人事副業 / 採用担当
採用担当が副業でできること|経験の棚卸しと売り方|採用担当の経験は「募集から入社までの全工程を、自分の手で、同時に、回してきた」型で売れる。売れるのは、工程ごとの実務そのもの、工程の間の詰まりを見つける目、現場と候補者の両方への連絡の型、一人で回すための段取りの四つ。「採用をやっていました」ではなく、「工程のどこを頼まれても、翌週から回せる」と売る
企業の採用担当として、求人票を書き、媒体に出し、スカウトを送り、応募者に連絡し、日程を組み、面接に同席し、内定を出し、入社の準備をしてきた。この経験は、副業で売れるのか。採用担当の仕事は幅が広く、「何でもやってきた」ことが、かえって何を売ればよいか分からない原因になります。結論を先に書くと、採用担当の経験は、「募集から入社までの全工程を、自分の手で、同時に、回してきた」型で売れます。売れるのは、「工程ごとの実務そのもの」「工程の間の詰まりを見つける目」「現場と候補者の両方への連絡の型」「一人で回すための段取り」の四つです。人事の部門が小さい会社の副業案件は、その多くが「工程の一部を、すぐに、手を動かして回してほしい」というもので、採用担当の経験はその依頼に最も近いところにあります。「採用をやっていました」ではなく、「工程のどこを頼まれても、翌週から回せる」と売ります。スカウトを軸にした社内リクルーターの売り方は社内リクルーターが副業でできることに、新卒採用の経験は新卒採用担当が副業でできることに、採用マネージャーの経験は採用マネージャーが副業でできることにまとめています。
この経歴の何が売れるか
採用担当の経験を、副業の案件の形に置き換えた棚卸しです。在籍した会社の採用の内情は含めず、「型」として抜き出します。
| 採用担当の経験 | 副業の案件への置き換え | 依頼側にとっての価値 |
|---|---|---|
| 求人票を書き、媒体に出してきた | 求人原稿の作成と媒体の運用 | 求人票を書く時間がなく、古い原稿を出し続けている依頼側が多い |
| スカウトを送り、返信を追ってきた | スカウトの文面と送信と追客の運用 | スカウトを送る時間がない依頼側が多い |
| 応募者に連絡し、日程を組んできた | 応募者への連絡と日程調整の代行 | 連絡が遅れて候補者が離れる依頼側が多い |
| 面接に同席し、一次の面接を担ってきた | 一次の面接の代行、面接の記録 | 面接に出る人がいない依頼側が多い |
| 内定から入社までの準備をしてきた | 内定の後の連絡と入社の準備の運用 | 内定の後の対応が遅れて辞退される依頼側が多い |
| 全工程を一人で同時に回してきた | 工程の間で何が詰まるか(求人票が古くて応募が来ない、連絡が遅くて辞退される)を見つけ、先に手を打つ | 詰まりの場所が分からず、媒体を変え続ける依頼側が多い |
| 現場の管理職と候補者の両方に連絡してきた | 現場には「この候補者をいつまでに見てほしい」、候補者には「次はこう進む」と、両方が動く連絡の型 | 現場と候補者の間で連絡が止まる依頼側が多い |
| 一人で複数の募集を段取りしてきた | 週の中で、どの工程を、どの順番で、どれだけの時間で回すかの段取り | 担当者が一人で、段取りがなくて溺れている依頼側が多い |
売れるものの要点は、「工程の実務を、頼まれた翌週から回せる」ことです。人事の副業の案件で最も多いのは、「担当者が足りない」「この工程だけ誰かにやってほしい」という依頼で、そこで求められるのは設計や助言ではなく、手を動かして回す力です。採用担当の経験は、その依頼にそのまま応えられます。そのうえで、全工程を一人で回してきた人は、頼まれた工程の前後で何が詰まっているかが見え、「連絡の代行を頼まれたが、求人票が古くて応募が来ていない」と気づけます。この目が、実務だけの担当者との差になります。求人原稿の案件は求人原稿のライティングの副業案件に、スカウトの案件はスカウト代行の副業案件に、面接の案件は面接代行の副業案件に書いています。
売りにくい点とその扱い
採用担当の転身で売りにくい点は三つあり、扱い方があります。
