人事副業 / 研修講師
研修講師で副業を始めるには|最初の1件の取り方
社内で研修の講師をしてきた。面接官研修、評価者研修、新任管理職の研修。設計し、登壇し、翌週の現場を見てきた。この経験を副業で使えないか。そう思って募集を見ると、「研修講師」の案件はあるのに、応募者は人前で話すのが得意な人ばかりで、自分の何を見せれば選ばれるのかが分からない。「研修の講師経験があります」「人前で話すのが得意です」では、話がうまい人にしか見えないからです。結論を先に書くと、最初の1件を取るには、「受講者が研修の翌週に何をしていれば成功かから設計し、架空の例で演習を作り、講師が話す時間を半分以下にして受講者に答えさせ、最後に受講者自身に翌週の一つを言ってもらい、翌週から一か月の現場で使われたかを確かめた」と、設計と演習と現場の三つで見せます。見本はできるようになることの型と進行表と演習の素材と受講者の一枚と事前事後の確認の型で作り、入口は、面接や評価の案件の中で提案、紹介、副業のプラットフォーム、担当者を選べる窓口の四つで、最初は「一回の面接官研修だけ」「演習と進行表の設計だけ」「社内講師への同席だけ」と小さく受け、受ける前にできるようになることと教材の権利と法令に関わる内容の扱いと評価に使わないことを確かめ、最初の1件を「進行表と演習と現場での確認の記録が残る形」で終えて2件目につなげます。案件の型と求められる経験は研修講師の副業案件に、1案件の流れは研修講師の副業の実務に、研修担当の経験の売り方は研修担当が副業でできることに書いています。ここでは「最初の1件の取り方」に絞ります。
経験を棚卸しする:設計・演習・現場
依頼側が読むのは、「話がうまいか」ではなく、「受講者が研修のあと、現場でできるようになるか」です。社内の経験を三つに分けて書き出します。
| 項目 | 書き出すこと | 依頼側が読むこと |
|---|---|---|
| 設計 | 「翌週、受講者が何をしていれば成功か」をどう決め、教える順番をどう絞ったか。何を削ったか | 話す内容からではなく、できるようになることから設計できるか |
| 演習 | どういう架空の例で、受講者に何を書かせ、どう見せ合わせたか。講師が話す時間と演習の時間の配分 | 講義ではなく、受講者に答えさせる研修を作れるか |
| 現場 | 翌週から一か月の現場で、受講者の行動がどう変わったかを、上司の観察や記録でどう確かめ、次の回で何を直したか | 当日の満足度ではなく、現場の変化で仕事をしているか |
いちばん差がつくのは三つ目です。「面接官研修を〇回実施しました」ではなく、「研修のあと、面接の記録に事実と所感が分かれて書かれる率を上司に見てもらい、変わらなかった項目の演習を次の回で増やした」と、確かめたことと直したことの組で書きます。数字は会社の許可の範囲で。数字の見せ方は数字で語るに、実績の示し方は実績の示し方に書いています。
見本を作る:できるようになることの型・進行表・演習の素材・受講者の一枚・確認の型
研修講師は、当日を見せられないので、設計の文書を見本にします。五つを、会社と受講者が特定できない形で、演習の例は架空で作ります。
| 見本の要素 | 作り方 | 注意 |
|---|---|---|
| できるようになることの型 | 「研修の翌週、受講者が〇〇している」の形で、面接官研修なら「事実と所感を分けて記録している」「聞いてはいけないことを聞いていない」など、行動の言葉で三つまで | 「意識が高まっている」と書かない |
| 進行表 | 分単位。最初の五分(翌週の姿、評価に使わないこと)、講師が話す(短く)、演習、見せ合い、二つ目、最後の五分(受講者が翌週の一つを書いて言う)。講師が話す時間の合計を欄外に書く | 講義が半分を超える進行表にしない |
| 演習の素材 | 架空の候補者の経歴と面接のやり取りの短い例、架空の部下の一期の行動、など。受講者が型を使って書ける形 | 実在の人の例を使わない。架空と明記 |
| 受講者の一枚 | できるようになること、型(一つか二つ)、演習の欄、最後に「翌週、私が一つ変えること」の欄 | 分厚い資料にしない |
