採用代行 / 新規事業の立ち上げ期
新規事業の立ち上げ期の採用体制の作り方|社内に残す役割
新規事業の立ち上げ期に採用代行を使うとき、決めるべきことは「既存の人事の流れにどう乗せるか」ではなく、「既存の流れから切り離した小さい流れを、誰と誰で回すか」です。新規事業の採用は、少人数を、速く、要件が変わる前提で、実績のない事業を候補者に伝えながら進めます。既存の事業の流れは、この条件に合いません。結論を先に書くと、社内に残す役割は「事業の責任者」「経営者か担当役員」「既存の人事」の三つで、事業の責任者が要件と一次面接と候補者への説明を持ち、経営者か担当役員が最終の面接と事業の節目の判断を持ち、既存の人事は流れの承認と記録の共有だけを持ちます。代行は、この小さい流れの中で、事業の責任者と直接つながって動きます。失敗の形は新規事業の立ち上げ期が採用代行で失敗するパターンに、急成長フェーズの体制は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
新規事業の立ち上げ期で、採用に関わる人の時間
体制を作る前に、新規事業の立ち上げ期に採用に関わる人の時間を見ます。
| 誰 | 本業 | 採用に割ける時間の現実 |
|---|---|---|
| 事業の責任者 | 事業の立ち上げそのもの | 採用は最優先ではない。週に一度、短い時間なら取れる。候補者に会うことはできる |
| 経営者か担当役員 | 経営全般、事業の判断 | 最終の面接と、事業の節目の判断だけ。日程は取りにくい |
| 既存の人事 | 既存の事業の採用と人事 | 既存の事業で手一杯。新規事業の日々の運用は持てない |
| 新規事業に最初に入った社員 | 事業の立ち上げの実務 | 候補者と会う、事業を説明する、は頼める |
この表から、新規事業の採用の日々の運用(連絡、日程、記録、候補者への最初の説明)を持てる人は社内にいません。代行に出すのはこの日々の運用で、社内に残すのは「要件」「候補者に会う」「決める」です。既存の人事を日々の運用に組み込むと、既存の事業の優先順位に負けて遅れるので、承認と記録の共有だけにします。
社内に残す役割一:事業の責任者
中身。要件の軸(最初の半年で何を決めて何を作ってほしいか)を言葉にする。候補者に「なぜこの事業を始めるのか」を語る。一次面接で候補者に会い、事業を説明し、合うかを見る。週に一度、代行からの判断の依頼にまとめて答える。
なぜ残すか。新規事業の要件と魅力は、事業の責任者の頭の中にしかなく、既存の求人票にも会社説明にもありません。候補者は、事業の責任者の言葉で事業を判断します。ここを代行や人事に代わらせると、既存の事業の言葉になります。
時間の目安。要件の軸と「なぜ始めるか」を言葉にするときにまとまった時間を一度、その後は週に一度の短い時間と、一次面接の時間です。日々の確認は代行が持ち、責任者には「この候補者と会うか」「この条件で出すか」だけを聞く形にします。要件の決め方は採用要件の定義を代行に出すに、文面の型は事業開発向けスカウト文面の型に、カジュアル面談はカジュアル面談は代行に出せるかに書いています。
社内に残す役割二:経営者か担当役員
中身。最終の面接で候補者に会い、採るかどうかを決める。提示する条件を決める。事業が見直されたとき、採用を続けるか止めるか、内定と入社の時期をどうするかを決める。
なぜ残すか。新規事業の採用は、事業そのものの判断と結びついています。事業の節目で採用をどうするかは、事業の責任者だけでは決められず、経営者か担当役員の判断が要ります。最終の面接も、会社として新規事業にどこまで投資するかの意思を候補者に示す場になります。
