採用代行 / メガベンチャー
メガベンチャーの採用体制の作り方|社内に残す役割
ここでいうメガベンチャーは、従業員が数百名から数千名、専任の採用チームがあってリクルーターが複数名、採用は年に数十名から百名単位で新卒と中途の両方、職種はエンジニアとビジネスとコーポレートにまたがり、事業部が複数あって採用の権限が事業部に近く、知名度があって応募は来て、内製志向が強く、ツールと数字が揃っている会社です。この会社が採用代行を使うとき、決めるべきことは「代行に何を任せるか」ではなく、「量の波に合わせて伸縮できる体制の、芯を社内のどこに置くか」です。結論を先に書くと、社内に残す役割は「採用チームのリーダー」「事業部担当のリクルーター」「ハイアリングマネージャー」の三つで、リーダーは伸縮の設計と型の一式と全社の優先順位を持ち、事業部担当のリクルーターは要件と候補者体験の責任を持って代行の相手になり、ハイアリングマネージャーは要件の中身と見極めと決めることを持ちます。代行は、型の中で回る量の工程を、波に合わせて増減しながら持ちます。この規模の体制は、常に同じ人数で回す形ではなく、「芯は社内に固定し、伸縮する部分は代行で、型と記録は社内に残す」形にします。この記事では、三つの役割の中身と、芯と伸縮の分け方、代行に出す工程、波の前後ですることを整理します。失敗の形はメガベンチャーが採用代行で失敗するパターンに、大企業の体制は大企業の採用体制の作り方に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
この規模で、採用に関わる人の状態
体制を作る前に、この規模で採用に関わる人が、それぞれどんな状態にあるかを見ます。
| 誰 | 状態 | 採用に割ける時間の現実 |
|---|---|---|
| 採用チームのリーダー | 全社の採用の数と質に責任を持つ。人数は事業の波に追いつかない | 設計に使う時間が、量の対応で削られている |
| 事業部担当のリクルーター | 事業部ごとに付き、要件と候補者体験を持つ。スカウトから内定まで自分で回す | 波が来ると、スカウトと日程と連絡で埋まり、要件と候補者体験に手が回らない |
| ハイアリングマネージャー | 事業部の責任者か、その下の管理職。要件を持ち、面接をし、決める | 面接の時間は取れるが、要件を言葉にする時間と、見送りの理由を戻す時間は取っていない |
| 社内のエンジニアや現場の面接官 | 技術や実務の見極めを持つ。面接の数が多く、負担が偏る | 面接の枠が埋まり、日程が詰まる |
| 採用チームの運用担当 | 採用管理システム、媒体、イベント、数字の一枚を持つ | 型は頭の中にあり、書かれていない |
この表から、この規模で最も削られているのはリーダーの設計の時間とリクルーターの要件と候補者体験の時間で、最も書かれていないのは運用の型で、最も偏るのは面接官の負担です。体制は、この三つに合わせて、量の工程を代行に出してリーダーとリクルーターを芯の仕事に戻し、型を書き出して伸縮できるようにし、面接官の枠を管理する形で作ります。
社内に残す役割一:採用チームのリーダー
中身。伸縮の設計(どの工程を芯として社内に固定し、どの工程を波に合わせて代行で増減するか)。型の一式を作らせ、採用チームの場所に置く(採用管理システムの運用手順、連絡の決まり、スカウト文面の基準、事業部と職種の一覧、候補者への連絡の型、面接官の一覧)。全社の優先順位を週に一度、一枚にして代行に渡す。代行への依頼は採用チームを通す、と事業部に伝える。代行に渡す数字を決める。波が引くときに残すものを決める。
なぜ残すか。伸縮の設計と全社の優先順位は、採用チームのリーダーにしかできません。代行が設計すると代行の型で体制ができ、社内に型が残りません。事業部の権限が強い会社では、優先順位を採用チームが持たないと、代行が事業部の声の大きさで動きます。
時間の目安。最初に一度だけ、伸縮の設計と型の一式の骨組みと線を決める半日。その後は、週に一度の優先順位の一枚と、月に一度、代行のスカウトと記録を読む時間です。量の対応から離れることで、この時間を確保します。優先順位の場は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、体制の設計者の役割は大企業の採用体制の作り方に、定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に書いています。