| 事前と事後の確認の型 | 事前(いまの記録の見本の提出か短い質問)、当日の最後(翌週の一つ)、翌週から一か月(上司の観察の項目、記録の確認の項目) | 満足度のアンケートだけにしない |
見本が一組あれば、依頼側は「この人は話す人ではなく、現場を変える研修を設計する人だ」と読みます。見本の作り方はポートフォリオの作り方に、面接官の育成の型は面接代行の副業案件に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、研修講師の最初の1件は、「話がうまい人」ではなく「進行表の欄外に『講師が話す時間の合計』を書いている人」に来ます。依頼側の多くは、過去に研修を頼んで、当日は良かったが現場が変わらなかった経験を持っています。見本の進行表で、講師が話す時間が半分以下で、演習と見せ合いが長く、最後の五分が受講者の時間になっていれば、依頼側は「前の研修と違う」と読みます。エラベルで担当者を選ぶ企業も、講師の話しぶりより、「受講者に答えさせる設計か」を見ています。受ける側がその場で使える判断としては、見本の進行表を作ったら、講師が話す時間を数え、半分を超えていたら演習に置き換えてから見せること。数字の入った進行表が、設計で仕事をする人の印です。
プロフィールに書くこと
| 書くこと | 書き方の形 | 書かないこと |
|---|---|---|
| できる範囲 | 「面接官・評価者・採用担当の立ち上げ・新任管理職の人事の基礎の研修の、できるようになることからの設計・架空の例での演習・進行・翌週から一か月の現場での確認・次の回の直し。内容の決定と受講者の選定は会社」 | 「研修講師全般」「講演」 |
| 設計 | 「研修の翌週、受講者が何をしていれば成功かから逆算して、教えることを絞る」 | 「豊富なコンテンツ」 |
| 演習 | 「講師が話す時間は半分以下。架空の例で受講者が手を動かし、互いに見せ合う」 | 「分かりやすい講義」 |
| 現場 | 「最後に受講者自身が翌週の一つを決め、翌週から一か月の現場で使われたかを上司の観察と記録で確かめ、次の回を直す」 | 「満足度〇%」 |
| 結果 | 「〇〇を確かめて、〇〇が変わった(記録の書き方が変わった、次の回で演習を足した)」を二〜三組 | 「〇回登壇」だけ |
| 線 | 「内容の最終決定は会社。法令に関わる内容は専門家が講師か監修。研修の様子を評価に使わせない。他社の教材を写さない。効果を保証しない」 | 何でも教えます |
止まりやすいのは、「研修講師全般」「講演」と書くときです。法令に関わる研修や、専門外の内容の案件が来て、単独で法令を教える形に引っ張られます。プロフィールの書き方はプロフィールの書き方に書いています。
最初の1件が見つかる四つの入口
| 入口 | 向く人 | 進め方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 面接や評価の案件の中で提案 | すでに面接代行や評価制度の案件を持っている | 面接官の記録がばらつく、評価者の判定が割れる、が見えたとき、「面接官(評価者)の方に、型を使う演習の研修を一回」と提案 | 代行や設計の範囲と混ぜない。別の見積もりに |
| 元の勤務先や知人の紹介 | 前職や取引先に、面接官や評価者がばらばらで困っている会社を知っている | 「一回、面接官研修。設計と当日と翌週の確認まで」と範囲を絞って提案 | 現在の勤務先の教材や事例を持ち込まない |
| 副業のプラットフォーム | まず件数を見て選びたい | 「研修講師」の募集に、見本(進行表と演習の素材)を付けて応募。募集文で「できるようになること」「教材の権利」「法令に関わる内容か」を見る | 「ハラスメント研修」「労務研修」を単独で求める案件は、専門家と組む形に直すか避ける |
| 担当者を選べる窓口への登録 | 条件が合うときだけ受けたい | 登録して、見本と対応できる研修の種類を出しておく | 窓口の仕組み(誰が何を決めるか)を確かめる |