時間の目安。最終の面接の回数と、事業の節目の判断です。最終の面接の枠を、週のうち固定で先に確保し、代行がその枠に入れます。枠がないと、一次で決まった候補者が最終を待つ間に他社に決まります。条件提示は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、内定の後の工程は内定者フォローは代行に出せるかに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、「事業が見直されたとき、採用をどうするか」を、採用を始める前に経営者と事業の責任者で決めておくことです。相談で見ていると、新規事業の採用で最も候補者を失うのは、要件のずれでも説明の弱さでもなく、内定の後に「事業の開始が延びた」「役割が変わった」と伝える場面です。始める前に、「内定を出す前に事業の節目を通す」「入社の時期は節目の後にする」「役割が変わる可能性を最初から伝える」と決めていた会社は、見直しがあっても候補者を失わず、変わる前提で来た人が残っています。
順番としては、まず事業の節目と採用の関係を決め、次に事業の責任者が要件の軸と「なぜ始めるか」を言葉にし、最後に最終の面接の枠を固定してから、代行の契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約して候補者を集めてから節目の判断をすると、集めた候補者を節目で失います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、新規事業の立ち上げを支援してきた担当者が、契約の前に事業の節目と採用の関係を一緒に決めるところから入っています。
社内に残す役割三:既存の人事
中身。新規事業の選考の流れ(既存とは別の二段階)を承認する。採用の記録と数字を、既存の事業と同じ場所で共有できるようにする。内定の後の書類と手続きを、既存の流れに乗せる。労務と契約の線を見る。
なぜ残すか。既存の人事を日々の運用から外しても、会社としての採用の記録と手続きは既存の人事が持つ必要があります。新規事業の採用が「人事の知らないところで進んでいる」状態は、後で手続きと記録の穴になります。
時間の目安。流れの承認を最初に一度、記録の共有の仕組みを作るのに一度、その後は内定の後の手続きだけです。既存の人事には「日々の運用は事業の責任者と代行が持つ。承認と記録と手続きをお願いしたい」と役割を明確にして頼みます。採用管理の仕組みはATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、現場への説明は現場に採用代行の導入を説明するに書いています。
代行に出す工程と、小さい流れの形
三つの役割を社内に残したうえで、代行に出す工程と、既存の流れから切り離した小さい流れの形を決めます。
| 工程 | 誰が持つか | 代行との線 |
|---|---|---|
| 要件の軸を言葉にする | 事業の責任者 | 代行が聞き取り、探す条件と文面に落とす |
| 候補者を探す、スカウトを送る | 代行 | 「誰に送るか」の基準は責任者が決め、送る作業と追客は代行 |
| 候補者への最初の説明 | 代行(責任者の言葉を使って) | 責任者が語った「なぜ始めるか」を、代行が文面と応募前の面談で伝える |
| 連絡、日程調整、記録 | 代行 | 責任者と最終の面接官の予定に、代行が直接入れる |
| 一次面接 | 事業の責任者 | 代行が候補者の情報と、面接で確かめる点を整えて渡す |
| 最終の面接、採るかどうか | 経営者か担当役員 | 代行が一次の記録と判断の案を整えて渡す |
| 条件の提示、内定の後の連絡 | 代行(条件は経営者が決める) | 事業の節目との関係を候補者に伝える文面を、責任者と代行で作る |
| 入社の手続き、記録の共有 | 既存の人事 | 代行が記録を既存の人事の仕組みに入れる |
小さい流れの要点は、「事業の責任者と代行が直接つながり、既存の人事は承認と手続きだけ」です。代行との連絡は、事業の責任者と代行の間で一つの手段に固定し、既存の人事には記録の共有で状況が見える形にします。判断が要ることは、代行が一覧にして週に一度の責任者の時間にまとめて出します。母集団の考え方は事業開発の母集団形成に、日程調整は面接の日程調整は代行に出せるかに、定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に整理しています。
エラベルの見解