社内に残す役割二:事業部担当のリクルーター
中身。担当する事業部の要件を、ハイアリングマネージャーと「半年後にやってほしいこと三つ」に落とし、代行に渡す。候補者体験の責任を持つ(型の中で代行が送ってよい連絡と、自分が確認する連絡の線を守る)。代行の相手になり、事業部からの依頼を受けて優先順位に上げる。スカウトの「誰に送るか」の基準と文面の例を代行に渡す。ハイアリングマネージャーの見送りの理由を、要件の言葉で代行に戻す。最初の二週間、代行を横に置いて同じ案件を回し、暗黙の決まりを書き出させる。
なぜ残すか。要件と候補者体験は、事業部を知っているリクルーターにしか持てません。代行に出すと、事業部が「代行が通した候補者が違う」と言い、候補者体験が社内の基準から外れます。リクルーターが代行の相手になることで、事業部が直接代行に頼む形を防げます。
時間の目安。波の前に、要件を落とす一、二時間と、代行を横に置く二週間。その後は、週に一度の代行との確認と、線の中の連絡の確認(その日のうちに返す)と、見送りの理由を戻す短い時間です。スカウトの送信、日程、連絡、記録は代行が持ち、リクルーターは要件と候補者体験と事業部との関係に戻ります。要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、スカウトの文面はスカウト文面の作成は代行に出せるかに、カジュアル面談はカジュアル面談は代行に出せるかに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、採用チームのリーダーが「芯として社内に固定する工程」と「波に合わせて代行で増減する工程」を、契約の前に紙で分けることです。相談で見ていると、内製の強い会社で体制が回らないところは、この線を引かずに「手が足りないから」と代行を入れ、リクルーターが代行に何を渡してよいか分からず、渡しても直し、直す時間が自分でやる時間を超えて「内製のほうが速い」で切っています。線を引いた会社では、リクルーターは「型の中の連絡と日程とスカウトの送信は代行、要件と候補者体験の線は自分」と分かっているので、渡すことに迷わず、二週間で代行が社内と同じ速さになっています。
順番としては、まずリーダーが半日で芯と伸縮の線と型の一式の骨組みを決め、次にリクルーターが担当の事業部の要件を落として代行を二週間横に置き、最後にハイアリングマネージャーに「要件の三つと見送りの理由を戻すこと」を伝えてから、代行の契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約してから線を引こうとすると、代行は型を知らずに動いて直され、立ち上がる前に切られます。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、内製の強い採用チームに入って型を書き出してきた担当者が、契約の前に線を一緒に引くところから入っています。
社内に残す役割三:ハイアリングマネージャー
中身。要件の中身を決める(半年後にやってほしいこと三つ。入る時点で持っていないと困ることと、半年で身につくことを分ける)。技術や実務の見極めを持つ(面接官のエンジニアや現場の面接官と分担する)。採るかどうかを決める。見送った候補者の理由を、要件の言葉でリクルーターに戻す。面接の枠を週に固定し、代行がその枠に候補者を入れられるようにする。代行への依頼は、直接ではなくリクルーターを通す。
なぜ残すか。要件の中身と見極めと決めることは、事業部にしかできません。代行が見極めまで持つと、面接官が「代行が通した候補者が違う」と言い、代行への信頼が崩れます。見送りの理由を戻すことで、代行のスカウトの基準が事業部の言葉に寄っていきます。
時間の目安。波の前に、要件を落とす一、二時間。その後は、面接の回数と、見送りの理由を戻す短い時間です。日程は代行がハイアリングマネージャーと面接官の枠に直接入れ、当日会うだけにします。枠を固定しないと、候補者が待たされて他社に決まります。エンジニア採用の切り分けはエンジニア採用を代行に出す判断基準に、面接官の負担は面接官トレーニングは代行に出せるかに、現場への説明は現場に採用代行の導入を説明するに書いています。
