直したか | 評価者の甘辛を基準の言葉の問題として扱えるか |
| 伴走 | 最初の評価の期間で、何が歪み(甘辛、面談の形骸化、経営者の例外)、何を直したか。面談で理由が伝わるようになったか | 作って終わりにしないか |
いちばん差がつくのは二つ目です。「評価制度を設計しました」ではなく、「導入の前に架空の例で二人の評価者に判定してもらい、割れた二つの観点の言葉を直したら、最初の評価で判定がそろった」と、やったことと変わったことの組で書きます。数字は会社の許可の範囲で。数字の見せ方は数字で語るに、実績の示し方は実績の示し方に書いています。
見本を作る:対比・架空の例・目線合わせの進行・面談の型・記録の型
評価制度は、実物の制度(観点と評価の結果)を見せられません。見本は、型と構造だけを、会社が特定できない形で作ります。
| 見本の要素 | 作り方 | 注意 |
|---|---|---|
| 観点を行動の言葉にした対比 | 「主体性」「協調性」「成果」などのよくある観点を左に、「〇〇した場面を具体的に語れる」の形に置き換えた右を並べる。高い状態と低い状態を場面で | 実在の会社の観点を使わない |
| 架空の例と判定 | 架空の社員の一期の行動を短く書き、観点ごとに「二人の評価者で同じ判定になるか」を試す形 | 実在の社員を使わない。架空と明記 |
| 目線合わせの進行 | 三十分から一時間で、架空の例で観点ごとの判定を話し合い、差が出た観点の言葉を直す進行表 | 評価者を裁く形にしない |
| 面談の型 | 観点ごとに「見た場面」「判定」「次に期待すること」を伝える順。本人の話を聞く時間。理由の書き方 | 点数を読み上げる型にしない |
| 記録の型 | 観点ごとに「見た場面」「判定」「本人に伝える理由」の欄 | 点数だけの型にしない |
| 役割の線の一枚 | 何を評価するかと処遇との接続は会社(接続は専門家の確認)・自分は言葉と運用と目線合わせと伴走・個人の評価に入らない | 自分の欄に「評価する」を入れない |
見本が一組あれば、依頼側は「この人はシートを売る人ではなく、評価者の判定をそろえる人だ」と読みます。見本の作り方はポートフォリオの作り方に、言葉の型は面接の評価基準の言語化に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、評価制度の最初の1件は、「シートがきれいな人」ではなく「架空の例と判定を見せられる人」に来ます。依頼側の経営者が本当に困っているのは、シートが無いことより、評価者ごとに判定が割れて、社員に説明できないことです。見本に、架空の社員の一期の行動と、観点ごとに「二人で同じ判定になるか」を試す形があれば、依頼側は「うちの評価者でこれをやれば、割れている箇所が分かる」と読みます。エラベルで担当者を選ぶ企業も、観点の網羅より、「判定をそろえる方法を持っているか」を見ています。受ける側がその場で使える判断としては、見本の中で、架空の例と判定と目線合わせの進行にいちばん時間を使うこと。対比の表がありふれていても、判定をそろえる方法が具体なら、最初の1件は来ます。
プロフィールに書くこと
| 書くこと | 書き方の形 | 書かないこと |
|---|---|---|
| できる範囲 | 「評価制度の、経営者の一言から観点を三〜五に絞って行動の言葉にする・誰がいつどう評価しどう伝えるかの運用・評価者の目線合わせの進行・評価面談の型と練習・最初の評価の期間の伴走と見直し。何を評価するかは会社」 | 「評価制度の構築」「評価と報酬の連動設計」 |
| 観点の言葉 | 「『主体性』を『〇〇した場面を語れる』の形にし、二人の評価者で同じ判定になるかを架空の例で試してから導入する」 | 「網羅的な評価項目」 |
| 目線合わせ | 「評価の前に、評価者が同じ架空の例で判定を話し合う場を回し、差が出た観点の言葉を直す」 | 「評価者研修を実施」 |
| 伴走 | 「最初の評価の期間で、分布と面談の実施と社員の反応を記録し、歪みを直す材料を出す」 | 「導入までサポート」 |
| 結果 | 「〇〇を試して、〇〇が変わった(判定がそろった、面談で理由が言えるようになった)」を二〜三組(許可の範囲で) | 「〇社の評価制度を設計」だけ |
| 線 | 「何を評価するかは会社が決める。処遇との接続は会社が決めて専門家が確かめる。個人の評価に入らない。評価の結果を外で話さない」 | 何でもやります |
止まりやすいのは、「評価と報酬の連動設計」と書くときです。処遇に結びつく設計を一人で引き受ける案件が来て、人事制度の設計の条件が揃わないまま、労務の論点を抱えます。プロフィールの書き方はプロフィールの書き方に書いています。
最初の1件が見つかる四つの入口
