採用代行 / 中小企業
中小企業が採用代行で失敗するパターン
ここでいう中小企業は、従業員が数十名から二百名ほどで、人事は総務や経理と兼務の一人か二人、採用は正社員が年に数名から十数名、社長の決定力が強く、知名度がなくて求人では大手と競合し、紹介会社に頼ることが多い会社です。予算は限られますが読め、制度はある程度整い、現場との距離は近い。この条件で採用代行を使うと、スタートアップにも大企業にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、中小企業の失敗は「大手と同じ土俵で戦う型を、兼務の人事と社長の二重の窓口で回そうとする」ことから起きます。知名度で負ける土俵で数を追い、要件は大手向けのまま、窓口は二重で代行が待ち、費用は月額の安さで選ぶ。この四つが重なると、半年で「代行は合わなかった」で終わります。代行に出す前に、「知らない会社に応募する理由を求人票と経路で作る」「窓口を一つにして決める権限を渡す」「要件を中小の条件で採れる形に落とす」「月額でなく稼働の中身で比べる」の四つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。中小企業に噛み合う代行の条件は中小企業に向く採用代行の条件に、規模ごとの失敗は従業員百名規模の会社が採用代行で失敗するパターンに、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:大手と同じ土俵の型を持ち込まれて、埋もれる
症状。代行が、大手が使う転職サイトとスカウトの型をそのまま持ち込む。同じ媒体で同じ職種を、知名度のある会社と並んで出す。スカウトを送っても返信が来ず、求人票は条件で比べられて見劣りする。代行は「母集団が足りない」と言って媒体を増やし、費用が増えて応募は増えない。社長は「大手と同じことをして負けているだけだ」と感じる。
原因。代行の型の多くは、知名度のある会社か、条件で勝てる会社で作られています。中小企業は、知名度でも条件でも大手に並べません。同じ土俵で数を追うと、費用だけがかかります。代行の側は、自分の型を疑わず、「まだ数が足りない」と考えます。
先に打つ手。代行を入れる前に、「知らない会社に応募する理由」を社内で言葉にします。「この職種で、うちだからできること(裁量、現場との近さ、社長との距離、事業の中身)」を三つ書き、求人票の最初に置きます。経路は、大手と並ぶ転職サイトだけでなく、社員の紹介、取引先、地域、同じ業界の集まり、といった「知っている人から知る」経路を先に使います。代行には、この理由と経路で動いた経験があるかを聞き、大手の型をそのまま持ち込む代行は避けます。知名度の問題は知名度がなくて応募が集まらないに、社員の紹介はリファラル採用の設計は代行に出せるかに、応募が来ない原因の切り分けは応募が来ないに整理しています。
失敗のパターン二:兼務の担当と社長の二重の窓口で、代行が待つ
症状。代行の窓口は総務と兼務の担当で、担当は社長に確認しないと決められない。代行が担当に聞き、担当が社長に聞き、社長が営業から戻るまで返事が止まる。逆に社長が代行に直接指示を出し、担当が知らないうちに方針が変わる。代行は「どちらの言うことを聞けばよいか」で迷い、候補者は待たされて去る。担当は本業の締めの時期に返事ができず、代行からの「ご確認」が溜まる。
原因。兼務の担当には、採用の判断の権限も、採用に使う時間の枠も、与えられていません。社長は「担当に任せた」と思いつつ、決めるのは自分だと思っています。代行は、窓口が一つで、その窓口が決められる前提で設計されているので、二重の窓口で止まります。
先に打つ手。代行を入れる前に、窓口を担当一人に決め、「担当が自分で決めてよい範囲」(書類の見送り、日程、面接の案内、紙の中の候補者を進めること)と「社長に上げる範囲」(採るかどうか、条件、要件の変更)を紙にします。社長には「代行への指示は担当を通す」と決めてもらい、社長への確認は週に一度にまとめます。担当の本業の締めの時期は代行に伝え、その時期は代行が紙の中で進める形にします。兼務の窓口の作り方は専任の人事がいない会社の採用体制の作り方に、同族の会社で社長の一言が覆す形は同族・オーナー企業が採用代行で失敗するパターンに、経営者への出し方は経営者に採用の状況が伝わらないに書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、中小企業で結果が分かれるのは、担当者が「大手の土俵で戦わない設計」を最初に作れるかどうかです。パターン一と二は、どちらも大手向けの型と体制を中小企業に当てはめたことから起きています。相談で見ていると、うまくいく担当者は、契約の前に社長と兼務の担当に「この職種で、御社だから言えることは何ですか」「社員の方は、なぜこの会社に入って、なぜ残っていますか」と聞き、それを求人票の最初に置き、社員の紹介や取引先や地域の経路を先に動かし、転職サイトは「知った人が確かめに来る場所」として使っています。数を追わず、「知らない会社に応募する理由」を先に作るので、応募の数は多くなくても、面接に来る人の質が変わります。