最も通るのは、いちばん上の入口です。面接代行で面接官のばらつきを見ている会社は、研修の「できるようになること」がすでに具体です。案件の探し方は案件の探し方に、紹介の頼み方は紹介を頼むに書いています。
小さく受ける:一回の面接官研修だけ・設計だけ・社内講師への同席だけ
最初の1件は、連続の研修や全社の研修ではなく、小さい範囲で受けます。
| 小さく受ける型 | やること | 見せられる結果 | 次につなぐ提案 |
|---|---|---|---|
| 一回の面接官研修だけ | できるようになることを会社と決め、設計し、一回登壇し、翌週から一か月の現場での確認まで | 進行表、演習、翌週の行動の変化の記録 | 「評価者の方にも同じ形で」→別の研修へ |
| 演習と進行表の設計だけ | 会社の講師が行う研修の、演習の素材(架空)と進行表と受講者の一枚を作る | 設計の一式。講師が使える状態 | 「初回は同席して直します」→同席へ |
| 社内講師への同席だけ | 社内の講師が行う研修に同席し、進行表に沿って直す点を渡す | 直す点の記録と、二回目の変化 | 「演習の素材を作り直します」→設計へ |
止まりやすいのは、小さく受けたのに、「ハラスメント研修も」「労務の基礎も」と、法令に関わる内容が流れてくるときです。「法令に関わる内容は専門家が講師か監修に」を書面に残します。
受ける前に確かめること
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| 研修の翌週、受講者が何をしていれば成功か(行動の言葉)を会社が決めるか | 「意識を高める」研修にしないため |
| 受講者の選定と人数。事前に受講者の状態を確かめる方法(記録の見本、上司への聞き取り) | 一律の内容にしないため |
| 教材の権利(会社のものか、自分のものか、他で使えるか)。会社の既存の教材の中身 | 他で使えない、または他社の教材を写す形を避けるため |
| 法令に関わる内容(労務、ハラスメント、聞いてはいけない質問の線)は、専門家が講師か監修に入るか | 単独で法令を教えないため。個別の判断は専門家にご確認ください |
| 研修の様子を評価に使わないこと。使うなら会社が受講者に事前に伝えること | 受講者が本音で答える場を守るため |
| 翌週から一か月の現場での確認を、誰がどう行うか(上司の観察、記録) | 当日で終わらないため |
| 評価の基準(当日の満足度か、翌週の行動か。単発の登壇なら当日まで) | 単発なのに効果で評価されないため |
| 演習の例は架空で作ること。実在の候補者や社員の事例を使わないこと | 個人情報と、他社の内情の持ち込みを避けるため |
確かめる順は副業で法令違反をしないためにに、利益相反の見分け方は本業と利益相反になる案件に、条件のすり合わせは条件のすり合わせに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、受ける側の「最初の1件は、頼まれた内容を何でも話せば実績になる」というものです。実際には、できるようになることが決まっていない研修は、当日の満足度は高くても現場が変わらず、二回目は来ません。そして「人事のことなら何でも」で法令に関わる研修を単独で受けると、間違いが出たときの責任を負えません。それは実績ではなく、話せない経験になります。同じ1件目でも、「面接官研修を一回。翌週に事実と所感を分けて記録していることが成功。翌週から一か月、上司の方に記録を見てもらいます」と、できるようになることと現場での確認を含めて受けた人は、1件目の終わりに「進行表と演習」「翌週の行動の変化の記録」が残り、それが次の研修と次の会社への提案の材料になります。エラベルで長く続いている講師は、例外なく、契約前に「翌週、受講者が何をしていれば成功か」を会社と決めています。受ける側がその場で使える判断としては、1件目の提案の最初の行に「成功の定義:研修の翌週、受講者が〇〇している」と書くこと。行動で成功を定義した提案が、続く案件を呼びます。単価の考え方は単価の相場と考え方に書いています。