芯と伸縮の分け方と、代行に出す工程
三つの役割を社内に残したうえで、芯と伸縮の線と、代行に出す工程を決めます。
| 工程 | 芯(社内に固定)か伸縮(代行)か | 社内との線 | 波が引くときに残すもの |
|---|---|---|---|
| 伸縮の設計、全社の優先順位 | 芯 | リーダー | 設計の一枚、優先順位の型 |
| 要件、候補者体験の線、事業部との関係 | 芯 | リクルーター | 要件の紙、連絡の線の一覧 |
| 見極め、採るかどうか | 芯 | ハイアリングマネージャーと面接官 | 見送りの理由の記録 |
| 型の一式の書き出し | 伸縮(最初の二週間に代行が書き出す) | リクルーターが横で確認 | 型の一式 |
| スカウトの送信と追客 | 伸縮 | 「誰に送るか」の基準と文面の例はリクルーター | 文面と返信の傾向 |
| 候補者への連絡、日程、記録 | 伸縮 | 型の中は代行が送る。初回のスカウト、内定、条件に触れる連絡はリクルーターが確認 | 連絡の型、記録 |
| 採用管理システムの運用、進捗の一枚 | 伸縮 | 運用手順は型の一式のとおり | 運用手順、一枚の型 |
| 新卒の繁忙期の運営(説明会、受付、日程、面接官の予定) | 伸縮 | 学生への連絡の言葉は型の中 | 繁忙期の流れの一枚 |
| イベント、勉強会の受付と運営 | 伸縮 | 企画と登壇は社内 | 運営の型 |
芯と伸縮の分け方の要点は、「判断と関係は芯、型の中で回る量は伸縮」です。芯は社内の人数に関わらず固定し、伸縮は波の高さに合わせて代行の人数と稼働を増減します。伸縮の部分は、型が書かれていれば誰が入っても回るので、代行が替わっても、社内のリクルーターが増えても、同じ型で動けます。代行に渡す数字は、送信数と返信率ではなく、「要件に合う候補者への送信」「面接官が要件に合っていたと言った比率」「辞退の理由」にし、月に一度、リーダーが代行のスカウトと記録を読みます。採用管理システムはATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、スカウトの送信はスカウトの送信は代行に出せるかに、新卒の実務は新卒採用の実務は代行に出せるかに整理しています。
波の前と後で、何をするか
この規模の体制は、波の前と後の動きで決まります。波の前にすることは、リーダーが芯と伸縮の線を確かめ、リクルーターが担当の事業部の要件を落とし、代行を二週間横に置いて型を書き出させ、ハイアリングマネージャーと面接官の枠を固定することです。型の一式が前の波から残っていれば、二週間は数日に縮みます。
波の間は、週に一度の優先順位の一枚で代行の稼働の配分を動かし、線の中の連絡はその日のうちに返し、月に一度、代行のスカウトと記録を読みます。波が引くときは、型の一式、候補者の記録、スカウトの文面と返信の傾向、事業部ごとの要件の紙、繁忙期の流れの一枚を、採用チームの場所に残してから止めます。型は最初から採用チームの場所に置いて代行が更新する形にしておくと、止めた日にそのまま残ります。次の波では、同じ担当者に戻ってもらえるかを聞き、戻れるなら立ち上がりは数日、戻れなくても残した型を渡すところから始めます。残す資料は引き継ぎ資料に含める内容に、急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、増え方の段階ごとの作り方は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に書いています。
エラベルの見解
外に出してよいのは、型の一式の書き出し・スカウトの送信と追客・型の中の連絡・日程・記録・採用管理システムの運用・進捗の一枚・新卒の繁忙期の運営・イベントの受付と運営までで、「伸縮の設計と優先順位」「要件と候補者体験の線」「事業部との関係」「見極めと採るかどうか」「初回のスカウトと内定と条件に触れる連絡の確認」は社内に残します。この規模は採用チームがあるので、代行を「もう一人のリクルーター」として要件と事業部との関係まで持たせたくなりますが、代行が事業部と直接関係を持つと、リクルーターの役割が曖昧になり、波が引いて代行が抜けたときに事業部との関係も抜けます。代行は、リクルーターの後ろで型の中の量を持ちます。
