採用代行 / メガベンチャー

メガベンチャーが採用代行で失敗するパターン

公開 2026-09-22

ここでいうメガベンチャーは、従業員が数百名から数千名、専任の採用チームがあってリクルーターが複数名、採用は年に数十名から百名単位で新卒と中途の両方、職種はエンジニアとビジネスとコーポレートにまたがり、事業部が複数あって採用の権限が事業部に近く、知名度があって応募は来て、内製志向が強く「自分たちでできる」文化があり、ツールと数字が揃っている会社です。この会社が採用代行を使うのは、事業の拡大で量の波が来たとき、新卒の繁忙期、特定の職種のスカウトの強化、リクルーターの補充が採用チーム自身の採用で追いつかないときです。この状態で代行を使うと、大企業にも中小企業にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、メガベンチャーの失敗は「内製の型と速さと文化に、代行を最初から同じ水準で合わせようとする」ことから起きます。社内のリクルーターと同じ動きを最初から求め、事業部が直接頼み、候補者体験の確認で往復し、波ごとに入れ替え、数字で縛る。この五つが重なると、代行は立ち上がる前に「遅い」「合わない」で切られ、次の波でまた最初からになります。代行に出す前に、「立ち上がりの期間と型の一式」「窓口を採用チームに一本化する線」「候補者体験の線をどこまで代行に渡すか」「波が引いたときに何を残すか」の四つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。大企業の失敗は大企業が採用代行で失敗するパターンに、急成長の会社の失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。

失敗のパターン一:代行を「手」としか見ず、社内のリクルーターと同じ動きを最初から求める

症状。採用チームが「手が足りないから」と代行を入れ、初日から社内のリクルーターと同じ速さと質を求める。社内のチャットの速さ、採用管理システムの独自の運用、スカウト文面の言い回し、事業部ごとの呼び方、を代行が知らないまま動き、採用チームが「遅い」「言葉が違う」と直す。直す時間が自分でやる時間を超え、一か月で「内製のほうが速い」と切る。

原因。内製の型が強い会社ほど、暗黙の決まりが多く、それを言葉にしたことがありません。社内のリクルーターは何年もかけて身につけていますが、代行には初日から求めます。「手」として入れたので、立ち上がりの期間を設計していません。

先に打つ手。代行を入れる前に、「型の一式」を用意します。採用管理システムの運用手順、チャットでの連絡の決まり、スカウト文面の基準と例、事業部と職種の一覧と呼び方、候補者への連絡の型、面接官の一覧と予定の取り方。全部は書けないので、代行の最初の二週間を「社内のリクルーターの横で同じ案件を回す期間」と決め、その間に暗黙の決まりを代行が書き出す形にします。立ち上がりの期間を契約に入れ、その期間の速さで判断しません。採用管理システムはATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、スカウト文面はスカウト文面の作成は代行に出せるかに、成果までの期間は成果が出るまでの期間の見立てに整理しています。

失敗のパターン二:事業部が直接代行に頼んで、全部が最優先になる

症状。採用チームが窓口のはずが、事業部の責任者が代行に直接「この職種を急いで」と頼む。別の事業部も同じことをする。代行は複数の事業部から「最優先」を受け、どれを先にするか決められず、全部が中途半端になる。採用チームは「聞いていない」と言い、事業部は「代行に頼んだのに動かない」と言う。

原因。メガベンチャーは事業部の権限が強く、採用の優先順位も事業部ごとに持っています。採用チームが全社の優先順位を持っていないと、代行は事業部の声の大きさで動くしかありません。代行の側も、頼まれたら断りにくく、全部を受けます。

先に打つ手。代行を入れる前に、「代行への依頼は採用チームを通す」と事業部に伝え、採用チームが週に一度、全社の優先順位を一枚にして代行に渡す形にします。事業部からの直接の依頼は、代行が「採用チームに上げます」と返す決まりにします。優先順位の一枚には、職種ごとの「今週の順番」と「代行の稼働の配分」を書き、事業部にも見せます。優先順位を決める場は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、部門ごとの要件を一つの代行に乗せる失敗は大企業が採用代行で失敗するパターンに書いています。

