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改善提案の伝え方|人事の副業で依頼側に改善を提案するなら、「事実→影響→選択肢→自分の範囲でやること」の順で、依頼側の決め方を否定せずに出す。「こうすべき」ではなく「こう選べる」の形にする

公開 2026-09-20

案件に入って数週間、依頼側の採用の進め方に気になる点がいくつも見えてきた。求人票の要件が多すぎる、面接官の予定が固まらず候補者を待たせている、記録が残っていない。直したほうがよいと思うが、外部の立場でどう言えば角が立たないかが分からない。結論を先に書くと、改善の提案は、「事実」「その影響」「選択肢」「自分の範囲でやること」の四段の順で伝えます。「こうすべきです」と結論から入ると、依頼側の決め方を否定する形になり、内容が正しくても抵抗を生みます。事実から入り、選択肢を並べ、選ぶのは依頼側という形にすれば、同じ内容が「一緒に考える材料」として受け取られます。提案の中身の作り方は提案のまとめ方に、出す時期は提案を出すタイミングに、通らなかったときの扱いは提案が通らなかったときにまとめています。

外部の提案が抵抗を生む構造

外部の担当者の提案は、社内の人の提案より抵抗を受けやすい構造があります。

構造依頼側の受け取り方
社内の事情を知らない人に言われた「うちの事情を知らないのに」。提案の内容以前に、立場への抵抗
今までのやり方を否定された「これまで自分たちがやってきたことが間違いだったと言われた」。担当者の過去の判断への否定に聞こえる
担当者が上長に説明する負担が増える提案を受け入れると、担当者は上長に「外部の人の提案でやり方を変える」と説明することになる
外部の担当者の範囲を超えている「そこまで頼んでいない」。契約の範囲の外に踏み込んだと映る
提案の根拠が担当者の実感と違う担当者は毎日見ている実感があり、外部の担当者の数週間の観察と食い違う

構造の要点は、「内容ではなく、立場と否定の形で抵抗が起きる」ことです。同じ内容でも、社内の人が言えば通り、外部の人が言えば通らないことがあります。それは内容の問題ではなく、伝え方が「否定」の形になっているか、「材料」の形になっているかの違いです。外部の立場の考え方は外部の立場だからできることに、依頼側の社内の構造は現場との調整に書いています。

四段の型

提案は、四つの段を順に伝えます。順番を変えると、抵抗の形になります。

伝えること要点
一、事実依頼側の記録で確認できる、いま起きていること「先月、面接の日程の提示から確定まで、平均で一週間以上かかっていました。その間に三名が他社で決まっています」自分の意見や評価を入れない。依頼側の記録の数字か、記録に残る事実だけ
二、影響その事実が、依頼側の採用にどう効いているか「面接に進んだ候補者のうち、日程の理由で辞退した割合が、他の理由より多くなっています」「問題です」と言わず、影響を事実として並べる
三、選択肢取りうる手を、二つか三つ。それぞれの手間と効果「A:面接官の枠を週に固定する。B:候補者に最初から複数の候補日を提示する。C:現状のまま、辞退を許容する」「現状のまま」も選択肢に入れる。選ぶのは依頼側
四、自分の範囲でやること依頼側の判断に関わらず、自分の範囲でできること「Bは私の範囲でできるので、来週から始めます。Aはご判断をお願いします」依頼側の判断を待たずに動く部分を示す。提案が「頼みごと」だけにならない

型の要点は、「三」の選択肢に「現状のまま」を入れることです。現状を選択肢に入れると、担当者は「今のやり方も選べる」と感じ、否定された形になりません。そのうえで、現状の影響を事実で見せているので、担当者は自分で「変えたほうがよい」と判断できます。「こうすべき」と言われて変えるより、自分で選んで変えるほうが、担当者は社内で説明しやすく、定着もします。提案の一枚の作り方は提案のまとめ方に整理しています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「提案は、結論を先に、はっきり言うべきだ」というものです。報告なら結論が先でよいのですが、提案は違います。外部の担当者の提案で結論を先に言うと、担当者はその結論に賛成か反対かを、事実を見る前に決めます。反対と決めた後に事実を見せても、反対の理由を探す読み方になります。事実を先に見せ、影響を見せ、担当者が「変えたほうがよい」と自分で思った後に選択肢を出せば、担当者は選ぶ側に立てます。