| 売りにくい点 | 依頼側の懸念と自分の懸念 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 「何でもできる」は何も伝わらない | 「採用を全部やっていました」と言われても、依頼側は何を頼めばよいか分からない。自分でも得意な工程を一つに絞れない | 工程を並べ、「翌週から回せる工程」と「得意な工程」を分けて示す。最初の案件は得意な工程一つで入り、全工程が見えることは後から効かせる |
| 自社の看板の有無 | 本業では会社の名前で候補者が返信していた。副業では依頼側の名前で、知らない会社の名前で動く | 「知らない会社の名前で候補者を動かす」技術は、本業の経験に無いことを認め、文面と連絡の型を依頼側の会社に合わせて作り直す前提で入る |
| 本業との重なり | 本業でも採用をしていて、同じ職種・同じ媒体で依頼側の採用をすると、候補者と情報が重なる | 本業と同じ職種・同じ業界の案件は避けるか、本業の会社の許可と守秘の線を確認する。個別の判断は専門家に |
扱い方の要点は、「全工程を並べたうえで、最初は一つの工程で入る」ことです。採用担当の経験がある人は、「全部できます」と言いたくなりますが、依頼側は「全部」を頼む予算も範囲も持っていないことが多く、「この工程だけ」を探しています。工程を一覧にして、翌週から回せるものに印を付け、得意な一つで入ります。入った後、前後の工程の詰まりが見えたら、「ここも詰まっています」と伝え、範囲が広がります。範囲の決め方は業務範囲を書面で固めるに、本業との線は本業と利益相反になる案件に、自己紹介の型は自己紹介文のテンプレートに整理しています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用担当から転身して続いている人と、最初の案件で終わる人の差は、頼まれた工程の外に目を向けるかどうかです。終わる人は、頼まれた工程を丁寧に回し、成果が出ないと「頼まれたことはやりました」で止まります。連絡の代行を頼まれ、連絡は早くなったが、求人票が古くて応募が来ないので、成果が出ないまま契約が終わります。続いている人は、同じ状況で「連絡は早くなりましたが、応募が少ないのは求人票が古いからだと思います。次の週に原稿を一本書き直してみてもよいですか」と伝え、依頼側は「そこまで見てくれるのか」と感じて契約を広げます。
見ていて差がつくのは、依頼側の会社の名前で候補者を動かす文面を、本業の型のまま使っていないかです。採用担当の経験がある人は、本業の会社の名前があるから返信が来ていた文面を、そのまま依頼側で使いがちで、知らない会社の名前では返信が来ません。依頼側の会社の名前を知らない候補者が、それでも読む理由(その人の経歴のどこを見たか、この会社の何がその人に合うか)を文面の最初に置き直した人は、返信が戻り、依頼側から「うちの名前でも返ってくるようになった」と評価されています。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、「工程のどこを頼まれても翌週から回せる」と工程の一覧で書いている担当者に、担当者が足りない依頼側がついています。採用担当の転身は、経験の幅ではなく、頼まれた工程の外を見る目から始まります。
案件の探し方
採用担当から入りやすい案件と、探し方です。
| 入りやすい案件 | 理由 | 探し方 |
|---|---|---|
| スカウトの文面と送信の運用 | 本業で回してきた工程でそのまま入れる | 「スカウトを送る時間がない依頼側」を探す |
| 応募者への連絡と日程調整 | 本業で回してきた工程で入れる。稼働が読みやすい | 「連絡が遅れている依頼側」を探す |
| 求人原稿の作成と媒体の運用 | 求人票を書いてきた経験で入れる。成果物で受けやすい | 「求人票が古い依頼側」を探す |
| 一次の面接の代行と記録 | 面接に同席してきた経験で入れる | 「面接に出る人がいない依頼側」を探す |
| 内定の後の連絡と入社の準備 | 入社の準備をしてきた経験で入れる | 「内定の後で辞退される依頼側」を探す |