エラベルの見解

同じ料金・同じ業務範囲でも、メガベンチャーで結果が分かれるのは、担当者が「内製の型に入る速さ」を持っているかどうかです。パターン一と二は、どちらも代行が社内の型と優先順位を持たないまま動かされたことから起きています。相談で見ていると、うまくいく担当者は、最初の二週間を「社内のリクルーターの横で同じ案件を回す」ことに使い、採用管理システムの独自の運用、チャットの速さ、スカウト文面の言い回し、事業部の呼び方を自分で書き出し、三週目から社内と同じ速さで動きます。書き出した型は採用チームに渡すので、次の代行や新しいリクルーターの立ち上がりにも使えます。

契約の前の面談で「最初の二週間、社内のリクルーターの方の横で回させてください。その間に型を書き出します」と言う担当者と、「初日から動けます」と言う担当者では、一か月後に残っているかどうかが違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、内製の強い会社の採用チームに入って型を書き出してきた担当者を、最初から選べます。

失敗のパターン三:候補者体験を守るための確認の往復で、速さが死ぬ

症状。採用ブランドを大事にする会社なので、候補者への連絡の一文ごとに採用チームの確認を通す決まりにする。代行はスカウト文面も面接の案内も辞退への返信も、送る前に確認を待つ。確認が溜まり、候補者への返事が遅れ、候補者体験を守るつもりの決まりが、候補者を待たせる。代行は「確認がないと送れない」と言い、採用チームは「確認する時間がない」と言う。

原因。候補者体験を守りたい気持ちは正しいのですが、「全部を確認する」と「速く返す」は両立しません。確認の線を引いていないので、全部が確認の対象になります。代行の側も、線がないので全部を上げるしかありません。

先に打つ手。候補者への連絡を「型の中で代行が送ってよいもの」と「採用チームが確認するもの」に分けます。日程の案内、受付の連絡、型どおりの辞退への返信、進捗の連絡は、型を一度確認したら代行が送ります。スカウトの初回の文面、内定の連絡、条件に触れる連絡、型から外れる返信は、採用チームが確認します。線を引いたら、確認の返事の期限(その日のうち、など)も決めます。候補者体験で最も傷つくのは、言葉遣いのわずかな違いではなく、返事が遅れることです。候補者への連絡は面接の日程調整は代行に出せるかに、カジュアル面談はカジュアル面談は代行に出せるかに、内定辞退が続くときは内定辞退が続くときに見直す3点に整理しています。

失敗のパターン四:量の波ごとに代行を入れ替えて、毎回立ち上がりからやり直す

症状。事業の拡大で量の波が来たときに代行を入れ、波が引いたら止める。次の波でまた代行を探し、別の会社か別の担当者が来て、また型の習得から始まる。前回の代行が書き出した型も、候補者の記録も、どこにもない。毎回、最初の一か月が立ち上がりで消え、波の前半を逃す。

原因。量の波に合わせて代行を増減させるのは、費用の判断として正しく、この規模の代行の使い方です。問題は、止めるときに「何を残すか」を決めていないことで、代行の手元にあった型と記録が契約と一緒に消えます。同じ担当者に戻ってもらう形も設計していません。

先に打つ手。契約の前に、「波が引いたら止める。止めるときに、書き出した型の一式、候補者の記録、スカウトの文面と返信の傾向、事業部ごとの要件の紙を、採用チームの共有の場所に残す」と決めておきます。型は代行の手元ではなく、最初から採用チームの場所に置いて代行が更新する形にします。次の波では、同じ担当者に戻ってもらえるかを聞き、戻れるなら立ち上がりは数日で済みます。戻れない場合も、残した型を渡すところから始めれば、最初の一か月は消えません。残す資料は引き継ぎ資料に含める内容に、やめる判断は採用代行をやめる判断のタイミングに、切り替えの引き継ぎは採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に書いています。

失敗のパターン五:送信数と返信率で管理して、採用ブランドを削る

症状。数字が揃っている会社なので、代行を「スカウトの送信数」「返信率」「一次面接の設定数」で管理する。代行は数字を守るために、要件に合わない候補者にも送り、文面を短くして数を増やし、返信率を上げるために条件を強めに書く。数字は達成されるが、候補者の間で「この会社のスカウトは雑だ」という評判が広がり、社内のリクルーターのスカウトの返信率まで下がる。