最初の1件の終わらせ方と2件目へのつなぎ方
1件目は、「進行表と演習と現場での確認の記録が残る形」で終えます。渡すものは、できるようになることの型、進行表、演習の素材(架空)、受講者の一枚、事前と事後の確認の型、当日の記録(事実のみ、個人が特定されない形)、翌週から一か月の現場での確認の記録、次の回で直す点、です。教材の権利は契約に沿って扱い、受講者の名簿と事前の確認の回答と演習の提出物は自分の手元に残しません。会社の許可を得て、会社と受講者が特定できない形にした「進行表」「演習の素材(架空)」「確認の型」と「翌週の行動の変化」を、実績と見本にします。
2件目へのつなぎ方は二つです。同じ会社に、次の受講者(別の面接官、評価者)、別の研修(面接官→評価者)、社内講師の育成、教材の型作りを提案するか。面接代行や評価制度の案件を持つ別の会社に、面接官や評価者のばらつきが見えたとき、「一回の研修を」と提案するか。どちらも、「翌週、受講者が何をするようになったか」が具体であるほど通ります。2件目の取り方は2件目の取り方に、実績の書き方は事例の書き方に書いています。
まとめ
- 見せるのは設計・演習・現場の三つ。「講師経験があります」「人前で話すのが得意」では選ばれない
- 見本はできるようになることの型・進行表(講師が話す時間の合計を欄外に)・演習の素材(架空)・受講者の一枚・事前事後の確認の型を、会社と受講者が特定できない形で作る
- プロフィールにできるようになることから設計・話す時間は半分以下・翌週から一か月を確かめる・内容の決定は会社・法令は専門家と・評価に使わせない・他社の教材を写さない・効果を保証しないを書く。「研修講師全般」「講演」と書かない
- 入口は面接や評価の案件の中で提案・紹介・プラットフォーム・担当者を選べる窓口の四つ。面接代行で面接官のばらつきを見ている会社への提案が最も通る
- 最初は一回の面接官研修だけ・演習と進行表の設計だけ・社内講師への同席だけと小さく受け、「法令に関わる内容は専門家と」を書面に残す
- 受ける前に成功の定義(行動の言葉)・受講者の状態の確認・教材の権利・法令の扱い・評価に使わない・現場での確認の方法・評価の基準・演習は架空を確かめる
- 1件目は進行表と演習と現場での確認の記録が残る形で終え、受講者の情報を残さず、次の受講者か別の研修か別の会社につなぐ
よくある質問
社内で使っていた研修の教材を、見本にそのまま使ってよいですか
会社の許可の範囲で、会社と受講者が特定できない形にし、会社の固有の情報と実在の事例を除いてから、構造(できるようになることの型、進行表、演習の形、確認の型)を使います。教材の中に他社の教材や書籍の図や文章が入っている場合は、権利の問題があるので使いません。演習の素材は、架空の例で作り直し、架空であることを明記します。現在の勤務先の教材や社員の事例の持ち込みには触れないでください。
「新任管理職の研修を、労務の基礎も含めて一日で」と言われました
労務と法令に関わる部分(労働時間、休暇、契約、ハラスメントなど)は、専門家(社会保険労務士、弁護士など)が講師か監修に入る形に直します。「目標設定、面談、評価の流れと型の部分は私が設計と進行を担い、労務と法令の部分は専門家の方に。一日の構成は一緒に組みます」と、内容で分けて提案します。専門家なしで労務を教えることを求める会社では、その部分は受けません。個別の判断は専門家にご確認ください。
最初の1件の単価はどう決めればよいですか
「設計(できるようになることの整理、受講者の状態の確認、演習、進行表、教材)」「当日(準備と本番)」「翌週から一か月の現場での確認」「次の回の直し」を分けて見込み、当日の時間だけで見積もりません。教材の権利(会社のものか、自分のもので他でも使えるか)で単価は変わります。1件目は一回の面接官研修か設計だけから入り、2件目で別の研修や社内講師の育成に広げるときに見直す、という順が現実的です。相場は範囲と回数と人数と教材の権利で幅が大きく、公開されている案件でも一律ではありません。考え方は単価の相場と考え方に書いています。