| 一人の担当者の段取りの手伝い | 一人で回してきた経験で入れる | 「担当者が一人で溺れている依頼側」を探す |
探し方の要点は、「稼働が読みやすい工程から入る」ことです。連絡と日程調整、スカウトの送信は、一回あたりの時間が読みやすく、本業と並行しても稼働が崩れにくいので、最初の案件に向いています。面接の代行は、時間が固定されるので本業との調整が要ります。求人原稿は成果物で受けられます。最初の案件で稼働と単価の感覚をつかんでから、工程を広げます。案件の探し方は副業案件の探し方に、週の稼働の目安は週何時間から受けられるかに書いています。
単価の目安
単価は、具体的な額ではなく、決まり方の構造で考えます。採用担当の転身で、単価に影響する要素です。
| 要素 | 単価への影響 | 考え方 |
|---|---|---|
| 工程の実務の単価 | 実務の工程は、依頼側が「作業」として見るので、時間単価は設計や助言より下がりやすい | 時間で受けるなら、工程の前後の詰まりを見つける目を単価の根拠に加える |
| 稼働の読みやすさ | 連絡と送信は時間が読みやすく、月額で受けやすい | 月に何時間で決める |
| 成果物の工程 | 求人原稿は成果物で受けやすい | 一本いくらの形で |
| 面接の代行 | 一回あたりの時間が固定で、回数で受けやすい | 一回いくらの形で |
| 全工程が見えること | 工程の一つを受けながら前後の詰まりを見つけられる人は、実務だけの人より単価を上げやすい | 「詰まりを見つけて提案した」を報告で残す |
| 複数の依頼側の掛け持ち | 実務の工程は稼働が読みやすく、複数の案件を持ちやすい | 案件ごとの情報を分けて管理する |
| 成果報酬の扱い | 採用の成否は依頼側の判断に左右され、責任の線が引きにくい | 時間か回数か成果物で。可否は専門家に確認 |
単価の要点は、「実務の工程は時間か回数か成果物で受け、全工程が見えることを単価の根拠に加える」ことです。採用担当の経験で受ける案件は、実務の工程が中心なので、時間単価は設計や助言の案件より下がる傾向があります。ただ、実務だけの担当者と違い、工程の前後の詰まりを見つけられることが、単価を上げる根拠になります。「連絡を代行しながら、求人票の古さに気づいて提案した」ことを報告で残すと、更新のときに単価の話がしやすくなります。単価の構造は人事の副業単価の相場に、成果報酬は成果報酬型は受けるべきかに、掛け持ちの考え方は複数案件を掛け持ちできるかに整理しています。
始める順番
採用担当から副業を始める順番です。
| 順番 | 内容 |
|---|---|
| 一、本業の会社の副業の規定と、候補者の情報と採用の内情の守秘の条件を確認する | 本業と同じ職種・業界の案件の可否も。個別の判断は専門家に |
| 二、募集から入社までの工程を一覧にし、「翌週から回せる工程」「得意な工程」「本業では触っていない工程」に分ける | 「全部できます」と言わないための準備 |
| 三、本業の会社の名前があったから通じていたこと(返信率、応募の質)を、正直に書き出す | 依頼側の名前で動くときに作り直す前提 |
| 四、最初に入る工程を一つ決める | 稼働が読みやすい連絡・送信・原稿のどれか |
| 五、「工程のどこを頼まれても、翌週から回せる」の一言を作る | 「採用をやっていました」で終わらせない |
| 六、候補者の情報と本業の情報を、副業に持ち込まない線を決める | 型だけ持ち込む |
| 七、登録先に、工程の一覧と、最初に受ける工程と、稼働の時間を登録する | 担当者が足りない依頼側 |
| 八、一つの工程を一件受け、前後の詰まりを見つけて提案した記録を残す | 範囲を広げる材料に |