| 入口 | 向く人 | 進め方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| JDや要件や面接の案件の中で提案 | すでに手前の案件を持っている | JDの「どう評価されるか」や面接の評価基準を作る中で、「社内の評価も同じ形で言葉にしませんか」と、観点の言葉の見直しを提案 | 手前の範囲と混ぜない。処遇との接続は範囲外と先に伝える |
| 元の勤務先や知人の紹介 | 前職や取引先に、評価者ごとの甘辛で困っている経営者を知っている | 「観点の言葉の見直しと、目線合わせの一回だけ」と範囲を絞って提案 | 現在の勤務先の観点や評価の情報を持ち込まない |
| 副業のプラットフォーム | まず件数を見て選びたい | 「評価制度の設計」「評価者研修」の募集に、見本(架空の例と判定、目線合わせの進行)を付けて応募。募集文で「処遇との接続」「何を評価するかを決める人」を見る | 「評価と報酬を連動」「短期間で制度を構築」の案件は、範囲を分けて提案するか避ける |
| 担当者を選べる窓口への登録 | 条件が合うときだけ受けたい | 登録して、見本と役割の線を出しておく | 窓口の仕組み(誰が何を決めるか)を確かめる |
最も通るのは、いちばん上の入口です。面接の評価基準を「〇〇した場面を語れる」の形で作った会社は、社内の評価も同じ形にしたくなります。案件の探し方は案件の探し方に、紹介の頼み方は紹介を頼むに書いています。
小さく受ける:観点の言葉の見直しだけ・目線合わせの進行だけ・面談の型と練習だけ
最初の1件は、設計の一式ではなく、処遇に触れない範囲で受けます。
| 小さく受ける型 | やること | 見せられる結果 | 次につなぐ提案 |
|---|---|---|---|
| 観点の言葉の見直しだけ | すでにある観点を、「〇〇した場面を語れる」の形に置き換え、架空の例で「二人で同じ判定になるか」を試し、割れた観点を直す | 直す前と後の判定のそろい方 | 「目線合わせの場を回します」→目線合わせへ |
| 目線合わせの進行だけ | すでにある制度で、評価の前に評価者が架空の例で話し合う場を回し、差が出た観点の言葉を直す材料を出す | 差の減り方と直す材料 | 「最初の評価の期間を伴走します」→伴走へ |
| 面談の型と練習だけ | 評価面談の型(見た場面・判定・次に期待すること)を作り、評価者同士で架空の例で練習する | 面談の実施率と、社員の反応(会社が聞く) | 「観点の言葉も見直しましょう」→設計へ |
止まりやすいのは、小さく受けたのに、「賞与の配分も」と処遇との接続に広がるときです。「接続は、人事制度の設計として、専門家の関与と決める人を決めてから別の範囲で」と書面に残します。
受ける前に確かめること
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 何を評価するか(高く評価される人は何が違うか)を、経営者が決めるか | 担当者が一般的な観点を並べる形にしないため |
| 処遇との接続(昇給・賞与・昇格への反映)を範囲に含むか。含むなら人事制度の設計の条件(経験・専門家・決めるのは会社)が揃うか | 労務の論点を一人で抱えないため。個別の判断は専門家にご確認ください |
| 評価者と社員に別々に聞く時間が取れるか。声を構造として共有することに同意するか | 話した社員が不利にならないため |
| 個人の評価(〇〇さんは何点か)には入らないことに同意するか。目線合わせは架空の例で | 個人の評価に巻き込まれないため |
| 評価面談は評価者が行い、担当者は型と練習と記録までであること | 担当者が面談に出ないため |
| 評価者の目線合わせの時間(三十分から一時間)を会社が確保するか | 目線合わせ無しの導入を避けるため |
| 終わりの定義(シートの納品か、最初の評価の期間の終わりか) | 納品で終わって運用で歪むのを防ぐ |
| 本業や他の依頼側と利益相反が無いか(同業、観点の持ち込み) | 他社の制度を持ち込まない、持ち出さないため |
確かめる順は副業で法令違反をしないためにに、利益相反の見分け方は本業と利益相反になる案件に、条件のすり合わせは条件のすり合わせに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「評価制度は人事制度より軽いので、知識があれば受けられる」というものです。実際には、観点と運用だけの範囲でも、評価は社員一人ひとりの自尊心に直結し、導入の最初の期で判定が割れれば、社員の不信は評価者と経営者と、外の担当者に向きます。そして「賞与にも使いたい」の一言で、処遇の設計に踏み込み、労務の論点を抱えます。同じ人でも、「観点の言葉の見直しと目線合わせの一回だけ」から入り、架空の例で判定をそろえ、処遇との接続は範囲外と先に書いた人は、1件目の終わりに「直す前と後の判定のそろい方」と「目線合わせの記録」が残り、それが次の会社への提案の材料になります。エラベルで評価制度の案件を続けている担当者は、例外なく、処遇との接続を範囲から分けています。受ける側がその場で使える判断としては、1件目の提案に「処遇との接続は範囲に含みません。必要なら、専門家の関与と決める人を決めてから別の範囲で」と一行書くこと。線を先に引いた提案だけが、この仕事では続きます。単価の考え方は単価の相場と考え方に書いています。