外に出してよいのは、探す・文面・最初の説明・連絡・日程・記録・条件の伝達・手続きの橋渡しまでで、「要件の軸」「なぜ始めるかを語ること」「一次面接で会うこと」「最終の判断」「事業の節目の判断」は社内に残します。新規事業の立ち上げ期は、事業の責任者の時間が最も取れない時期なので、一次面接も代行に出したくなりますが、新規事業では一次面接が「候補者に事業を伝える場」を兼ねており、責任者が会わないと候補者は事業を判断できません。責任者の時間を守るのは、一次面接を出すことではなく、それ以外の全部を代行に出すことです。
担当する側から見ると、新規事業の立ち上げ期で結果が分かれるのは、担当者が「既存の人事を通さずに事業の責任者と動く」ことを、既存の人事との関係を壊さずにできるかです。既存の人事に気を遣って全部を人事経由にする担当者は、既存の事業の優先順位に負けて遅れ、「新規事業の採用が進まない」と言われます。既存の人事に「承認と記録と手続きをお願いしたい、日々の運用は責任者と直接進めたい」と最初に役割を示し、記録を人事の仕組みに入れ続けた担当者は、人事の信頼を保ちながら速く動け、責任者から「初めて採用が事業の速さで進んだ」と言われます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「事業の責任者の方と、既存の人事の方の、それぞれの役割をどうしますか」と聞いてくる担当者を選べば、この形になります。
まとめ
- 新規事業の立ち上げ期で社内に残す役割は、事業の責任者・経営者か担当役員・既存の人事の三つ
- 事業の責任者は要件の軸と「なぜ始めるか」と一次面接を持つ。週に一度の短い時間に、判断をまとめて返す
- 経営者か担当役員は最終の面接と条件と事業の節目の判断を持つ。最終の面接の枠を先に固定する
- 既存の人事は流れの承認と記録の共有と手続きだけを持つ。日々の運用には入れない
- 代行は事業の責任者と直接つながる小さい流れの中で、探す・説明・連絡・日程・記録・条件の伝達を回す
- 採用を始める前に、事業が見直されたときの採用の扱いを経営者と責任者で決め、候補者にも「役割は変わる」と最初から伝える
よくある質問
事業の責任者が採用の経験がなく、要件も面接もできる気がしないと言っています
要件も面接も、採用の経験ではなく、事業の中身を知っていることが要ります。要件は、「最初の半年で何を決めて何を作ってほしいか」を代行が聞き取って言葉にするので、責任者は事業を語るだけです。一次面接は、代行が「確かめる点」を三つに絞って渡し、責任者は事業を説明して、候補者の反応を見るだけにします。採用の技術は代行が持ち、事業の言葉は責任者が持つ、と分担を示せば、責任者の不安は減ります。面接官の育て方は面接官トレーニングは代行に出せるかに、要件が固まらないときの対応は採用要件が固まらないに整理しています。
新規事業に最初に入った社員に、採用を手伝ってもらえますか
候補者と会って事業を語ること、候補者からの質問に現場の目線で答えることは頼めます。応募前の面談に同席してもらう形や、最終の面接の前に候補者と話す時間を作る形が、候補者にとって事業を判断する材料になります。ただ、要件を決めることと採るかどうかの判断は、責任者と経営者が持ちます。最初に入った社員は、事業の実務で手一杯なので、「候補者と会う」だけを頼み、日程と記録は代行が持ちます。カジュアル面談はカジュアル面談は代行に出せるかに、社員の紹介の仕組みはリファラル採用の設計は代行に出せるかに書いています。
新規事業が軌道に乗ったら、採用の流れを既存に戻すべきですか
軌道に乗って、要件が固まり、人数が増え、速さより安定が要るようになったら、既存の流れに戻します。その時期を、最初に既存の人事と決めておくと、人事の納得が得られやすくなります。戻すときは、代行が持っていた記録と文面と要件の型を、既存の人事の仕組みに入れて引き継ぎます。小さい流れで作った「なぜ始めるか」の言葉は、事業が育った後も採用の説明に使えるので、残しておきます。引き継ぎの項目は採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に、急成長フェーズに入ったときの体制は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に整理しています。