担当する側から見ると、この規模で結果が分かれるのは、担当者が「内製の型に二週間で入り、書き出して、残す」ことをできるかです。「初日から動けます」と言って型を知らずに動く担当者は、直され、切られます。自分の型を持ち込んで社内の型を変えようとする担当者は、採用チームの反発を受けます。最初の二週間を社内のリクルーターの横で過ごし、暗黙の決まりを書き出して採用チームの場所に置き、三週目から社内と同じ速さで回し、波が引くときに型と記録を残して抜ける担当者は、次の波で「また来てほしい」と言われます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「最初の二週間は横で回させてください。型を書き出して残します」と言ってくる担当者を選べば、この形になります。
まとめ
- メガベンチャーで社内に残す役割は、採用チームのリーダー(伸縮の設計と型の一式と全社の優先順位)・事業部担当のリクルーター(要件と候補者体験の責任、代行の相手)・ハイアリングマネージャー(要件の中身と見極めと決めること)の三つ
- 体制は芯は社内に固定し、伸縮する部分は代行で、型と記録は社内に残す形にする。判断と関係は芯、型の中で回る量は伸縮
- 最初の一歩は、リーダーが半日で芯と伸縮の線と型の一式の骨組みを決め、代行への依頼は採用チームを通すと事業部に伝えること
- リクルーターは最初の二週間、代行を横に置いて同じ案件を回し、暗黙の決まりを書き出させる。要件と候補者体験の線は自分が持つ
- 代行に渡す数字は送信数と返信率でなく、要件に合う送信と面接官の評価と辞退の理由。月に一度、代行のスカウトと記録を読む
- 波が引くときは型の一式と記録を採用チームの場所に残してから止め、次の波は同じ担当者に戻ってもらえるかを聞く
よくある質問
リクルーターが「代行を横に置いて教える二週間が、いちばん忙しい時期に重なる」と言います
二週間を波の前に置くことが要点で、波の中で始めると教える時間が取れません。波が見えた時点(事業計画で増員が決まった時点、新卒の繁忙期の前)で契約し、波が来る前に二週間を済ませます。前の波の型が残っていれば、二週間は数日に縮みます。どうしても波の中で始めるなら、最初は「型の中で判断なく回る工程」(日程、型どおりの連絡、採用管理システムの入力)だけを渡し、スカウトと候補者体験に関わる工程は型が書き出されてから足します。急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、成果までの期間は成果が出るまでの期間の見立てに整理しています。
事業部ごとに別の代行を入れたほうが、事業部の要件に合いますか
事業部ごとに代行を分けると、要件には合いやすくなりますが、優先順位を採用チームが持てなくなり、型が事業部ごとに分かれ、波が引いたときに残るものがばらばらになります。この規模では、代行は一つにして、事業部担当のリクルーターがそれぞれ代行の相手になる形が、優先順位と型を一つに保てます。職種の性質が大きく違う場合(エンジニアと新卒など)は、同じ代行の中で担当者を分ける形を聞いてみてください。部門ごとに別の代行を入れる判断は大企業が採用代行で失敗するパターンに、大企業の部門をまたぐ工程と部門ごとの工程の分け方は大企業の採用体制の作り方に書いています。
波が引いた後、代行が持っていた候補者との関係はどうなりますか
候補者との関係は、契約の前に「会社の名前で連絡し、記録は採用チームの場所に置く」と決めておけば、代行が抜けても会社に残ります。スカウトに返信があったが今回は進まなかった候補者、辞退した候補者、次の機会に声をかけたい候補者の一覧と、最後の連絡の内容を、記録として残します。次の波で同じ担当者が戻れば、その一覧から再開でき、戻れなくてもリクルーターか次の代行が引き継げます。候補者の個人情報の扱いは、社内の決まりと法令の整理に沿い、個別の判断は専門家に確認してください。残す資料は引き継ぎ資料に含める内容に、個人情報の扱いは採用代行と個人情報保護法に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。