順番の要点は、「二」の工程の一覧です。採用担当の経験は幅が広く、その幅を「全部できます」と言うと何も伝わりません。工程を一覧にして、翌週から回せるものと、得意なものと、本業では触っていないもの(たとえば新卒の説明会、紹介会社との交渉、採用の予算)を分けておくと、面談で「これはできる、これは経験が薄い」と正直に答えられ、依頼側の信頼が上がります。プロフィールはプロフィールの書き方に、初案件の備えは初案件で不安になりやすい点と備え方に、候補者対応の線は候補者対応で気をつけることに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「採用担当の経験は普通すぎて、副業では差がつかない」というものです。実際には、人事の副業の案件で最も多いのは「工程の一部を、すぐに、手を動かして回してほしい」という依頼で、その依頼に翌週から応えられる人は多くありません。設計や助言ができる人は、手を動かす工程を受けたがらず、手を動かせる人は、工程の前後の詰まりに気づけません。全工程を一人で回してきた採用担当は、その両方を持っていて、差は「普通の経験」の中にあります。
順番として、本業の規定と守秘の条件を専門家に確認し、工程を一覧にして分け、会社の名前があったから通じていたことを書き出し、最初に入る工程を一つ決め、翌週から回せる一言を作り、情報を持ち込まない線を決め、登録先に一覧と工程と時間を登録し、一件受けて前後の詰まりを見つけた記録を残す。この順番で、採用担当の経験は「普通すぎるもの」から「翌週から回せて、詰まりも見える形」になります。エラベルでは、依頼側が担当者を選ぶ仕組みなので、工程の一覧を明確にし、最初に受ける工程と稼働の時間を示している担当者に、担当者が足りない依頼側がついています。採用担当の転身は、経験の幅を語ることではなく、工程を一つに絞って入るところから始まります。
まとめ
- 採用担当の経験は「募集から入社までの全工程を、自分の手で、同時に、回してきた」型で売れる。工程ごとの実務・詰まりを見つける目・両方への連絡の型・一人で回す段取りの四つ
- 「採用をやっていました」ではなく「工程のどこを頼まれても、翌週から回せる」と売る
- 売りにくい点は「何でもできる」は何も伝わらない・自社の看板の有無・本業との重なり。工程を一覧にして一つで入り、文面は依頼側の名前で作り直し、本業と同じ職種・業界は線を引く
- 案件は稼働が読みやすい工程(連絡・送信・原稿)から。面接の代行は本業との時間の調整が要る
- 単価は時間か回数か成果物で。全工程が見えることを根拠に加える。成果報酬は最初は避け、可否は専門家に確認
- 頼まれた工程の外を見る目が、実務だけの担当者との差になる
よくある質問
本業でも採用をしています。同じ職種の採用を副業で受けてよいですか
本業の会社と依頼側が同じ職種を同じ媒体で採用している場合、候補者と情報が重なり、本業の会社との守秘と利益相反の線に関わります。本業の会社の副業の規定と、候補者の情報の扱いの条件を確認し、同じ職種・同じ業界の案件は避けるか、本業の会社の許可を得る形にします。個別の判断は、弁護士や社会保険労務士にご確認ください。利益相反の見方は本業と利益相反になる案件に、情報の分け方は案件ごとの情報の分け方に整理しています。
本業の会社ではスカウトの返信がよく来ていたのに、副業の依頼側では来ません
本業の会社の名前があったから返信が来ていた、ということが多いです。依頼側の会社の名前を知らない候補者が、それでも読む理由を、文面の最初に置き直します。「あなたの経歴のここを見ました」「この会社のこの点が、あなたの次に合うと思いました」を先に書き、会社の説明は後に回します。本業の型をそのまま使わず、依頼側の会社に合わせて作り直す前提で入ると、落差に驚かずに済みます。文面の型はスカウト代行の副業案件に、評価される担当者の共通点は評価される副業人材の共通点に書いています。
「全部お願いしたい」と言われました。全工程の経験があるので受けてよいですか
受ける前に、稼働の時間を計算します。全工程を一人で回すのは、本業で週の大半を使っていた仕事で、副業の稼働では収まりません。「まず連絡と送信を私が、求人票と面接は御社の担当者が。それで回らなければ、次の月に範囲を相談しましょう」と、工程を分けて段階的に広げる形で示します。全部を受けて回らなくなると、依頼側の信頼も自分の本業も崩れます。範囲外の依頼への対応は範囲外の依頼が増えたときに、時間の作り方は本業と両立する時間の作り方に整理しています。