契約の前の面談で「御社の社員の方は、なぜこの会社に残っていますか」と聞いてくる担当者と、「まず媒体を増やしましょう」と言う担当者では、半年後の応募の質が違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、知名度のない会社で「応募する理由」を作ってきた担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:紹介会社への依存を減らすつもりが、代行が紹介会社の管理だけになる
症状。紹介会社の手数料が採用の数に比例して増えるので、代行を入れて自力で採る経路を作りたかった。ところが代行の仕事は、紹介会社への依頼書の作成、推薦の受付、日程、進捗の共有、つまり紹介会社の管理になっていく。手数料は減らず、代行の月額が上に乗る。社長は「費用が増えただけだ」と感じる。
原因。紹介会社は候補者を出してくれるので、代行にとっても「動きが見える」仕事です。自力の経路(求人票、社員の紹介、地域、スカウト)は、動き出すまでに時間がかかり、成果が見えにくいので、代行も担当も紹介会社の対応に流れます。「紹介を減らす」と決めていないと、そうなります。
先に打つ手。代行を入れる前に、「一年後に、紹介で決まる数と自力で決まる数の比率をどうしたいか」を社長と担当で決め、代行に伝えます。代行の仕事を、紹介会社の管理と、自力の経路の立ち上げに分け、稼働の配分を先に決めます。紹介会社は、急ぎの職種と、自力で集まらない職種に絞ります。毎月、紹介で決まった数と自力で決まった数を分けて見て、比率が動いているかを確かめます。代行と紹介の違いは採用代行と人材紹介の違いに、紹介会社の絞り方は紹介会社が多すぎて対応しきれないに、紹介会社との折衝は人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに整理しています。
失敗のパターン四:部門長の要件が大手向けで、中小の条件では採れない
症状。部門長が「即戦力」「同業の大手で同じ仕事をしていた人」「一人で全部できる人」を求める。条件は中小の幅なので、その人は来ないか、来ても条件で辞退する。代行は要件どおりに探して見つからず、部門長は「代行が探せていない」と言い、代行は「要件が高すぎる」と言う。半年経って一人も決まらず、部門長は「やはり紹介会社がいい」と言う。
原因。部門長は、自分の部門に足りない人を「今いる人の上位互換」で描きます。中小企業の条件でその人を採れるかは考えません。兼務の担当は部門長に「要件を下げてください」と言えず、社長は現場の言うとおりに任せます。要件と条件のずれを誰も直さないまま、代行が探し続けます。
先に打つ手。代行を入れる前に、部門長と担当で要件を「半年後にやってほしいこと三つ」に落とし、「経験がなくても半年で身につくこと」と「入る時点で持っていないと困ること」に分けます。「一人で全部できる人」ではなく、「この三つができて、残りは半年で覚える人」を要件にします。条件の幅と要件を並べて、「この条件でこの要件の人が市場にいるか」を代行に最初に聞き、いないなら要件か条件のどちらを動かすかを社長が決めます。要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、必須と歓迎の分け方は人事の採用要件の作り方に、応募の質が合わないときは応募は来るが質が合わないに書いています。
失敗のパターン五:月額の安さで選んで、稼働の中身を見ない
症状。予算が読めるので、「月額いくらまで」で代行を選ぶ。安い提案を選ぶと、担当者が複数社を掛け持ちしていて、週に数時間しか動かず、返事が遅い。成果が出ず、半年で止める。次の代行も同じ基準で選び、同じことが起きる。社長は「代行は効かない」と結論する。
原因。中小企業は予算が読めるぶん、月額で比べやすく、月額の中身(誰が、週に何時間、何社掛け持ちで入るか)を見ずに決めがちです。安い月額は、実働が少ないか、担当者が掛け持ちであることが多く、年に数名の採用でも、返事の速さと要件の詰めには時間が要ります。