見ていて差がつくのは、「一」の事実を依頼側の記録から取っているかです。自分の観察や印象で「日程が遅い」と言うと、担当者の実感と食い違い、「そんなことはない」で終わります。依頼側のATSの記録で「提示から確定まで平均でこれだけ」と示せば、担当者は自分たちの記録なので否定できません。エラベルでは、担当者が依頼側に提案するとき、事実を依頼側の記録から取り、選択肢に現状を含める形をお願いしています。この形の提案は、通る通らないに関わらず、依頼側から「一緒に考えてくれる人」と受け取られています。

事実の出し方

四段の最初の「事実」は、提案の土台です。出し方で、提案の受け取られ方が決まります。

出し方内容
依頼側の記録から取るATS、媒体の管理画面、依頼側の共有の記録。自分のメモや印象ではなく
数字か、記録に残る出来事で「多い」「遅い」ではなく、「平均で〇日」「〇件中〇件」。数字が無ければ、「〇月〇日に〇〇が起きた」という出来事
期間を区切る「先月」「この三か月」のように、いつの事実かを示す
評価の言葉を入れない「問題」「遅い」「足りない」は評価。「〇日かかっている」「〇件辞退している」は事実
依頼側の社内の人を責める形にしない「面接官の予定が固まらない」ではなく「日程の提示から確定までに〇日かかっている」。人ではなく工程で書く
自分が把握していない部分は把握していないと言う「面接の内容は私には見えていないので、日程の部分だけの事実です」

出し方の要点は、「人ではなく工程で書く」ことです。「面接官が遅い」と書けば、面接官への批判になり、担当者は面接官を守る側に立ちます。「提示から確定までに時間がかかっている」と工程で書けば、誰の責任でもなく、工程の問題として扱えます。事実の集め方は現状把握のしかたに、事実から課題を取り出す方法は課題の言語化に書いています。

選択肢の作り方

「三」の選択肢は、依頼側が選べる形にします。一つだけ出すと、それは提案ではなく要求になります。

選択肢の要素内容
数は二つか三つ一つは要求、四つ以上は選べない
現状のままを含める「変えない」を選べることで、担当者は否定されたと感じない
手間と効果を並べる各選択肢に、依頼側の手間(誰が何をするか)と、見込まれる効果を添える
自分の範囲で完結するものを一つ入れる依頼側の判断が要らない選択肢があれば、提案が「頼みごと」だけにならない
段階を付ける「まずBを試し、効果を見てAを検討する」のように、小さく始める道を示す
依頼側の過去のやり方を否定しない「以前は〇〇でうまくいっていたが、いまは状況が違う」のように、過去を否定せずに変化で説明する

作り方の要点は、「自分の範囲で完結するものを一つ入れる」ことです。すべての選択肢が依頼側の判断を要するものだと、担当者は「外部の人に頼みごとをされている」と感じます。「これは私の範囲でできるので始めます」という選択肢があれば、提案は「一緒にやる話」になります。自分の範囲で動く部分の切り出し方は提案が通らなかったときに、範囲の線は受ける範囲の決め方に整理しています。

口頭と文面の使い分け

提案は、口頭で出すか、文面で出すかで、受け取られ方が変わります。両方を使います。

場面使い方理由
最初に切り出す定例の終わりに口頭で、短く。「一つ、日程の件で気づいたことがあります。次回、整理して持ってきてよいですか」いきなり文面を送ると、担当者は身構える。口頭で予告し、了解を取る
提案の本体文面で一枚。四段の型で担当者が社内に回せる。口頭だけだと、担当者が上長に説明するときに再現できない
文面を渡すとき定例か個別の打ち合わせで、口頭で説明しながら渡す文面だけ送ると、読まれないか、読み方が固定される
反応を聞く口頭で、その場で。「どこが引っかかりますか」文面での反論は硬くなる。口頭のほうが本音が出る
決まったこと議事録に文面で。「〇〇を試すことになった」「〇〇は保留」記録に残す。議事録の残し方
通らなかったとき文面の提案は、議事録に添えて残す後で取り出せる

使い分けの要点は、「口頭で予告し、文面で本体を渡し、口頭で反応を聞く」ことです。文面だけだと硬く、口頭だけだと残らない。予告と反応を口頭に、本体と記録を文面にすると、担当者は身構えず、社内にも回せます。依頼側との連絡の型はメールの書き方と運用に書いています。