最初の1件の終わらせ方と2件目へのつなぎ方
1件目は、「観点の言葉と目線合わせの記録と面談の型が残る形」で終えます。渡すものは、観点と行動の言葉(会社の文書)、見ない観点、架空の例と判定の試しの記録、目線合わせの進行と差の記録(個人が特定されない形)、面談の型、記録の型、運用の一覧、見直しの材料、です。個人の評価の情報は自分の手元に一切残しません。会社の許可を得て、会社が特定できない形にした「観点の対比」「架空の例と判定の型」「目線合わせの進行」「役割の線」を、実績と見本にします。会社の観点そのものと評価の結果は見せません。
2件目へのつなぎ方は二つです。同じ会社に、次の範囲(言葉の見直し→目線合わせ→面談の型→伴走→見直し。接続は人事制度の設計の条件で別に)か、他の役割の観点を提案するか。面接の評価基準を作った別の依頼側に、「社内の評価も同じ形で」と提案するか。どちらも、「観点をどう言葉にして、判定がどうそろい、面談で理由が伝わるようになったか」が具体であるほど通ります。2件目の取り方は2件目の取り方に、実績の書き方は事例の書き方に書いています。
まとめ
- 先に処遇との接続を含むかを確かめる。含むなら人事制度の設計の条件(経験・専門家・決めるのは会社)で。揃わないなら接続を範囲から外す
- 見せるのは観点の言葉・目線合わせ・伴走の三つ。「評価制度に詳しい」「シートが作れます」では選ばれない
- 見本は観点の対比・架空の例と判定・目線合わせの進行・面談の型・記録の型・役割の線を、会社が特定できない形で作る。架空の例と判定にいちばん時間を使う
- プロフィールに何を評価するかは会社・処遇との接続は会社と専門家・個人の評価に入らない・評価の結果を外で話さないを先に書く。「評価と報酬の連動設計」と書かない
- 入口はJDや要件や面接の案件の中で提案・紹介・プラットフォーム・担当者を選べる窓口の四つ。面接の評価基準を作った会社への提案が最も通る
- 最初は観点の言葉の見直しだけ・目線合わせの進行だけ・面談の型と練習だけと、処遇に触れない範囲で受け、「接続は別の範囲で」を書面に残す
- 受ける前に何を評価するかを決める人・接続の有無と条件・聞き取りと声の扱い・個人の評価に入らない・面談の役割・目線合わせの時間・終わりの定義・利益相反を確かめる
- 1件目は観点の言葉と目線合わせの記録と面談の型が残る形で終え、会社の観点と評価の結果は見せず、残さない
よくある質問
社内で作った評価シートを、見本にそのまま使ってよいですか
会社の観点そのものは、その会社が何を評価するかという内部の情報なので、許可があっても構造だけにします。見せるのは、会社の許可を得て、会社が特定できない形にした「観点を行動の言葉にした対比の型」「架空の例と判定の試し方」「目線合わせの進行」「面談の型」です。評価の結果、分布、個人の評価は一切使いません。許可が取れない場合は、架空の観点で作り直し、架空であることを明記します。現在の勤務先の観点や評価の情報の持ち込みには触れないでください。
「評価者研修をやってほしい」という募集しか見つかりません
評価者研修は、目線合わせの進行と面談の型と練習を含む範囲なので、小さく受ける型として合います。ただし、一般的な講義(評価の心構え、よくある偏り)だけの研修は、その会社の観点の言葉が直らず、判定はそろいません。「研修の中身を、御社の観点で架空の例を作って判定を話し合う形にしませんか。差が出た観点の言葉を直すところまでやります」と、研修を目線合わせに変えて提案します。観点が無い会社では、観点の言葉作りを先に提案します。
最初の1件の単価はどう決めればよいですか
「観点の数と役割の数」「評価者の人数(目線合わせと練習の時間)」「聞き取りの人数」「伴走の期間」で稼働が変わるので、一式いくらを先に置かず、工程から逆算します。会社の決定を待つ期間は稼働に含めません。処遇との接続を含む場合は、人事制度の設計として別に見積もります。1件目は観点の言葉の見直しか目線合わせの進行から入り、2件目で伴走に広げるときに見直す、という順が現実的です。相場は範囲と評価者の人数で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。考え方は単価の相場と考え方に書いています。