先に打つ手。見積もりを比べるときに、月額ではなく「誰が・週に何時間・何社掛け持ちで」を並べます。月額が安くても週に数時間なら時間あたりは高く、月額が高くても専任に近いなら時間あたりは安いことがあります。年に数名の採用なら、「候補者がいるときだけ動く」「期間を区切る」「成果報酬の形」も比べます。契約の前に、担当者の経歴と掛け持ちの数を書面で出してもらい、出せない代行は避けます。見積もりの読み方は採用代行の見積もりの読み方に、費用の聞き方は費用について商談で聞く質問に、月額と成果報酬の違いは採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、社長と兼務の担当が「知らない会社に応募する理由」「窓口を一つにして担当が決めてよい範囲」「一年後の紹介と自力の比率」「要件を三つに落として条件と並べること」「月額でなく稼働の中身で比べること」の五つを決めることです。五つのパターンは、全部この五つのどれかが空いていることから起きています。埋もれる失敗は理由がなく、待つ失敗は窓口が二重で、紹介の管理だけになる失敗は比率を決めておらず、採れない失敗は要件と条件を並べておらず、安さで選ぶ失敗は中身を見ていないからです。
五つを決めるのに要るのは、社長と担当の時間で一度だけ、半日です。代行はその場に同席して聞き出し、紙にします。この半日を惜しんで「大手と同じことを安くやってほしい」と頼むと、大手の土俵で負け、窓口で待ち、紹介に戻り、要件で採れず、安さで止まります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「御社だから言えることは何ですか」「窓口はどなたで、その方はどこまで決められますか」と聞いてくる担当者を選べます。
まとめ
- 中小企業の失敗は、大手と同じ土俵で戦う型を、兼務の人事と社長の二重の窓口で回そうとすることから起きる
- パターン一は土俵。知名度と条件で並べない相手と数を競わず、「知らない会社に応募する理由」を求人票の最初に置き、知っている人から知る経路を先に使う
- パターン二は窓口。担当一人に決め、自分で決めてよい範囲と社長に上げる範囲を紙にし、社長の指示は担当を通す
- パターン三は紹介と自力の比率。一年後の比率を先に決め、代行の稼働を紹介会社の管理と自力の経路の立ち上げに分ける
- パターン四は要件と条件。「一人で全部できる人」ではなく「三つができて残りは半年で覚える人」に落とし、条件と並べて市場にいるかを最初に確かめる
- パターン五は費用の見方。月額でなく「誰が・週に何時間・何社掛け持ちで」で比べ、担当者の経歴と掛け持ちの数を書面で出してもらう
よくある質問
年に数名の採用に、代行を入れる意味はありますか
意味があるのは、兼務の担当の時間が採用の運用で埋まって本業が回らない、紹介会社の手数料が採用の数に比例して増えている、知名度のなさで応募が来ず求人票と経路を作り直したい、のどれかに当たる場合です。年に数名でも、要件の詰めと返事の速さには時間が要り、兼務の担当には取れないことが多くあります。逆に、担当が採用に時間を取れていて、紹介の手数料も許容できているなら、代行は要りません。使う場合は、「候補者がいるときだけ動く」「期間を区切る」形を比べます。中小企業に向く条件は中小企業に向く採用代行の条件に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。
社長が採用に細かく口を出し、担当に権限を渡してくれません
社長が決めること自体は、この規模では自然です。渡してもらうのは「決めること」ではなく、「決める前の運用」です。書類の見送り、日程、面接の案内、紙の中の候補者を進めること、を担当が持ち、採るかどうかと条件と要件の変更は社長が持つ、と分ければ、社長は決めることに集中でき、担当は運用で待たなくなります。社長への確認を週に一度にまとめ、その場で決めてもらう形にすると、社長の時間も減ります。同族の会社の体制は同族・オーナー企業の採用体制の作り方に、経営者への説明は経営者に採用代行を説明するに書いています。
一度代行で失敗しています。もう一度使う価値はありますか
前回の失敗が、この記事の五つのどれに当たるかを先に見てください。大手の型だった、窓口が二重だった、紹介の管理だけだった、要件が高すぎた、安さで選んだ、のどれかなら、代行そのものが合わなかったのではなく、選び方と決めごとが空いていたことになります。次に使うときは、五つを先に決め、契約の前に担当者の経歴と掛け持ちの数を書面で出してもらい、前回と同じ形にならないかを確かめます。前回の要件の紙や求人票が残っていれば、それを直すところから始められます。代行の切り替えは採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に、成果までの期間は成果が出るまでの期間の見立てに、やめる判断は採用代行をやめる判断のタイミングに整理しています。