原因。数字で管理すること自体は正しいのですが、代行に渡す数字が「動かせる数字」(送信数、返信率)だけだと、代行はその数字を動かす最短の行動を取ります。採用ブランドは数字に出にくく、傷ついてから気づきます。

先に打つ手。代行に渡す数字を、「送信数と返信率」ではなく、「要件に合う候補者への送信数」「一次面接に進んだ候補者のうち、面接官が『要件に合っていた』と言った比率」「辞退の理由」にします。スカウトの文面は、社内のリクルーターの基準で「送ってよいもの」を型として渡し、型から外れる文面は確認の対象にします。月に一度、代行が送ったスカウトの一部を採用チームが読み、「自社のリクルーターが送るものとして恥ずかしくないか」で見ます。定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に、指標の設計は採用KPIの設計は代行に出せるかに、スカウトの送信はスカウトの送信は代行に出せるかに整理しています。

エラベルの見解

これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、採用チームのリーダーが「立ち上がりの二週間と型の一式」「代行への依頼は採用チームを通す線」「候補者への連絡のうち代行が送ってよい範囲」「波が引いたときに残すもの」「代行に渡す数字」の五つを決めることです。五つのパターンは、全部この五つのどれかが空いていることから起きています。立ち上がる前に切る失敗は期間と型がなく、全部が最優先になる失敗は線がなく、速さが死ぬ失敗は連絡の範囲がなく、やり直す失敗は残すものがなく、ブランドを削る失敗は数字が動かせるものだけだからです。

五つを決めるのに要るのは、採用チームのリーダーの時間で一度だけ、半日です。この半日を惜しんで「手が足りないから、とにかく動いて」と頼むと、代行は型を知らずに動いて直され、事業部の声で振り回され、確認で待ち、波が引いたら消え、数字だけを追ってブランドを削ります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「最初の二週間は横で回させてください。型を書き出して、御社に残します」と言ってくる担当者を選べます。

まとめ

よくある質問

採用チームが「代行を入れるより、リクルーターを一人採ってほしい」と言います

リクルーターを採ることと代行を使うことは、目的が違います。量の波が一時的で、波が引いたらリクルーターの仕事がなくなるなら、代行のほうが合います。波が続いて採用チームの人数そのものが足りないなら、リクルーターを採るべきで、その採用が終わるまでの間を代行でつなぐ形もあります。採用チームの反発は、「代行に取られる」より「代行を教える手間が増える」ことから来るので、立ち上がりの二週間と型の一式を採用チームと一緒に作り、型が次のリクルーターの立ち上げにも使えることを示すと、受け入れやすくなります。人事チームと代行の役割の重なりは大企業が採用代行で失敗するパターンに、担当を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに整理しています。

エンジニアの採用だけ代行に出したいのですが、技術の見極めはできますか

技術の見極めは、社内のエンジニアが持つべきで、代行には出しません。代行に出すのは、エンジニアの母集団への接点(スカウトの送信と追客、勉強会やイベントでの受付)、一次の日程、記録、候補者への連絡で、「誰に送るか」の基準と「技術の見極め」は社内が持ちます。エンジニアのスカウトは、技術の言葉が違うと返信が来ないので、社内のエンジニアが文面の基準と例を渡し、代行が型の中で送る形にします。技術の見極めまで代行に出すと、面接官のエンジニアが「代行が通した候補者が違う」と言い、代行への信頼が崩れます。エンジニア採用の切り分けはエンジニア採用を代行に出す判断基準に、スカウトの文面はスカウト文面の作成は代行に出せるかに書いています。

新卒の繁忙期だけ代行を使いたいです。毎年同じ会社に頼めますか

頼めます。そのために、最初の年に「型の一式」と「繁忙期の流れの一枚」を採用チームの場所に残し、翌年は同じ担当者に戻ってもらえるかを契約の前に聞きます。戻れるなら立ち上がりは数日で済み、戻れなくても残した型を渡すところから始められます。新卒の繁忙期は、説明会の運営、応募の受付、日程、連絡、面接官の予定の管理、といった量の工程が中心で、代行に向く一方、学生への連絡の言葉遣いは候補者体験に直接響くので、型の中で送ってよい範囲を先に決めます。新卒の実務は新卒採用の実務は代行に出せるかに、体制の作り方はメガベンチャーの採用体制の作り方に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。