依頼側の社内の人を巻き込む形

提案の内容が、依頼側の社内の人(面接官、現場、経営者)に関わるとき、担当者だけに伝えても進みません。巻き込む形を考えます。

関わる人巻き込み方
面接官担当者を通して、面接官の負担が減る形で伝えてもらう。「面接官の予定の組み直しが無くなる」のように、面接官の利益として
現場の部署担当者と一緒に、現場の困りごと(いつ面接か分からない、候補者の情報が来ない)を聞き、それを解決する形で提案する
経営者や上長担当者が説明できる一枚を用意する。自分が直接説明するのは、担当者が求めたときだけ
依頼側の情報管理や法務提案が情報の扱いや契約に関わるなら、担当者を通して事前に確認してもらう
依頼側の別の外部の担当者範囲が重なるなら、担当者を通して調整する。直接の交渉はしない

巻き込む要点は、「担当者を通す」ことです。外部の担当者が面接官や経営者に直接提案すると、担当者を飛び越えたことになり、担当者の立場を悪くします。担当者が社内で説明できる材料を渡し、担当者から出してもらう。担当者が「一緒に説明してほしい」と言ったときだけ、同席します。依頼側の社内での動き方は経営者直下で動くとき現場との調整に整理しています。

伝えた後にやること

提案を伝えた後、通っても通らなくても、やることがあります。

結果やること
通った議事録に「決まったこと」として残す。自分の範囲の部分はすぐ始める。依頼側の側の部分は「誰がいつまでに」を決める。結果を次の報告で見せる
一部が通った通った部分を始め、通らなかった部分は「保留。理由」で残す
保留になった理由を一つ聞き、記録に残し、再提案の条件を書く。提案が通らなかったとき
通らなかった同じ。自分の範囲でできる部分を進める
反応が無い一度だけ「先日の件、ご判断の時期を教えていただけますか」と確認する。二度目は催促になる
結果が出た通った提案の結果を、稼働報告の「状態の変化」に書く。「〇月の提案で〇〇を始め、〇〇が変わった」。稼働報告のフォーマット

やることの要点は、「通った提案の結果を報告で見せる」ことです。提案が通って終わりではなく、結果が出て初めて、担当者は「提案を受け入れてよかった」と社内で言えます。結果が見えれば、次の提案は通りやすくなります。結果が出なかった場合も、「〇〇を試したが変化は無かった。次は〇〇を」と報告すれば、担当者は「試して分かったこと」として扱えます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、提案が通る人と通らない人の差は、提案の内容の質より、伝える形にあります。通る人は、事実を依頼側の記録から取り、選択肢に現状を含め、自分の範囲で動く部分を示し、担当者が社内で説明できる形にしています。通らない人は、正しい結論を先に言い、一つの案を求め、担当者が上長に説明する材料を渡していません。内容が同じでも、後者は「外部の人に指図された」と受け取られます。

順番として、事実を依頼側の記録から集め、影響を事実として並べ、現状を含む二つか三つの選択肢を作り、自分の範囲でやることを添え、口頭で予告して文面で渡し、口頭で反応を聞き、結果を報告で見せる。この順番で、外部の提案は「指図」ではなく「材料」になります。エラベルでは、依頼側が担当者を選ぶとき、「提案を押し付けない人」を求めている場面が多く、選ばれる担当者は、判断を依頼側に返す形で提案しています。提案の目的は、通すことではなく、依頼側が良い判断をできる材料を渡すことです。

まとめ

よくある質問

気になる点が多すぎて、どれから提案すればよいか分かりません

一度に一つだけにします。複数を出すと、担当者はどれから考えればよいか分からず、全部が保留になります。選ぶ基準は、「事実が依頼側の記録で示せる」「自分の範囲で一部を進められる」「効果が数週間で見える」の三つを満たすものです。一つが通って結果が出れば、次の提案は通りやすくなります。課題を一つに絞る方法は課題の言語化に、最初の数週間の進め方は早い段階で成果を出すに書いています。

担当者から「気づいたことは何でも言ってほしい」と言われています

言ってほしいと言われても、形は四段の型で出します。「何でも」と言われて、思いついた順に口頭で並べると、担当者は受け止めきれず、結局どれも進みません。「気づいたことを整理して、次回一つずつ持ってきます」と返し、一つずつ、事実と選択肢の形で出します。担当者の「何でも」は、提案を歓迎するという意味で、形を省いてよいという意味ではありません。

提案の内容が、担当者自身のやり方を変えることになります

担当者のやり方を直接指摘する形は避け、工程の事実として出します。「担当者の返信が遅い」ではなく、「候補者からの問い合わせに対する返信までの時間が、平均で〇日になっている」と工程で書き、選択肢に「一次返信を私の範囲に入れる」を含めます。担当者は、自分のやり方を否定されたのではなく、工程の分担を選べる形として受け取れます。範囲の広げ方は次の案件へ広げるに整理しています。